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11 リリィを襲う悪意

「お城では、王がリリィを気に入り、次の王の婚約者にするつもりのようだ。との噂でもちきりだ」

お父様が帰るなり、私とユーリを呼び出して王宮の様子を語ってくれた。


あまりの噂に私は言葉を失う。

ユーリは予想していたのか、その噂には反応せず、

「あのあと、ハンガリン公爵達からの嫌がらせはありませんでしたか?」

お父様にそう心配そうに聞いていた。

「はは。少し睨まれたが、うちだって歴史ある侯爵家。その当主である私にそう目立つ攻撃は出来ないさ。」

そうお父様は笑う。

「ただ、ユーリとリリィは侯爵家の人間だが、まだ成人したばかりで、どうしても隙となる。攻撃はお前達に直接向かうだろう。」

心配そうなお父様に、私は提案した。


「お父様。私はもうお城には行きませんわ。それなら噂も落ち着くし、攻撃もされないでしょう?」

本当は、あの素敵な温室もアローと会えるかもしれないという期待もあって、お城はとても魅力的な場所だか仕方ない。

アローには満月の夜には会えるし、温室だって一度見れただけでも身に余ることだったのだ。


しかし、私の言葉に、お父様は首をふる。

「そう単純ではないんだよ。リリィは王直々に温室への立ち入りを許可された。それなのに、以降温室に足を運ばないのでは温室を、強いては王家を気に入らなかったのだと判断されてしまう。それは、とても王家に対し失礼で下手したら不敬罪だ。」

私は目を見開いてお父様とユーリを見上げた。


「はっきりと王から婚約者の話が出れば、隠していたが、リリィには病があり結婚に耐えられないと伝え辞退するつもりだ。これから呪いが解け、リリィが結婚するとき、病持ちだったとの話が不利になるかもしれない。しかし、王族からの申し出を辞退するには、お前に、はっきりとした辞退の理由をつけるしかない。」

お父様の言葉に私も頷く。それは私も覚悟していたことだ。

これから先も夜会に出席するたび、早目に帰宅する私の姿は、病持ちといわれれば納得だろう。

呪いがバレれば、呪われた侯爵家として社交界からは忌避され、その地位を失い、ユーリや家族も今のままではいられないだろう。

結婚に耐えられない程の病持ちというのも令嬢としては考えられない程の汚点であり、呪いが解けてももう結婚の話はこないかも知れない。

でも、それは私だけの汚点であり、アルフィルム侯爵家に傷はつかない。

「構いませんわ。お父様。私は結婚なんかしませんもの」

諦めきった私の言葉に一瞬悲しげに私をみたが、お父様は頷く。


「ただ、現在噂のみが先行し、実際は王家からそのような話はない。話がないから辞退することも出来ない。暫くは、今の噂がまるで真実のように広まってしまうだろう」

お父様はため息をついた。

「ハンガリン公爵家は、華々しく第一王子と令嬢との婚約を発表し後ろ楯になることを周知させる予定が潰れ怒り狂っているらしい。テナン伯爵家も同様だ。」

そこで一息つく。

「また、第二王子殿下の後ろ楯であるエドワンズ侯爵家の動きも気になる。エドワンズ侯爵家では、第二王子殿下の従妹であるアマリリス嬢を婚約者にしようとしていたとの噂もある。」

ユーリは深く息を吐き出した。

「つまり現在我が家は、2人の殿下に関わる貴族達全てから敵対視されているわけですね。」

ユーリの言葉に、私の顔が青褪める。


「まぁ。我がアルフィルム家は名家ではあるが、政治的影響力はなく、完全な中立の立場を保ち今まで国の権力争いには関わってこなかった。それなのに、ここにきて将来の王妃候補として一気に最有力候補になってしまったからね。」

はは。とお父様は笑いながら、私の頭を撫でる。

「それでも、王家から婚約の話があれば辞退するし、王家から話が来なければ来ないで今の噂は消えていくだろう。王がただの気紛れをおこしたのだと思われて終わりだ。それまでの間、とにかく2人は気をつけて。特にリリィ。温室を見にいく日は必ずユーリの登城の日に合わせて、なるべく一人にならないように」

お父様の言葉に強く頷いた。


隣でユーリが、本当に分かってる?って顔をしているのは気にいらないが、今日、ハンガリン公爵に強く睨まれた事をを思い出すと震えてしまう。

とにかく大人しくしようと私は心に決めた。



そうよ。私は、ちゃんと大人しくしていて問題を起こさないように気をつけていたわ。

ハンガリン公爵にもテナン伯爵にも、エドワンズ侯爵にも近づいていない。

でも、悪意は勝手にやってきて、攻撃を始めるのよ。


絶賛、私は窮地の真っ只中なのだ。


私は、3人の令嬢に囲まれ、お茶をドレスにぶっかけられ、更に暴言をはかれていた。

私は囲まれながらも、ゆっくり後退しながらその暴言を受け止めていた。

そう、中心にいるのは、エドワンズ侯爵家のアマリリス嬢。

同じ侯爵家でありながらも、エドワンズ侯爵家は第二王子殿下の後ろ楯で前王妃のご実家。

政治勢力にがっちり食い込み、権力だけなら公爵家に並ぶ。

悔しいが、我がアルフィルム家より格上だ。


「アレクサスお兄様に近づく泥棒猫!貴女にはその汚れたドレスがお似合いよ!」

私を憎々しげに見つめながら、アマリリス嬢は私に言った。

「アルフィルム家ごときが、お兄様の婚約者候補に上がること事態許しがたいわ!身のほど知らず!」

そう言うと、私のドレスを思いっきり踏みつけて、私を地面に押し倒す。

私は転がるように地面に倒れドレスに土がつく。令嬢達から距離をとろうと倒れたままゆっくり下がるので、お茶で汚れたドレス部分にもたっぷり汚れがつく。

もう!お気に入りのドレスだったのに!!

「アレクサスお兄様と私は将来を誓いあった仲なの!あなたみたいな泥棒猫のでしゃばる所ではなくてよ。恥を知りなさいな。」

そう勝ち誇ったようにいいながら、ご丁寧に何度もドレスを踏みつけてくるから、ドレスは更に汚れ、引っ張られた部分は破れてしまった。


残りの令嬢も、そうよそうよ!とアマリリス嬢を擁護する。


「そんな汚い格好ではもうお茶会にも戻れないでしょう?さっさと逃げ帰りなさいな。これからも王宮やパーティーで見かけたら、同じようにしてさしあげるわ。それが嫌なら、婚約者候補なんていい気にならずに、お家で大人しくしていることね!」

高らかに笑うと、私を見下ろす。

その目は、人を見下す事をなんとも思っていない嫌な瞳。

私を脅して、思い通りに事を進めようとする傲慢な態度。


そして、上の存在に媚びへつらって、自分にさぞ権力があるかのように勘違いしている令嬢達。


私は冷めた目でみながら、何故こんなことになっているか思い返す。

社交界は、王宮だけじゃないのよ。

社交に出たユーリと私のもとには、それこそ噂も広がって、お茶会やパーティー等数多くの招待状が舞い込んだ。

全てをまるっと無視する訳にもいかず、とりあえず必要なお誘いを厳選して、その一つであるお茶会に来てみれば、、

そこにはアマリリス嬢も招待されていた。

お茶会にのこのこ現れた私をアマリリス嬢と取巻きの3人は、囲むように会場から少し離れた場所に拉致し、このような所業に及んでいるのだ。

はぁ。ため息でちゃう。


儚げな見かけから、ここまでしたら何も出来ずにしっぽ巻いて逃げ帰るとでも思っているのでしょう?

以降の社交界にも怯えて出ずに、引きこもるとでも思っているんでしょう?

ここまでされても、何も言えずされるがままの私の様子をみて、見かけ通り儚く弱いとなめているんでしょう?

そして、完全に怯えて何も出来ないと高を括っているんでしょう?


笑っちゃうわ。

私を誰だと思っているの?

確かに我がアルフィルム家に政治権力はない。

でも、侯爵家という立場はそんなに軽いものじゃない。

小さな頃から、徹底的に教育されているのよ。


一切逆らわない私の様子に3人は益々面白がるように、嫌な笑い方をしながら、更に私に攻撃しようと迫ってくる。

私は、怯えた目で、ゆっくりゆっくり後ろに下がる。


3人の令嬢が更に私に近づき、私を蹴りあげる。

顔を庇うように、腕で受け止める。

いったーい!

顔をしかめながら、腕の様子をみて、判断する。


よし!

そろそろいいわね。

いい感じで蹴られたし。



さぁ。

やられたら、やり返すわよ!


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