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Change of heart  作者: sanagi
22/59

21話

 ステージには、(千蔭)が中心になっていた。

治喜(空高)空高(治喜)は訳が分からず、戸惑っていて、次の動きに移れない。

「天野…?」

「一体どうしたんですか…?」

「合わせてください。この場を台無しにしたくないでしょう」

小声で2人に、促す。

サビに入り、ステップを踏んでいく。

千蔭の後から2人も続いていく。

そんなバラバラに始めたので、みんな合わさっていない。

でも、千蔭だけは笑って、踊っていた。

周りを気にする余裕がないだけかもしれない。

マイクがない分、誰よりも大きな声を響かせて、歌う必要があるからかもしれない。

でも、この場の誰よりも楽しく、パフォーマンスをしていた。

(やっぱり、千蔭もバク転できるじゃん!)

千蔭と光は入れ替わっていた。

元に戻れないまま、5年が経とうとしていた。

千蔭の体は運動神経が悪いことは知っていたが、実際に千蔭の体になってみると、光の体でできたことができないことを思い知った。

バク転もできるところを全く見れなかったし、千蔭の体になった後も、体にしみついている恐怖からか、回ることができなかった。

そんな経験が増えていき、親友のことを嫌いになりそうになった。

それが嫌で、頑張ることをあきらめた。

運動神経を並程度に押し上げたが、それまでだった。

千蔭のフリもできない。

でも、もう光でもない。

そんな精神で数年を過ごしてきた。

でも、自分と同じように入れ替わって、それでもアイドルを目指す人たちに出会った。

nanaの曲は、昔2人で練習していたときに使っていた曲だ。

入れ替わったあとも、また2人でアイドルをやることを目指して、一人でも練習してきた曲だ。

その頃を思い出して、家に帰ったあと、思わずステップを踏んでいた。

鏡に映るのは、自分ではない。

たった1年でも巡り会えた、下手でもひたむきに頑張ってきた親友の姿。

そのたった数日間の練習だけで、ステージに飛び出してしまった。

(前のときも思いましたが、天野さん素人じゃありませんよね)

(このフリ見たの数日前だから、まだ荒削りだ。だが、手の動きやステップが基本に忠実だ。こいつ、本当に初心者かよ)

2人の目線から、そんなことがうかがえた。

(確かにこの曲のフリは見たままを踊っているだけ。でも、基本的なところは()が覚えている)

光は、物心ついた頃から、芸能事務所事務所社長の母親から歌やダンスのトレーニングをしていた。

遊ぶ時間が少なくなって、小学生の光にとってはつまらないものだったが、今回はその積み重ねが助けとなった。

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