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俺様の作ったゲームが全力で俺様を殺しにやって来る件。  作者: まんどう
STAGE 0 チュートリアルを始めます
8/17

STAGE 0-8 俺様の冒険が今始ま……るんだよね?

俺様の作ったオルヴォテイアには明確なレベルは無い。

称号等を用いてステータスや職業に差異を持たせる事はあっても、始めたばかりのプレーヤーと古参のプレーヤーとで、能力に差は殆ど出ない。

後は長く続ける事によって得られた知識、集めた素材から作られる装備、そういうもので差が生まれてくる。

あとは称号によって就く職業の持つスキルだが、これも大きく変わるわけではない。

であれば、9割方プレーヤースキルが物を言う世界であるのが分かるだろう。


では巨大なモンスターはどうやって倒すのか?

特殊モンスターであるトロージャンですら、1対1で戦うのはきつい。

つまり、数でもって対応するのが正しいやり方である。

巨大な、もしくは強力なモンスターは、存在そのものがレイドボスなのである。

まぁ、トロージャンの場合、恐ろしくしぶといだけで攻撃力はさほど高く無いので時間と回復薬の消耗さえ覚悟すれば倒せなくは無い。

しかしドロップも無いし時間の無駄なので、村に駐屯している対トロージャン特攻持ちの衛兵に倒させるのがセオリーなんだが。


ボス級モンスターのレイドは、指揮できる奴が重要になってくる。

指揮官の用兵如何によっては、烏合の衆と化して無意味な全滅を招いたり、全く逆に無傷の大勝利に導けたりするからな。

ボスには基本、遠距離攻撃を当て、配下として呼び出す大量の雑魚共を近接が処理する。

まぁ近接に弱いボス格も居るには居るから適材適所で、だが。


古参組が欲するアイテムがこういうボス級モンスターでしか得られないため、度々呼びかけが行われる。

しかし、それゆえ寡占や略奪も横行しそうなものだが、このご時勢、直ぐに晒し上げられハブられる結果を招く。

こうなってしまえば、古参と新参とに差が無いならやり直せば良い、等と安直に思うかもしれないがそうはさせない。

プレイヤーにはオープンIDとキャラ名と二つが表示されていて、同アカウント中の別キャラはオープンIDでばれる。

また、高額アイテムは高級商会を通さねば略奪品扱いするように設定している上、取引ログは誰でも見る事が出来る。

こういうプレイヤーに粘着監視する人間は何処の世界にもいるらしく、凄い精度で晒し上げられていた。



………

……



「お前さんは毎日こうならないと気がすまないのか?」


「クエスト中にこれをやらかしたら死んでただろうが? 安全な所でやってみないで何時やるの? 今でしょ」


「……胸張って自殺行為を誇るんじゃねえよ」


むぅ……熊の分際で正論を……。

修練場で魔法の無理撃ちを断行した俺様はぶっ倒れ、現在、いつもの医療室に寝かされている。

もうこの部屋、俺様の部屋でいいんじゃね?


「お前さんの部屋じゃないからな、断じて」


「退路を断っただと!? エスパーかお前は!」


「何を訳の分からん事を……と言うかここに本気で住まうつもりだったのか? 勘弁しろよ……」


特に清潔に保たれなければならない医療室を毎日毎日占領するんじゃない、と頭を抱える熊。

その内何回にお前は絡んでいるんだと言ってやりたいが、大人な俺様は言わないで置いてやる。

この後、体に異常が無いことを確かめた俺様は一度部屋に戻って着替えを済まし、食堂にて朝食をとってからギルドの受付へと移動する。



………

……



「えっと、大丈夫? ……ですか?」


「うむ、調子はそこそこ良いぞ。

 早速だがステータスの確認を頼む」


「え? 昨日の今日で、ですか?」


「そうだ」


訝しがるニニンを急かしてステータスを確認させる。


「え? ……嘘、ステータスが変化してる?」


「どれどれ……成程……むぅ」


俺様のステータスは変化していた。

というのも、称号が2つついていたからだ。


・無鉄砲

・見習い魔法使い?


無鉄砲……少々の気絶耐性と、生命力・マナの値が上がり、知性が下がる

見習い魔法使い?……知性が上がり力が下がる・初級魔法のマナ消費軽減ボーナスと、武技によるスタミナ増加ペナルティを得る


くっそー……無鉄砲がついてしまったか……。

得た称号が4つ以下の場合、無条件で設定されてしまう。

しかし、無鉄砲で知性が下がるのは痛すぎるだろう……魔法使い? なのに……? 「?」って何だ!?

あれ? こんな称号知らんぞ!?


「カルマさん、表情ころころ変えて……どうしたんですか?」


「誰の顔が色んな具材のつまった白パンだ」


「ぶふっ!? だからやめてっていってるでひょー!」


……懲りもせずよく受ける娘だな。

まぁ良い……「?」の分効果が薄いのだろう事は分かる。

これでちゃんと魔法使いを頑張っていれば、いつかは「?」も取れる、もしくは新たに見習い魔法使いの称号を得る事が出来るだろう。


「よーおっちゃん、元気になったんだって?」


「お兄ちゃんたらもう!」


「お前におっちゃん呼ばわりされる覚えは無いぞ」


「んじゃ白パンか?」


「「ぶふっ」」


「……カルマ様と呼ぶ事を許してやろう」


「寝言は寝て……いや、ガス抜きはこっそりやれ」


「それは少々高度過ぎるネタだな」


事実、かしまし娘ーずは無反応に首を傾げていた。

……ニニンは分かると思ったが、パンは買う派っぽいからな。


「ちょうど良い、ちびっ子パーティの二人、今暇か?」


「チビじゃねえよ!」「名前で呼んで下さい!」


「分かった分かった、アイルにベルン、今暇か?」


「おう」「はい」


「ちょいと俺様の狩りの練習に付き合ってくれ」



………

……



「あんたが人に物を頼むとはなー」


「失敬な、俺様を何だと思ってる?」


「傲岸不遜な白パンの化身」「ぶふー!?」


あ、今度は受けるんだ……つか、失敬だなちびっ子め。


「幾ら俺様でも、身の危険が伴う事を前に、なりふりは構ってられんのだよ」


「……あんた選ぶ言葉が壊滅的に失礼だよな」


失敬な……っつか、ちびっ子も大概だぞ、とは大人の俺様は口にしなかった。

それはそれとして、俺様の実践訓練にはここら辺が妥当かな。

デモラビが多く出没する草原、それこそが俺様の選んだ場所だった。

エルダーデモラビとの戦闘を思い起こさせるが、大体にしてあんなのがぽんぽん現れてたまるか。


「ではやばくなったら護衛を頼むぞ、オチビーズ」


「勝手なチーム名付けんな!」「酷いですぅ!」


はっはっは、聞こえんなぁ。

さて、デモラビを前に貸し出された杖を構える。

魔法使い系の称号が無かった時は、ペナルティでマナの消費が増加してしまっていたため3発しか初級魔法が出せなかった。

今は「?」付きとはいえ、魔法使い系の称号も付いているし、消費を抑える効果も付いている。

更には駄目称号「無鉄砲」により、マナの保持量も若干増えている!

となれば「無鉄砲」で知性が少し落ちているとは言え、回数でカバー出来るだろうと想像に易い!


「まずは……基本のショット・ショット・ショット・ショット」


最も単純な硬質化したマナを飛ばすだけの魔法4連発。


「ぴっ!? ぎっ! ぎゅっ! ぎゃんっ!」


さすが俺様あっさりしとめたぜ。

ふむ……体感的にあと2発撃てるかどうかだな。


「おっさん、ちゃんと魔法使い出来てるんだな……口だけかと思ったけど、やっぱ何モンだよあんた?」


「毛が生えたかどうかのガキとは違うのだよ、ガキとは」


「よーし喧嘩なら買ってやんぞおっさん!」「やーめーなーよー!」


ふふふ、愚か者め……買わせてやる訳なかろうて……速攻で逃げてやるわ。

……こうなると裏コンボとかも試したいな。

しかしデモラビ如きでは耐え切らんのも事実……ふーむ。


 キュルオオオオオオオオオオ!!!


……え?


「おいおいまじか!」「えええええ!?」


出たよエルダーデモラビ……え? 何? 呪われてんの? 俺? チビッ子共? どっち?

……まぁ、今回に限っては良いだろう。

良い的が出てきてくれたわけだからな……とは言え、向こうが丘の上側で立ち位置的に若干不利だが。。


「おい! おっさん! さっさと下がれ!」


「ふむ? 俺様に下がれだと? お前たちは俺様の護衛だろうが」


「バカ言ってる場合か!? そもそもマナだって消費してるだろうが!」


あっハイ、そうでした……忘れてるとか大丈夫か、俺様よ……。


「カルマさん! これ飲んでください!」


「おおう?」


「マナの回復が早くなります」


仕方ない……言われた通りポーションを飲む。

うーん、マズイ! もういらね!

凄い顔しながらベルンの後方へと下がる。


「ぅ~ぃ……後で俺様が試したいことがあるので、抑える程度で頼むぞ」


「はぁ!? クエストでもねえのに指図すんのかよ!?」


「あれ? クエストにしたと思ったけど、やってなかったか?」


「してねえよ! ……ああもう! 分かったからとっとと戻って来いよ!」


一度エルダーとの戦いを経験したからか、ベルンには若干の余裕さえ見て取れる。

ま、そうだよな。

正しくコンボを理解出来たなら、エルダー位倒せて当然。

今は集中して回復に努める。


「メディテーション」


これはマナ回復を促すスキルでいわゆる瞑想だ。

消費したマナも半分位だったし、回復を促すまっずいポーションも飲んだので回復は直ぐだろう。


「ファーストスラッシュ! セカンドクロス!」


俺が獲物を抑えておけ、と頼んだからか、2発目までのコンボで留めるベルン。

3発目のサードスタンプは火力が無い上に、相手を怯ませたり転がせたりするから時間稼ぎになるんだが……また今度教えてやるか。


「よし! 一旦引け!」


「しぬんじゃねえぞ! おっさん!」


「毛が生え揃ってからナマ言え!」


んだとー! とか言う声が聞こえるが、俺様はそれ所ではない。

さあ、思い出せ……裏コンボの手順を……。


「ファーストショット! セカンドスパーク!」


例えるならジャブに続く目くらまし。

スパークも火系の最初歩の攻撃でしかない。

さっきの4連もそうだが、3までは何だって繋がる。

しかし、裏コンボは一味違うぞ?


「サードチャージ! フォースプレッシャー! フィフスショック!」


「はぁ!? チャージ!?」「えええ??」


チャージは特定の魔法攻撃の威力を上げる。

プレッシャーは風系の最初歩攻撃で、どんっ! と弾き飛ばして体勢を崩す効果がある。

ショックはそのまま電撃系で、極小さな麻痺を伴うが、体勢を崩した所で動きが制限されれば?


 ドドーン!


すっ転ぶわな。


「うえ……」「うそ……」


「シックスチャージ! セブンスショット! エイスリリース! ファイナルショット!」


更に溜めて、つなぎに一発、そして力を解放してからのー……止めのショット!


「ぶぎゃるおおおおおおおおおおぉぉぉぉぅ……」


ふっふ……どうだ? 俺様の裏コンボは。

単純にショットの十数倍の火力があるからな。

少しマナ切れでふらふらするが勝ちは勝ちだ。

うしろでチビッ子共が何か叫んでいる。


「…………!」「…………!」


はっは、皆まで言うな、俺様が凄い事は自覚している、はっはっはぶっ!?

何かが俺様を押し潰す! え!? 襲われてんの!? いやー! 助けてプリーズ!

しっかり潰されていたため、声すら出ない……くそう獣臭い……。

うん? こいつもしかして……?

丘の上から現れたエルダーデモラビを倒したまでは良かった。

倒した後、そいつが転がってきさえしなければ……だが。


くそう……また見慣れてしまったベッドの上か……。


投稿同日修正。ステータス確認時、 見習い魔法使い? の「?」が消えてたのを修正。

18/12/16「スパークも光系」→「スパークも火系」に修正……次話にてつじつま合わせのため。

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