俺はここにいる
読者様の意見がとても気になるタイプです。
酷評でかまいません。ツマンネの一言で結構です。評価とコメントの方、是非お願いします。
もし、協力していただけるなら、どこがおもしろく、どこがつまらないか、詳しく教えていただけると大変ありがたいです。よろしくお願いします。
部屋には誰もいない。
本棚があって、ベッドがあって、ノートパソコンがある。
アキラシンヤは存在を継続するためにキーボードを叩く。言葉を打ち込む。ひたすら打ち込む。
今日の天気は晴れ、気温は適温、靴下を履くとなおよい。だが全ては部屋の中の話である。
ドアは閉められている。窓は閉められている。空気はどこからか流れ込む。空気の流れはアキラシンヤの生存を保障すれど存在には無関係である。
バイクの音。おそらく赤いヘルメット。大学生だ。痩せ型の好青年だ。内気かも知れない。
これから大学に向かう。時間には間に合う。教室に仲のよい人はいない。真面目に講義を聞いているが、ノートはあまりとらない。
講義が終わる。彼女に電話する。同じ大学なのだろう。でもこれから会うわけではない。
大学から帰るためにバイクに乗る。しばらくして、アキラシンヤはまたバイクの音を聞く。
アルコールが足りない。だが部屋は閉ざされている。アキラシンヤはジレンマに陥る。自ら決めたルールを破りたくなる。そしてあっさり破る。アキラシンヤはそういう人間だ。
そういう人間だと書いたが人間とは限らない。システムかも知れない。部屋は閉ざされている。誰もアキラシンヤの実在を確認できない。
存在はここにある。確かにここにある。この言葉はアキラシンヤの存在である。
アキラシンヤは自ら自身の実在を危ぶめている。自身の不在の確率を高めている。
連続する自我がアキラシンヤの実在を自身にのみ確認させている。丁度、子どもにしか見えないくじら雲のようだ。連続する自我は実在の証明に対し何の役にも立たない。
アキラシンヤは短い声を出した。壁に吸収され、残響はない。では、果たして短い声は出されたのか。出していないと思われる。
子どもが泣いている。レモンイエローの服を着ている。ショートカット。2,3歳くらい。男女の別は分からない。
どうして泣いているんですか?おもちゃの車に乗ってて、こけたんです。そうですか。それは痛かったでしょう。いえ、そんなに痛くはありませんでした。泣いたのは、母親に優しくされたかったからです。大きく泣いたおかげでだっこしてもらう事が出来ました。幸せです。そうですか。よかったですね。お母さんを大事にしてくださいね。
誰かを大事にしたり、大事にされたりする事はとても大切な事だからね。