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Change of heart  作者: sanagi
33/59

32話

 ひとまず紹介だけはすることを約束し、それぞれ学校へと向かう。

朝から妙な奴に絡まれ、疲れていた。

でも、鞄の中には今日から事務所に入れる書類が入っている。

そのことだけで、気分が盛り上がっていた。

クラスに行き、英人に無事事務所に入れることを伝えた。

そのことを自分のことのように喜んでくれていた。

社長には、今日資料を渡すことを昨夜のうちに伝えてあるので、今日も事務所に行くことも伝える。

本格的にデビューするのはまだまだ先なので、しばらくはレッスンのみ。

もともと2人の予定が急きょ3人になってしまったので、入れ込む仕事を探している最中だという。

お昼になり、今日は1人で食べることになる。

というのは、英人が2年に上がってから、クラス委員になったからだ。

もう新学期なったときには、生徒会役員の治喜がアイドルになることが決まっていたので、少しでも手助けになるために、なることを決めた。

そのことを聞いたときは、千蔭はマネージャーの鑑だなと感心していた。

入れ替わった今となっては、空高には本当にサポートが必要だなと思っている。

治喜自身も、見えないところでこっそりと手伝っているらしい。

今日はお弁当ではないので、購買に行った。

教室で食べるかどこか別のところで食べるか、歩きながら考えていた。

その道すがら、治喜が見えた。

「治喜さ…」

近づいて言いかけてから、自分の口を両手で抑える。

治喜は誰かと話しているようだった。

空高の友人らしいアクセサリーをチャラチャラつけたちょっとやんちゃな雰囲気だった。

「あれって、空高の後輩くんじゃね?」

「あの真面目くんと間違えてやんなよ」

千蔭の存在に気づき、千蔭の失言を笑う。

「あ、そういや話あったな。忘れてて、悪かった。ちょっと行ってくるな」

「おー。頑張れ、アイドルー」

空高の友人たちは快く送り出してくれる。

治喜は空高のフリは自然な気もするが、やはりどこか緊張しているようだった。

「すいません、お邪魔してしまって」

なんとか誤魔化されてくれたが、空高の大根役者ぶりを笑えないなと、千蔭は自分に対して苦笑い。

「いや、私も西山さんの友人たちに対して、いつぼろが出るか不安だったので。連れ出してくれて助かりました」

「まあ、治喜さんとタイプ違いますもんね」

そのまま、お昼も一緒に食べることになり、歩いていく。

その途中、角でお互い見えづらいところでぶつかってしまう。

空高の体格はまあまあいいので、相手は尻もちをついてしまう。

「すみません、大丈夫ですか?」

そう言って、手を差し伸べる。

「空高さん!対応違います!」

「あ…」

やはりとっさのことになると、素の自分のが出てしまうようだ。

空高だったら、逆にすごむだろうが、今さら軌道修正は難しい。

「いや、大丈夫だ。先輩だろうか?」

空高の見た目に対して、冷静に対応する。

空高の存在を知らないことから、彼も今年入ったばかりの1年生。

芸能関係をあまり知らないのだろう。

男子高であり、別に芸能課とかである訳でないため、自らの高校に芸能人がいることを知らないのは珍しくない。

相手は、ほこりをはらい、立ち上がる。

その姿を見て、2人は目を丸くした。

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