39話
「そんな大物も出るんだな」
「マイナーアイドルばかりの小さめのイベントですよね」
やはり、アイドルをやっている彼らにもEternalの名前は知られているようだ。
「このイベントでは、一番人気になりそうだと言われている」
「俺も名前を聞いたことはある。千蔭先輩も気になっているんだな」
「ま、まあ…」
千蔭は口ごもってしまう。
「もしかしてー、チカゲ先輩って、Eternalの中の誰かだったりしてー」
図星をさされて、首が取れるほどぶんと、そっぽを向く。
「嘘でしょ…」
その反応から、群里の言葉が事実だと分かった。
「火皇!?灯!?まさか照じゃないよね!?」
群里がつかみかかる勢いで近づいて聞いてくる。
「よくポンポンと名前出てくるな。俺は有名な一人しか知らないんだ」
「…そういえば、子供の頃レッスンしていたんですよね。それって、前島芸能事務所社長の息子の…」
治喜の言葉で、今の千蔭の中身が誰か気づいたようだ。
「前島光!?」
「お前らうるさい…」
大声で叫んだため、その苦痛のあまり、目を伏せ、耳を押さえる。
「だって、新人ながらに、アイドルの中のアイドルと言われる奴だろ」
「それがこんなニヒルな笑みを浮かべる、ベースが根暗な人とは思いませんよ!?」
「みんな実は俺が嫌いなの?いくらなんでも、俺だって泣くよ」
いきなり罵倒されたように感じてしまった。
「俺は千蔭先輩もかっこいいと思うぞ」
「ああ、そうだな。千蔭はかっこいいよな」
「エル、チカゲちゃんの中身がヒカルちゃんなんだから、その励ましは意味ないよ」
「はっ!すまない!」
ばっと、頭を下げる。
「チカゲちゃんエイトちゃん以外の友達いないんだよね?前島光って、子供の頃から友達が多くて。トーク番組とかの友達にインタビューとかでも、仲良さそうだし」
「だいたい俺が光だったときの友達だな。千蔭は上手く俺のフリできたみたいだ」
「それが何でぼっちの陰キャに…?」
群里が毒を吐く度に、ぐさりぐさりと刺さっていく。
「言い訳とかかっこ悪いけど、千蔭のコミュ障が体に染みついているというか。初対面の人と話すのに、緊張するとか今までしたことなかった経験なんだよな。それを克服できないまま、今に至る」
「確かに話したばかりの頃、どもっていたもんな」
英人に納得されてしまった。
「その割には俺らには普通に話しかけてたよな」
「俺が入れ替わって困っていたから。目の前に同じように困っている人がいるのに、人と話すのが怖いとか言ってられないし」




