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ワタシは初めてワタシから、ハクアくんに口づけた。
「ありがとう、ミノリさん……あと、ちょっとだけ……堪能出来たら、ちゃんと、解放するから……」
触れたまま語る唇は、まるで名残惜しそうであったけれど。ハクアくんが心からワタシを労わってくれているのが感じられた。
「ね、ハクアくん……ワタシって……美味しい?」
自分でも大胆な台詞だと思ったせいか、ハクアくんも少し驚いたみたいだった。
「四年振りに再会した貴女は、見事「穂が垂れる」ほどに「稔り」を迎えていました。ですから……「絶品」と言ったら……失礼でしょうか?」
「ううん、むしろ光栄」
期待通りの嬉しい答えに笑顔で応えたけれど、実のところ褒められる自信はあった。だってこの四年、ワタシはハクアくんにとっての「イイオンナ」になりたくて、一瞬一瞬を精一杯生きてきたのだもの!
ワタシはハクアくんの頤を両手で包み込んで、放心する身体に力を込め、再びキスをした。
「……ミノリさんに会う前に味わった感覚も、海外での四年間に味わった感覚も……今このひとときにはまるで敵わない……」
「うん……ん……」
ハクアくんが年齢よりもずっと見た目が若いのは、もしかしてこの行為の賜物なのかも知れないと悟った。
「は……ありがと……これ以上は、もう……」
けれどそれから一分もしない内にキスを止めて、ハクアくんはワタシのデコルテに顔を埋めた。
おそらく……抜き去られたのは、ワタシの中の四分の一程度だ。
「ううん、いいの。もっとあげる。もっと貰って」
「いや……ダメだよ。余り抜き取るとミノリさんに支障が──」
「ハクアくんの「半分」をワタシで満たしたいの! 大丈夫……ワタシ、大手出版社に就職が決まったんだ。だからこれからもハクアくんの知らない知識を沢山手に入れられる。だから、ね──」
「……!」
驚くようにハッと上げられた瞳が、ワタシの決意を秘めた双眸とかち合う。
「ミノリ……さん──」
それでもハクアくんは、ワタシの中身を吸い取らないように気を付けながら、ワタシの唇を愛撫した。
「ハクア……くん?」
ゆっくりとワタシごと立ち上がって、お姫様抱っこしたまま室内へワタシを誘う。
寝室のベッドに運ばれたワタシの耳元に、微かに聞こえた──「好きだよ」。
「ありがとう、ホタル──」
これからまた、次の新しい未来が始まるのね。今度はハクアくんとワタシ、二人での未来が。
だからもっと……抱いて、キスして──
ワタシというミルクでクルクルかき混ぜられた「カフェオレ色」に、ずっとずっと染まっていて──
~*・FIN・*~
最後までお目通しくださいまして、誠にありがとうございました☆
実は「ミルク」という言葉も何処かから拾い出したいと思い、ミノリの「ミ」・ホタルの「ル」・ハクアの「ク」と、何とか全てを登場人物の名前から見つけ出したのですが、さすがに強引過ぎるなぁと感じ、本文に挿入するのは断念致しました(/ω\)
元々は『カラー・レター』という数年前に書き上げました作品の原型版です。
そちらの前半部分と、ボンヤリ思い浮かべながら書き出していなかった原型版の後半をアレンジして結合しました作品です。
後半チューばかりしておりますのは、、、「作者相当欲求不満なんだなw」とツッコんでいただきまして(笑)
何卒ご容赦くださいませ。。。<(_ _;)>




