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Change of heart  作者: sanagi
21/59

20話

 「それ、本当か?」

5年生の終わりの3月。

毎日の日課通り、光と千蔭は2人歩いていた。

「うん。父さんの転勤が決まったんだ」

千蔭は顔をうつむかせていた。

「だから、家族一緒に引っ越すことになった」

「…そっか。寂しくなるな」

声から落ち込んでいるのがうかがえて、光も顔をうつむかせた。

「もう、一緒に帰ることもなくなるんだな」

「…ごめん」

「謝るなって」

しんみりした空気を変えようと、無理してからから笑おうとする。

それでも、寂しさを隠しきれなかった。

今にも泣き出しそうに見えた。

「僕、手紙書くから」

「…え?」

「僕だって、光くんと離れるの寂しいよ!だって、光くんが僕の、初めての、1番の友達だもん!」

「千蔭…」

光と千蔭が話すようになって、1年が経つ。

光自身が気に入って、光が強引に連れ回して、光だけが友達と思っているのではないかと、内心不安に思っていた。

でも、一方通行ではなかった。

千蔭も光のことを友達だと思ってくれていた。

そのことがうれしくて、涙がこぼれてしまった。

「ひ、光くん泣かないでよ。僕、僕だって…」

それにつられて、千蔭も泣き出してしまう。

少年たちの泣き声が土手中に響いていた。

「…ごめん、取り乱した」

「…ぐすっ。僕も泣いたし」

2人は目をこすったり、鼻をすする音も聞こえる。

「そうだよな。離れていたって、俺たちは友達だもんな!」

目も鼻も赤いまま、光は千蔭に笑いかける。

たくさん泣いて、すっきりしたのか、気分も晴れ晴れしていた。

「それに、戻ってくるんだろ?」

「え?」

「だって、俺たちは2人でアイドルになるんだろ?」

光は千蔭に対して、拳を突き出す。

「…うん!」

千蔭も拳を突き合わせ、グータッチをした。

「ああ。こんな顔で今日の練習どうしよう?」

「先生たちに心配されちゃうね」

ようやく、気分が安堵していた。

そのときだった。

「あっ…」

光は土手の草に滑り、倒れかかる。

「光くんっ!」

千蔭は必死に叫び、手を伸ばす。

手を取り合ったものの、千蔭も倒れる光に巻き込まれる。

そして、土手の斜面を2人は転げ落ちていった。

転げ落ちた先は、草むらがクッションとなり、2人が大きな怪我をすることはなかった。

しかし、頭を軽くぶつけたため、一瞬気を失っていた。

数分後、転げ落ちたときの擦り傷の痛みを感じながら、目を覚ます。

「光くん、大丈夫?」

「ああ。千蔭も巻き込んでごめんな」

だんだんと頭も覚醒していき、目を開いた。

それぞれが目の前に座り込んでいた。

しかし、2人が目にしたものは普通じゃなかった。

「「何で俺/僕が目の前に!?」」

2人は同時に叫んでいた。

「何で俺がいるんだよ!千蔭はどうした!?」

と、千蔭。

「僕が目の前に見えるなんて、幻覚?光くんはどこにいるの!?」

と、光。

2人が辺りを見回しても、探している人は見つからない。

そして、目の前にいる自分の姿が言っていることもおかしいと気づいた。

「お願い、こっち来て!」

光の体が千蔭の体の手を取り、引っ張って連れて行く。

静かに流れる川の近くまで来た。

2人は川をのぞき込む。

「やっぱり…」

光の体は、口元を歪め、顔を引きつらせる。

千蔭の体は座り込んで、さらに川に近づく。

千蔭の前には光の体。

光の前には千蔭の体があったから。

「僕たち、入れ替わったってことだよね?」

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