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小話02 私の王子様~リリィ視点での日々~

それは、お休みの日。

今日は、アレク様が我が家に来ることになっている。


婚約式以来、2週間ぶりでわくわくするわ。


あの、呪いが解けた日からは、あっという間だった。

でも、テナン家は思いの外政権に割込んでいて、更にはハンガリン公爵家の処罰と、国は混乱を極めた。

出来るだけ会いにいくよ。そういって下さっていたアレク様だけど、国の立て直しの中心となり動いているようで、婚約式まではほとんど会う事が出来なかった。


でも、無事に婚約式も終わり、少し時間が出来たから遊びに行こうといって下さったの。

お外でお買い物やピクニックも楽しそうだけど、疲れているだろうアレク様にゆっくりしていただきたくて、お家におまねきしたのよ。

それに、見せたいものもあるんだもの!


「リリィ!」

婚約式でも思ったけど、久々にお会いしたアレク様はやっぱりちょっとお疲れで、少しお痩せになった感じ。

それでも、私を見ると、とても嬉しそうに笑って下さった。


「会いたかった。」

そういうと、私をぎゅーっと抱きしめてくる。

私もよ!そういってアレク様の腕の中から見上げると、そっと口付けられてしまった。


私の部屋に入ってお茶をして、少し落ち着くと、私は早速、見せたいものをアレク様に見せる。


じゃーん!

見せたかった、私の猫のぬいぐるみを見せた瞬間、アレク様が目を輝かせた。


「リリィ!」

そういうと、猫のぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめる。

それは、銀色の毛並と灰色がかったピンク瞳のとても美しい猫!

そう私の猫の姿を模したぬいぐるみだった。

「あぁ!まさにリリィの毛並だ。」

アレク様が顔を埋めながら、耳に触れたり、しっぽを握ったり、抱きしめたりして、その毛並を堪能している。

そう!この毛並は凄いのよ。ユーリが拘りに拘った。

何度も細かいやり直しを言われて、業者の方が涙ぐむのを何度もみたわ。

そんな試作を何度も何度も繰り返し、3ヵ月もかけて作った特注品なのよ。私とユーリの元に一つずつ、ようやく少し前に出来あがってきたのだ。

そんな自慢の一品ではあるのだけれども。


あれ?なんか。

私本人に会った時より、喜んでない?


微妙な気持ちになった私に気付かず、アレク様はまだ熱烈にぬいぐるみを愛でている。

キスとかしてるし!

目尻も下がってるし!


むーっと拗ねていると、やっと気付いたアレク様が、そっと猫のぬいぐるみを離して、おいでおいでしてくる。

「もう猫じゃありません!」

そう言うと、ぐいっと抱き締められて、腕の中にスッポリおさめられてしまう。

こんなことじゃ機嫌は直らないんだから!そう思うのに、

髪を撫でられ、激しい口付けで、とろとろにとろけさせられてしまった。

「リリィ。愛してる。早く結婚しよう?」

アレク様の言葉に、コクンと頷くしか出来なかった。


帰り際、アレク様は、しっかり猫の業者を聞き出して帰っていった。


いつの間にかあの業者は、王家御用達となっていた。

でも、銀色の毛並の猫は非売品なのですって!


アレク様に聞くと、

「俺のリリィを他の人に触らせるわけないだろう?」

そう言うと、抱き締められ、にっこり笑われてしまった。


私の王子様は、とてもヤキモチ焼きらしいわ。


※※※


「リリィ」

笑顔でにっこりアレク様が私の名前を呼ぶ。

私もにっこり微笑んでその手をとった。

二人でダンスを踊れば、周りからため息が漏れてくる。


今日は夜会。

アレク様は今まで一切社交界に出ていなかった分を取り戻すかのように、積極的に夜会に出て社交を展開している。

「まだ俺は、横の繋がりが弱いんだ。顔を売って味方を増やし、他の貴族の事ももっと知っていかないと。」

付き合わせてごめん。そう私に謝るのだ。

「大丈夫よ!パーティー大好き。ダンスも大好きだもの。」

私がにっこり返せば、期待してるよ。そういっておでこにキスをしてくれる。


ふと横をみると、

「あら!ユーリとエリザベス様が踊っているわ。」

私がコソッとアレク様に話しかけると、アレク様もそうだねとユーリを見る。

そして、くすっと笑うと、


「リリィはエリザベス嬢の恋を応援してるの?」

そう聞いてくるので、

「うーん。ユーリの気持ちはユーリのものだから、積極的に何かをするつもりはないわ。でも、エリザベス様のことは好きなのよ。一生懸命な姿は、小さな猪みたいで可愛いもの」

私の言葉に、猪?というと、アレク様は吹き出していた。


「でも、ユリウス殿の気持ちはどうなんだろうね?」

「口でいうほど、嫌いじゃないと思うわ。ユーリが本当に嫌ったら相手にしないもの。婚約式でも胸のお花まで差し出して、ハンガリン公爵家の名誉回復に一肌脱いだのよ。エリザベス様の事をそれなりに気に入っているのよ。」

「つまり、満更じゃないのか」

アレク様の呟きに、多分。と返す。

ユーリは、今の自分がどれだけ注目されていて、自分の行動が周りに与える影響をよくわかっている。

胸の花飾りを渡すなんて、普通は恋人にすることだ。

お陰で、ハンガリン公爵家はアルフィルム侯爵家と、懇意なのだと噂が広がりハンガリン公爵家を見る目は和らいでいる。

なんたってアルフィルム侯爵家は今や一番の注目株で、ユーリは正妃になる私の弟でアレク様との仲も良好。能力的にも、ユーリの出世は間違いなしなんだから!

ハンガリン家も公爵位という最高の爵位は残ったのだ。今の若い当主の頑張り次第では、時間はかかっても元の栄誉まで回復する事は可能だろう。


私の弟は私からみても、天の邪鬼なのだ。

ただ、とても愛情深いので、一度懐にいれてしまえば、とてもとても大切にしてくれる。

きっと、ユーリのお嫁さんになる人は幸せになれる。


ユーリのお嫁さんかぁ。


私にとってのアレク様のように、ユーリにとっても私以上の女の子が出来るのかしら?

ユーリの幸せが嬉しい気持ちと、抑えきれない寂しさを感じる。


そんな私の寂しさを感じたのか、そっと、アレク様に庭園に誘い出される。

「君達は本当に仲良しだね。ユリウス殿に特別が出来るのが寂しいの?」

ちょっと拗ねたようなアレク様の声に笑ってしまう。


「そうね。ユーリが離れていくのは寂しいわ。でも、アローがいてくれるのなら他には何もいらないわ。私の最愛はいつの間にかアローになったのよ。」

そう、二人きりの呼び方で囁くと、アレク殿下は私に口付ける。


「俺は、きっととても嫉妬深い夫になるんだろう。実の姉弟にすら嫉妬するんだから。」

そういって私を抱きしめる。


「早く結婚しよう。朝から晩までリリィといたい。君と会えない夜がとても寂しいんだ。」

そういって、指を絡め再び深く口付けてくる。


私の王子様は、とても寂しがりやさんなのよ。


結婚式まで、あと4ヶ月。


※※※


その時、私はとても緊張していた。

今日、私とアレク様の婚姻式が行われた。

嫌な事件を全て忘れ、これからの未来を象徴するかのように盛大で美しい式が執り行われたのだ。


今日から一週間、城下の国民達にも無料のお酒や料理が振る舞われ、国をあげての盛大な祝いとなる。


勿論今日の祝賀会も、他国の王族も招待され、とても盛り上がっている。

でも、私は少し早めに切り上げて、支度を調えた。


だって、今日はアレク様との初夜ですもの!!

とても緊張するわ。

実は、自分が結婚するとは思ってなかったから、あまりその教育は受けていないの。一緒に寝ることぐらいはわかっているんだけど、具体的に何をするの?

お母様に尋ねると、

「あら。そういえば教えてなかったわねぇ。」

と、のんびり言われて、

「大丈夫よ。アレクサス殿下に全てお任せすればいいのよ。」

と全く参考にならない事をいわれた。

仕方ないから、ユーリに聞くと、顔を真っ赤にして、

「はぁ?なんで僕にそんな事を聞くの?リリィには、恥じらいが足りない!」

そう怒られた。

お父様に聞こうとしたら、ユーリに引っ張っていかれて叱られた。

「殿下に当日聞きなよ!」

ユーリがあまりに怒るので、家での調査は成果がないまま終了した。


「リリィ。」

ビクンと体が緊張する。

アレク様が部屋に入ってきた。


「ふぅ」

と息を吐いてアレク様がソファに腰かける。

「お酒?」

心配そうにお水を差し出すと、美味しそうに飲む。

「そう。出来るだけ逃げてたのに、最後に捕まって一気に飲まされたよ。」

そう苦笑している。


あら。それは大変だわ。

「お水、もう少し飲む?」

そうグラスを近づけると、

「口うつしで飲ませて?」

そんなお願いをされてしまう。

真っ赤になって動けなくなった私に、アレク様は蕩ける笑顔をむけると、いつもより激しく口付けてくる。

そのままお姫様抱っこで、ベッドに連れていかれた。

そしてアレク様が私にのしかかるように上にくる。


「ダメ!」

私は慌てて、アレク様を押し返した。


瞬間、アレク様に強い力で腕を抑えつけられた。


「どうして?他に気になる人が出来た?さっき踊っていた隣国の王子様?」

怖いくらいの無表情で私を見つめて問うてくる。


私は、そんな風に言われるとは思っていなくて、慌ててしまう。違うの!どうしていいかわからないから、先に聞こうと思ったのよ。そう思うけど驚きすぎて声が出ない。


そんな私に、

「駄目だよリリィ。もう俺達は結婚したんだ。リリィが俺以外を愛してももう絶対に離さない。」

そう泣きそうな真剣な顔で私を見つめてくる。


私は、泣きそうなアローをみてさらに慌てる。

「違うの!アローが好きよ。他に気になる人なんかいないわ。ただ、その、どうしていいかわからなくて、先に聞きたかったの。おかしな事をして嫌われたくなくて・・」

私がいうと、アレク様は息を吐いて私を強く抱きしめる。


「駄目だといわれて、心臓が止まるかと思った。」

そう言うと、私に口付ける。

「リリィは何も知らないの?」

うん。と頷くと、アレク様はとても嬉しそうに笑った。


「リリィに全てを教えるのが俺で光栄だよ。リリィ。言葉じゃ難しいから、体で感じてゆっくり覚えていって。出来るだけ優しくするから、しばらくの間少し痛いけど、我慢してくれる?」

あとは、そう言葉を続けながら、優しく口付けされた。


「この可愛いお口のお喋りを少し閉じていて?」


そういうと、アレク様はゆっくり私をもう一度ベッドに倒して、首筋に唇を這わせながら、私に優しく触れてきた。


後のことは、よく覚えていない。

ただただアレク様にしがみついていた。


初めて直接肌を合わせる恥ずかしさと、そんな事を忘れる痛さと、でも、それ以上のよろこびだった。


何度も肌を合わせて、気付くと私は眠っていたみたい。


そっと横をみると、私を抱きしめたまま眠る長い睫毛のアレク様が見える。


先程までの情事を思い出すと恥ずかしくてたまらない。

激しく何度も求められた事を思いだすだけで、真っ赤になってしまう。

身体はまだ少し痛くてだるいけれど、とっても幸せだわ。


これから、ずっと2人でこんな夜を過ごしていくのね。


そう思うと気持ちが溢れてきて、眠るアレク様の胸に顔を埋める。

眠っているはずなのに、アレク様の手が優しく私の髪を撫でてくれる。


大好き。私の王子様ー。


後は、最後にロザリオ視点で終了予定です。



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