33話
(すっごい美少女顔…)
ここは男子高なので、彼はもちろん彼も男である。
でも、目がぱっちり大きく、真っ白で小顔。
背丈も160ないくらいだろう。
「先輩?」
ずっと見とれていたのを不審に思われたのか、美少年に問われた。
「いや…。そういや怪我してないか?派手に転んだように見えたが」
「これくらい大したことはない。体力があまりないので、軽くぶつかっただけで耐えられないだけ」
彼の顔は落ち込んでいるように思えた。
「だから、あなたが気に病む必要はない。俺の自意識過剰かもしれないが」
(この子も、この顔の割に口調が固いというギャップがあるなあ)
「申し遅れた。自分は北見聖夜。1年生だ」
「俺は2年の天野千蔭。この人は3年の西山空高さん」
治喜は軽くうなずく。
千蔭は入れ替わって数年、自分の名前ではないのに自己紹介する気まずさを知っている。
だから、治喜の代わりに紹介した。
治喜は千蔭の気づかいまで気づかなかったが、違う名前を自分で言わなくてよかったという安心感はあった。
「天野先輩と西山先輩かよろしく頼む。しかし、西山先輩は親切な方だな。先ほどぶつかったとき、怒らせたのではないかと不安だったのだが」
やはり、先ほどの手を差し伸べる対応が仇となった。
聖夜は、入れ替わる前の学校での空高を知らない。
だから、治喜が入っている空高が第一印象となってしまった。
「俺は小柄で体力もない。だから、西山先輩みたく体格のいい方があこがれだ。何か部活でもしているのだろうか」
しかも、治喜in空高に懐いているようだった。
いつか戻ることを希望しているので、聖夜に対してどういった対応をすればいいか、わからなかった。
「部活はしてねえ…。ダンスはやっているが」
「ダンス?もしかして、この学校にいる芸能人の先輩だろうか。不勉強で申し訳ない」
頭を下げて、上げた後の目はキラキラ輝いていた。
「高校生のうちに、自立して自らお金を稼ぐのは、やはりすごいな。もちろん、西山先輩の好きなことをしているだけなのだろうが」
「北見くんは何かバイトとか考えてないのか?」
「うむ。候補はあるのだが、親の許可が下りないな。変な人に目をつけられたら大変だからと。俺は体力なくて、頼りないから」
「それだけじゃねえと思うけど…」
悩む姿も可愛らしい。
確かに変質者とかわいてくるかもしれない。
親が過保護になるのも考えられる。
「うちの事務所はライブやるときとか、スタッフ募集しているし、手伝ってくれると助かるけどな」
「そう言ってもらえるなら、うれしい。自分にできることなら、何でも言ってくれ」
長話になってしまい、聖夜は友人を待たせているので、立ち去って行った。




