あともう少しだけ
今日は、珍しくパパンがたくさん起きていました。
「久しぶりだね、気分はどうですか?」
灰色の目を大きく見開き、眉が動きます。
震える手をわずかに持ち上げ、
口から吐息のような声が漏れました。
「そうなの、それはよかった」
また、微かな息。
わたしたちは、たくさんおしゃべりしました。
パパンはほとんどこちらを見上げているだけだったけど。
やがて、パパンがゆっくり目を閉じたので、
「疲れたかな、また来るね」
と側を離れようとした途端、
パパンが一生懸命目を開けてわたしを見るものだから、
わたしは椅子に戻って、またおしゃべりをしました。
そんなことを何度も繰り返すものだから、
わたしはついおかしくなって、
「これじゃあ、いつまでたっても帰れないじゃない」
と笑って、そして少し泣きました。
車の中でたくさん泣きました。
お願いです、どうかその時が少しだけ先でありますように、
ほんの少し、あともう少しだけでいいのです。
どうか、どうかーー