31話
「あ?誰だよ?」
もう隠す気のない空高の態度。
空高の言葉にショックを受けたのか、ぐはっと吐血したように見える。
「え?あのグリ!?」
目を丸くし、大声で驚く。
「やっぱり知り合いだったのかよ」
「知り合いじゃないけど…。え、知らないんですか?あの天才子役として有名だったじゃないですか!」
「天野先輩はボクのこと知っているみたいだね」
ふふん、と得意げである。
「いや、気づかなかった。だって、かなりデカくなってね?」
群里は言われているように、長身の青年だった。
平均はある千蔭でも少し見上げるほどであったから。
「確か俺より一つ年下。今年高校入ったばかりのはず」
「は?こいつ年下のくせに治喜より、背が高いのかよ」
空高は今の自身の体を指さす。
「だから、他の人がいる前でそんな話をしないで」
ひそひそ小声で話している。
そのため、気づいていないようだった。
さらに、何故か未だにショック受けているようで、聞く余裕もなさそうだった。
「でも、グリなら子役のときの芸能事務所に所属しているんじゃ…」
「てか、南浦どうしたんだ?」
おーい、と手を振る。
何故ショックを受けているのか分からず、千蔭と空高は顔を見合わせる。
「…前の事務所はもうやめていて」
息も絶え絶えに話す。
「きっかけは小学5年生の撮影中に声変わりしたことだった」
「あー、そいつは大変だ」
千蔭にとっては、入れ替わっている最中になったので、余計に別物感があった。
「結局つじつまが合わなくて、別の子役が代わりとなった」
「それは災難だったな…」
「当時小5にして、120越えたばかりだったボクの身長はにょきにょき伸び、卒業する頃には160になっていた」
「成長ずいぶん早かったんだな」
2人は若干引きながら群里の話を聞いている。
顔が整っていて、スタイルがいい分、残念なイケメン感がすごくする。
「中学入ったら一気に伸びて、180代。この間の身体計測ではとうとう190にいったよ…」
ははは、と力なく笑う。
「これ、自慢…じゃないんだよな?」
「うん。落ち込んでいるみたいだし」
「そのとき事務所も辞めさせられて。そのとき思った。ボクに求められているのは、可愛さだ。こんな風に無駄にデカくなった図体じゃなくて」
「そ、そんなことはないと思うけどな…」
群里はどんどんネガティブになっていく。
「普段学校で見かける地味で目立たない天野先輩がアイドルやっているから、ボクでもできるかなと思ったけど…。そんなことないよね」
「今日また行くから。そのとき、グリも紹介する!」
必死に千蔭は群里をなだめていた。




