5話 平凡な少女とサイコパスの女の子
正城縁の友達の中崎雅は縁の事を邪険に扱う縁の家族を殺したうえに、縁の家を燃やした。そして、次は藤澤美結梨に問いただす事にした。
美結梨の家のインターホンがなった。そのタイミングで目覚めた縁は自身に抱きついて寝ている美結梨を起こした。
「美結梨! 起きて! 誰か来てるよ!」
「……んん? 縁ぃ何ぃ?」
「インターホンなってるよ」
「え? こんな時間に? 誰かな? 縁もついてきてよ」
「う、うん」
美結梨は縁を連れて玄関に向かった。……だが、玄関の扉の前に来た時、危険を感じて扉から離れた。縁は美結梨の行動の理由が分からず、
「美結梨? ど、どうしたの?」
と聞いた。美結梨は警戒して縁を連れて部屋に戻った。
「み、美結梨!?」
「私には分かるの! 家の前に入れちゃいけないやつがいる!」
美結梨はそう言って、部屋の窓を少しだけ開けた。すると家の前にいる人が、
「1年のメス犬! 縁を返せ! 縁はわたしの友達なの!」
と美結梨の部屋の窓に向かって言っていた。この声を聞いて縁は思わず、
「み、雅!?」
と大きな声を出してしまった。
「縁! 今助けるから! 1年のメス犬の監獄から解放するから! 待ってて!」
中崎雅は高い身体能力を生かして、2階にある美結梨の部屋まですぐに上ってきた。美結梨は窓を閉めて鍵をかけるも、雅は持っていたナイフで窓を破って美結梨の部屋に入ってきた。
侵入者――縁を奪おうとする敵が部屋に入ってきた事で美結梨は縁を守る体制をとった。
「中崎雅……縁を奪うの?」
「奪う? 違うわ! 取り返すの! 縁はわたしのなんだから!」
「もうお前のじゃない! 縁は私の恋人なの! 永遠に一緒だって誓った恋人なの!!」
「ふざけないで! 縁があんたと永遠を誓うはず無いわ! 縁が好きなのはわたしなんだから!」
その時、縁はハッとした。雅は自身の好意に気づいていたという事を。
「雅……あたしは……」
「縁。否定しようとしなくても良いわよ! 縁がわたしを好きな事はずっと前から気づいてたから!」
「っ!!」
「告白してくれるのをずっと待ってたんだけどそれじゃいけなかったみたいね。わたしからさっさとするべきだったわ」
「えっ!? 何を言って……」
「わたし、縁の事大好きよ! 縁がわたしの事を好きな気持ちよりも強いわ!」
「そうなの!? ……いや、雅は勉強ができてスポーツもできる顔がカッコいい人が好みじゃ――」
「そんなのそこのメス犬が縁がわたしを諦めるように言った嘘に決まってるじゃない! わたしの好みは縁だけよ!」
雅にそう言われて嬉しくなった縁。その嬉しさが表情に出てるのを見た美結梨は焦りながら縁に言った。
「縁! 騙されちゃダメ! 私の完璧な調査でこの人は縁なんて全く好きじゃないって証明されてるの!」
「……あたしの事は完璧に当たってたけど……雅の事は外れてたって――」
「違うよ! 私の調査は完璧だよ! むしろこの人の方が嘘をついてるよ!? 全然好きじゃない縁を大好きだって言ってるんだよ!?」
美結梨の発言に雅は美結梨をゴミを見るような目をして、
「好きじゃなかったら縁を助けだそうとはしないわ」
と言った。その言葉で美結梨は動揺して縁を守る体制を崩してしまった。その瞬間、雅は縁をお姫様抱っこして、
「縁! 行くわよ!」
と言いながら玄関に走って行って、鍵を外して外に出た。そして、美結梨の家から離れた。美結梨は全速力で追いかけるも、雅の高い身体能力には敵わず、見つけられなくなってしまった。
30分程で雅と縁は雅の家の前に着いた。そこでようやく雅は縁をおろした。
「縁! ここがわたしの家! そして今日から縁の家にもなるわ!」
「え!? いやいいよ……。あたしはあたしの家に――」
「ダーメ! それだと1年のメス犬が来た時に縁を守れないわ! それに縁を邪険に扱うあいつらからも守れない! だからここに住んでね!」
「う、うん……そ、それなら……」
縁は雅の言葉を受け入れると雅に案内されて雅の部屋に入った。そして、雅のベッドに寝転がされると、朝っぱらから疲れてしまったためすぐに寝入った。
「ふふ、可愛い。一緒に寝たいけど、あのメス犬を始末しないといけないから我慢ね……」
雅はそう言って家を出た。
10分程で雅は雅の家を探していた美結梨に遭遇した。雅は満面の笑みを浮かべて美結梨に言った。
「1年のメス犬! 縁はわたしの家で気持ちよく寝ているわ! あんたから解放されたのがとっても幸せなんだわ!」
「違う、違う! 違う!! 縁は私といる方が幸せなの! ただの友達でしかないお前より恋人である私と方が――」
「縁はあんたの事を受け入れるはず無いわ。あんたが無理矢理縁を恋人にしたんでしょ? わたしの事しか受け入れていない縁があんたを受け入れるはず無いもの!」
「……そんなの違う!! 縁は私を――」
「わがままな態度をすれば縁は受け入れざるおえないって思ったんでしょ? 縁の弱みを狙って!」
「…………」
雅の言葉が図星なせいで反論できなくなった美結梨。だが、美結梨は少し口角を上げて、
「お前を殺せば縁を取り返せるよね。だから死んじゃえ!」
と言いながら家から持ってきた裁ち鋏で雅の首もとを狙った。だが――、
グシュ!!
「……え?」
美結梨の裁ち鋏は雅の首もとには届かず、逆に雅のナイフが美結梨の腹部(胃袋の辺り)を刺していた。長いナイフなので美結梨の細い体を貫通していた。
「うっ……! ぶはぁっ!!」
美結梨は口から血を吐いて雅の服にかけた。雅は血の着いた服を見ながら、
「汚いなぁ! 縁の服を汚さないでよ!」
グサァッ!!
と怒鳴って、美結梨の腹部(小腸の辺り)を刺した。当然、貫通した。
「あぁ……! がっ……あ……」
激しすぎる痛みと大量の出血により後ろに倒れこんだ美結梨。意識が朦朧としている美結梨に雅は笑みを浮かべながら聞いた。
「ねぇあんた。縁の事諦める? 諦めるなら応急措置してあげるけど?」
「……うっ……ゆ……はぁ……はぁ」
「早く言って。諦める? 諦めない?」
「……ゆ……かり……わた……さ……ない……」
「そっ、じゃあ殺すね」
グシュゥッ!!
雅は美結梨の胸部(心臓の辺り)を刺した。ナイフが貫通した事で更に大量に出血し、体が動かせなくなった。
「……う……ゆ……」
「地獄で縁を好きになった事を後悔するといいわ!」
グサッ!! グサッ!! グサッ!! グサッ!!
美結梨の体を複数回刺してとどめをさした。美結梨は死んでしまった。雅に殺された。
雅は美結梨の体をバラバラにして辺りにばらまいた。返り血まみれになった雅はとても清々しそうな表情で、
「縁と結ばれて、邪魔者を殺せて、最高ね!」
と大きな声で言った。そして、雅は家に帰った。
血まみれになった縁の服を箱に入れて保管し、雅自身は体を洗って美結梨の血を落とした。そして、別の縁の服を着てさっぱりした体で寝ている縁の隣で寝入った。
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