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俺様の作ったゲームが全力で俺様を殺しにやって来る件。  作者: まんどう
STAGE 0 チュートリアルを始めます
9/17

STAGE 1-1 チーム俺様……始動!

称号は極端なステータスの変化はもたらしたりはしない。

何せ、知ってさえいれば始めて直ぐにも古参に追いつけるように作っているからな。

差が出るとすれば冒険者のランクによる称号位だろうか?


ランクによる称号は=スキルランクとも言える。

今の俺様は始めて直ぐの状態のため、使える武技が少なく強さも今一だ。

スラッシュ、クロス、スタンプ、スタブ……おチビ兄が使ったコンボの材料だな。

スラッシュは前ディレイ無し、後ディレイ6で2倍の攻撃力をもつ残撃。

クロスは前ディレイ1、後ディレイ6の3倍の威力を持つ。

スタンプは前ディレイ無し、後ディレイ6の蹴り飛ばしで、距離を開けたりするのにも使われるが、攻撃力は武器の乗らない足の力だけになるため弱い。

スタブは前ディレイ3、後ディレイ6の5倍の攻撃力を持つ。


ちなみに複数人でスタンプを回して相手を封殺(何処の世界のリンチだ)! ……なんてことは出来ないぞ。

バッドステータスは上書きでは更新されず、効果終了後に再付与までにディレイが生じるようにしてある。 


コンボをつなげるときは、前に何かしらスキルが使われていると前ディレイが省略される。

つまりスラッシュ→クロスはクロスの前ディレイが省略されるために繋がる。

しかしスタンプをはさまないとスタブにつなげられないわけだな。

そしてフィニッシュまで決めると、最後の攻撃は倍の威力になる。

コンボ回数は攻撃力にそのまま掛け合わされるので、コンボを知ってる知らないではかなり差が出る……対人ではコンボ倍率は適用されないがな。

2コンボだとスラッシュ2×1+クロス3×2=8までのダメージしか出せない。

これに対し4コンボだと、8+スタンプ1+フィニッシュスタブ4×4×2=41にもなる。

スタンプが1なのは、倍率かかっても大体そんなモンと言うことで。

勿論モンクやら徒手空拳系の称号があれば変わるが、まぁ駆け出しだし省略だ。

おチビ兄が何度も2コンボを繰り出していたのに対し、フィニッシュまで出せたなら5倍もの攻撃力に達していたというのはでかいだろう。

しかも、次の2コンボを繰り出せる同じタイミングで4コンボも出せるようになるのだからな。



………

……



等とベッドの上で知識の整理をしつつ、昨日で試験運用も済んだ事だし、これから本格的に冒険者とやらをやってみるとしよう。

見慣れてしまった天井を見上げつつ、決意を新たに起き上がる俺様。

どこぞの熊がジト目で俺様の動向を見守っているが、知らん振り知らん振り。



………

……



俺様が起きて食堂に降りてくると、慣れた物で、ニニンが朝食を持ってきてくれる。

そして昨日巻き込んだベルンとアイル兄妹も合席して食事を取った。


「おっさんよく生きてたな」「お兄ちゃんたら!」


「ふむ、最後は締まらなかったが良い物が見れただろう?」


「……それは確かに」「凄かったです!」


「俺様だからな!」


ベルンがジト目で、アイルがキラキラした目で俺様を見つめてくる。

ふふふ、存っ分に敬いたまえ。


「でだ、お前達がよければパーティを組まないか?」


「へぇ?」「わぁ! ね? 良いよね? お兄ちゃん!」


ふふふ、アイルは俺様にすっかり懐いたな。

ベルンも直ぐに否定的な言葉で返さない程度には、調教出来たと見える。


「……何か失礼な事考えて無いか? おっさん」


「んー? 誓って“無い”と言って置こう」


ホントかよ、とか言いつつ食を進めるベルンに、懐かないニャンコを幻視した。

アイルは勿論、尻尾が見えそうなワンコだな。


「異論がなければ後で登録しに行こう」



………

……



「へぇー、では皆さんでパーティを組まれるんですね?」


「その通りだ」「そうなる」「はい!」


喜ぶアイルと祝福するニニン、かしまし娘ーズが手を取り合ってきゃっきゃ言ってる。

どうもアイルは前々からパーティを組んでみたくてしょうがなかったようだ。

ふふ、懐かれすぎだな……え? 大丈夫よね? ノー犯罪、おーけー?


「ニニン、ステータスの確認を頼む」


「今日も……なんですね」


「今日も……だ」



………

……



「わぁ……また変わってる……カルマさんは一体どうなってるんですか」


「ふむ……」


・無鉄砲

・見習い魔法使い

・不屈


後二つ称号を得ないと無鉄砲を消せないな。

それと見習い魔法使いから「?」が消えてステータスの変化率が俺様の知るそれとようやく一致したな……やれやれ。

最後に不屈か……エルダーデモラビ相手に立ち向かって勝ったからか? 有難い。

この不屈のスキルは各種耐性が微アップし、更に生命力やマナも微アップと言う、珍しくマイナス効果の無いスキルである。

更に他の耐久系スキルと統合して「不撓不屈」へと進化させられる。

進化しても他の上位系称号と比べて恩恵が薄いので、マイナスはなくとも最終的に外される候補筆頭だけどな。

今の俺様には有難いスキル様である。


「よし、よく分かった」


「……私は謎が深まりました」


ニニンは考え過ぎだ、ハゲ……る訳無いか。

変わりに熊がハゲるぞ……とっても良いなそれ! 等とつまらない事を夢想しながらオチビーズと合流する。


「……おっさん、また失礼なこ」


「チーム名を決めねばな! ……“俺様と下僕達”なんてどうだ?」


「喧嘩売ってんのか?」「下僕……」


「ふーむ、では“ちびちび白パン”か?」


「ちびから離れろよ!」「ぶふぅっ!」


「何だったら良いんだ? ん? ……そもそもオチビーズのチーム名はなんだったんだ?」


「……おい」「オチビーズじゃないです! フォーチュンツインズです!」


「……ん? 双子だったのか?」


「いや?」「え? 響き的に決めましたけど?」


適当か! んー……3人……三位一体……。


「三位一体“トリニティ”なんてどうだ?」


「へぇ?」「ああ! 良いじゃないですか!」


「では俺様たちはこれからチームトリニティだ。

 早速登録を……」


「俺がやってくる」


「……いや、別にそれ位俺様が」


「おっさんは絶対備考欄に、俺様と下僕達って書くだろうから却下だ」


なんてこった……先回りされる……だと。

まぁ良いか、どうでも。


「ではパシリー君、行ってきたまえ」


「殴るぞおっさん!」「やーめーなーよー」


もういい加減、アイルはこのやり取りになれてきたようだ。

それにしてもからかいがいのあるおチビだなぁ……。



「さて、登録も済んだし早速仕事を取って見るか?」


「っつっても、ランクを上げる近道になりそうな依頼はなさそうだぞ?」


「まずはカルマさんのランク上げだよね」


チームを組んだ場合、ランクをそろえない事には昇級試験を受けられない。

そのため、俺様のランクを上げる事が急務となるわけだが……。

こればかりは運が絡むため、知識チートとは行かない。


「仕方ない、数をこなして備える事としよう」


「了解だ」「はい」



………

……



俺様達は村周辺の見回りの依頼を受けて、ぐるっと一周しているところだ。


「ぅわんっっ!」


「ぬおっっ! ……お前か」


俺様はその途中、この世界で目覚めた時に最初に出会った人物……がつれてた犬と再会したのだった。

勿論爺さんともな。


「ほっほ、あんちゃん、ちゃんと冒険者になれたようだな」


「ああ、ちゃんと冒険者だぞ」


「こんにちは、ヤック爺さん」「こんにちは、ヤックさん」


「おうおう、二人ともこんにちは。

 今日はお仕事かね?」


「このおっさんと見回りだ」「はい」


ふむ二人は猟師の爺さんと知り合いか。


「おっさん、ヤック爺さんと知り合いだったのか?」


「色々あってな」


「このあんちゃん、そこの草原でのんきにいびきかいて寝てたんだよ」


余計な事言うなよくそ爺め……え? てかいびきかいてたの? 俺様。

ちょっと驚いてる俺様をオチビーズはジト目で見てくる。

くそ……話題を変えねば……。


「つか、随分昔には、ここら辺でそういう変なのを見つけることがあったって話だが……おっさん、まさかそういう系統なのか?」


「そういう系統?」


「迷い人」


迷い人か……良いフレーズだが、それがこのゲームをやってる人間を指すなら、大昔に居たって時点で、俺様が迷い込んだのは正式稼動後の世界、それも廃れちまってる悲しい現実を思い起こさせるじゃないか!

……いや、それだと実装するかどうか迷ってる仕様があったりなかったりと、随分迷走してる。

まさか正式稼動を決めた後からも、更にテストにテストを重ねた挙句にポシャったのか!?

だとすれば“迷い人”が訪れなくなった理由も説明が付くが……ぐぬう……有り得ねえ。


まぁ……情報を集められない現状では如何ともしがたい。

他に聞ける事もあるでは無いか……例えば、


「爺さん、この辺りに遺跡なんか無いか? もしくは神殿のようなものでも良いが」


「遺跡? 神殿?」「「???」」


オチビーズも首をかしげている。

むう……死んだ時に復活地点となる“黄泉の聖殿”さえ見つければ、安心して死ね……るかなぁ……難しいけど……でもまぁ保険にはなるよな。

大きなシステムについては覚えているが、聖殿に関しては実物を見てみないと思い出せそうに無い。

そして……俺様の目覚めた場所だ、と言われている地点の近くには聖殿があったはずなんだけど……何処だろう?


「確かに昔遺跡らしきもんがあったようだが、崩れてからは誰も見向きもして無いやな」


うそーん……まーじーかー!? もっと大事にしろよ!!

そこで俺様が固まってしまったので、オチビーズが爺さんと別れの言葉を交わして、爺さんは犬を伴い去っていった。

爺さんの言葉を聞いてから、がっくりしている俺をどうしたら良いのか分からないようで、オチビーズがちらちらと様子を伺ってくる。

そのたびに手を振って見せるが……はあ。


「おっさん、何があったか分からんが元気出せ」「……はぁ」


「後は山だけ見回れば終わりですからちゃちゃっと済ませましょう!」「……はぁ」


「はぁ……今日はちょっと豪華な昼飯にしてやるから、な?」「……はぁ」


余りに反応の薄い俺様に流石にオチビーズも声をかけなくなってきた。


「……あっ、カルマさん、そこ気をつけて」「……はぁ……のわっ!」


「あっ! おいっ!」「カルマさーん!」


俺様は注意をされたのにもかかわらず、足を踏み外して……ごろごろごろごろ山を転げ落ちていった。

え? 俺様の受難って毎日続くの?


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