悪役令嬢兼聖女姫にTS転生して王子兼勇者に婚約破棄されるも、追放先のダンジョンで最強武器を拾いテイマーになって魔王倒しスローライフを目指すループの7周目に突入 ~ただし全部ゾンビパニック状態~
「ウォ~ウォ~!」
俺は田中ザマァ。目が覚めたら伝説の糞VRMMOゲーム『バイオ王国で捕まえて』の主人公、悪役令嬢のポーション姫になっていた。
「ウォ~ウォ~!!」
「なんだこの国ゾンビ臭ぇ!!」
そして目の前にはバイオ第一王子がこちらを指差していた。更にこのパーティ会場……見覚えがある。何たってもう7周目だ!
このゲームは王子の婚約破棄シーンからスタートし、同時に世界中が突如ゾンビパニック状態となる。噛まれたらゲームオーバーだ。しかも、国民は無抵抗のまま噛まれまくって次々とゾンビ化する。
世界がゾンビ化するか、ポーション姫が魔王を倒すかのタイムアタックなのだ!
「ポーション姫、婚約破棄して追放グェッ!」
「キャー! 王子様が噛まれたわ!!」
はええよ!!
「おい国王、俺はどうなるんだ! 追放でいいのか!!?」
「勇者ポーション姫よ、どうか魔王を倒してくれ。なぁに姫なら出来る」
「軽いな! 息子が噛まれてんのに冷静すぎんだろ!」
「ウォ~ウォ~!」
息子どころか、パーティの参加者が次々とゾンビ化している。展開が早い。そしてゾンビくさっっ!!
「魔王を倒せばこのゾンビ達は消え去るんだな!?」
「いや、魔王とゾンビは関係ない」
「関係ないのかよ!!」
くっ、魔王よりゾンビ倒した方がいいじゃねぇか!
「仕方ねぇ、行くぜ!」
あと数分で城はゾンビランドになる。7周目だから流石の俺でも学んだ。急いで防具を装備する。
「姫、何ですかそのダサい装備は?」
「肩パッドだ! 外は世紀末だぞ!!」
「姫、あの馬車に乗ってください」
俺の言葉を無視して物語を進行させるこの執事の名はロットン。ゾンビみたいな名前の腐男子だ。
俺とロットンは馬車に乗り込み城を出た。
だが、外は意外なほど静かっだった。国民はこれから城を抜け出してきたゾンビに対し、無抵抗のままゾンビ化する。
なんだこの糞ゲー!!
「ここが牢屋遺跡ダンジョンです」
「ウォ~ウォ~!」
「あ、馬車がゾンビに噛まれたぞ」
「行きましょう」
ロットンは俺を無視してダンジョンを進む。
ここまでは6週目と同じだ。
「待てロットン。そこの扉の裏側に最強装備がある」
実はこのゲーム、ベリーイージーモードがあった。遺跡の隠し扉を開くと、最初から最強装備が手に入るのだ。
「はっはっは、見ろ! テイマー杖だ!」
このテイマー杖を使うと、ゾンビ以外は誰でもテイムできるという優れものだ。しかも、この部屋からドラゴンがいるダンジョンの最奥までエレベーターで繋がっている。ご都合がいい!
そして背後からドラゴンをテイムした。
「グオオオオサイキョウ!!」
「ヨッシャ、最強になった!」
「姫、どうするんですか」
「魔王のとこまで飛んで行くぞ!」
ドラゴンの背に乗り、魔王の城へと向かう。
ふと下界を見下ろすと、村がゾンビだらけだった。
「ひでぇ、村人がゾンビを無視しながら飯食ってるぞ。あ、噛まれた」
「ゾンビよりも魔王ですよ」
「いやゾンビだろ」
そして魔王の城についた。
実は隣国の王様が魔王なのだ。
「ウォ~! ウォ~!」
「っく、遅かったか!!」
魔王の城には朝の武蔵小杉駅ばりにゾンビが詰まっていた。
「やばいですよ姫、どうしますか?」
「このまま突入するぞ! あ、あれだ、あれ魔王だ! 行けドラゴン!」
俺はドラゴンで魔王に突撃した。ドラゴンが壁を壊しながら真っ直ぐ飛んで行く。魔王以外は全部ゾンビだから全部ドラゴン体当たりで飛ばした。ドラゴン強い!
「ぬおおお痛い! お前はまさか勇者ポーション聖女姫!?」
「魔王死ね!!」
「ぐわあああああ!! お、俺のゾンビパウダ―計画があぁあ……!」
「やめろ、著作権に触れるな!!!」
魔王は爆散した。
だが、既に城はゾンビだらけだ。ドラゴンに乗って逃げようかと思ったが、なんとドラゴンもゾンビに噛まれていた。ドラゴン弱い!
逃げ場は無いか。
天運は尽きたようだな。
「やれやれ、まぁたループかよ。悪いなロットン、死地に付き合わせた」
「姫もこりませんね、これで8週目ですか」
「あぁ…………ん?」
…………んんん!?
「次はクリアを期待していますよ、カプッ!」
ロットンが俺の肩をカプっと噛みついた。
だが――――今回は手を打った。
「なっ! これは肩パッド!?」
「ざまぁ!! てめぇがゾンビボスって知ってたぜ! くたばれぇええええ」
「ん゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」
渾身の聖女パンチでロットンは爆散した。
――ふぅ。
魔王とゾンビボスを倒した。
これでようやく、世界に平和が戻った。
「ヨッシャ、俺のスローライフの始まりだグェッ!」
……あっ。
腕にゾンビの歯形が。
「ウォ~!」
―GAME OVER―
さくしゃは よっぱらって まが さした。
なお削除依頼が来たら速やかに削除する模様グェッ!