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3話 平凡な少女を独占するストーカーの女の子

 平凡な女子高生の正城縁(まさきゆかり)藤澤美結梨(ふじさわみゆり)の告白を断った。しかし、縁の意思を無視した美結梨に無理矢理恋人にさせられたあげく、家に連れ込まれてしまう。



 翌日の朝6時。縁は美結梨に抱きつかれてる状態で目覚めた。


「……うわっ!? ぐっすり寝てた! 藤澤さんが寝てるうちに帰らないと!」


 縁は自身に抱きつきながら寝ている美結梨をどかそうとした。だが、


「ゆ~か~り~。私の事は~、美結梨って呼んでって~、言ったよね~?」


と美結梨がねっとりした喋り方で言ってきた。


「藤澤さん……お、起きてたのか……!」

「藤澤さんじゃなくて~、み~ゆ~り~」

「み、美結梨……」

「うんうん。私~縁が起きるのを待ってたんだよ~。だけど起きて最初の言葉が帰らないとだなんて……。酷いよ……。私を捨てようとするなんて……」

「そんな事は……! でも家族が――」

「家族……あのゴミクズ共は縁がいなくても知ったことじゃないって言ってたよ?」

「っ! いくらあたしに冷たくてもそんな事は――」

「実際に聞いたらそんな事言ったの」

「き、聞いた!?」


 美結梨は前に縁の家族と話しをしたようだ。そこで縁の家族は縁の事なんてどうでもいいような事を言ったようだ。

 縁は信じたくなかったが、美結梨が嘘をついているとは思えなかった。


「やっぱりあたし……いらない子なんだね……」

「あのゴミクズ共は縁を捨てたんだ。帰ってきてもいらない子が帰ってきたって思ってるんだよ?」

「……そっか」

「だから縁はそんなゴミクズ共の所に帰っちゃダメ!」

「…………」

「ゴミクズ共の所に帰って不幸になるより私とここにいて幸せになる方が良いよ!」

「…………」

「だからずっとここにいてね! そうすれば縁も私も幸せになれるんだから!」

「そ、そうだとしても……」


 どうしても美結梨を受け入れる気になれない縁。美結梨は明らかに悲しそうな表情になって、


「ここまで言っても縁はまだあのゴミクズ共を選ぼうとするんだね……。そんなのおかしいよ……。私は縁の事がとっても大好きですっごく愛してるんだよ? 縁が私の全てなんだよ? それなのに縁は私を拒み続ける。なんで? ねぇ、なんで?」


と目をうるうるさせながら上目遣いをしてきた。美結梨を受け入れる気になれない縁はなんて言えば良いのかわからず、美結梨の顔を見続けるばかりだった。


「私とは口を聞くのも嫌なの?」

「それは違う……!」

「じゃあ言ってよ。どうして私を拒むのかを」

「それは……わからないんだ。あたし、馬鹿だから……」

「……そっか。ごめんね。私、まだ縁の事で知らない事があったんだ……。悔しいな……」


 美結梨は苦笑いをしながら縁に問い詰めるのをやめた。縁はホッとして気を緩めた。だがその直後、美結梨は縁をベッドに押し倒して横になった状態で抱きついた。


「ふじ……美結梨?」

「縁……。私のそばからいなくならないでね? 24時間365日ずっと私と一緒にいてね? 当然、ゴミクズ共の家に行くのはダメだよ? 勿論、学校に行くのも……ダメ、だからね?」

「え? 学校には行かなきゃ……」

「ダメだよ。私と縁が離ればなれになっちゃうし、縁はあの人と会ってしまうでしょ?」

(みやび)……」

「縁の事が大好きな私としては縁をあの人に会わせたくないの。縁の好きな人はあの人じゃなくて私じゃなくちゃいけないんだから」

「……そうか」


 仰向けになっている縁の顔を美結梨はうっとりした表情で見た。


「ふふっ、私と縁は恋人なので~その証として……キス……しよ?」

「……え? き、キス!? 待って――」

「やだ!」

「んむっ!」


 美結梨は縁の唇に自身の唇を付けると、更に舌を縁の口内に入れて縁の舌をなめまわした。

 30秒程キスしてから美結梨は縁の顔から顔を離した。


「ゆ・か・り! ずぅっと、一緒だからね!」

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