第二十九章 どきっ!臣下さんと一緒!
「・・・・・なにしてるんですか♠」
ハナミズキに部屋を明け渡してから二週間。スグリさんの部屋でスグリさんとトランプをしていると、ミラが突然訪ねてきた。
「トランプ。」
「みりゃわかります♠」
・・・・・・それもそうだね。
「おい、タウチ。お前の番だ。」
「あ、ごめん。」
うーん・・・・じじぬきって結構ドキドキするな・・・。
「よしっ!これっ!」
♥の3だ!!・・・・・3・・・ないな。
「つぎは私の番だな。ほれっ!!」
あ、♦の6が持ってかれた!
「・・・・・・・ない。」
っしゃあ!!私の残り札はニ枚、スグリさんは三枚・・・この勝負!勝てる!
「ほれ。」
「うーん・・・・。これだぁっ!!」
♠の4・・・・ってことは・・・・
「やったー!!!」
ぬっふっふっふふ!!これで私の勝利は確定だ!!!
「はい、次!」
「けっ!負けだよ!負け!」
ばんざーい!勝ったー!これで二勝目だー!!
「はい、チョコちょうだい!」
「へいへい。」
スグリさんはかわいらしいピンク色のチョコレートをぽいっと私の口に放り込んでくれた。
「んー!あまーい!!!」
おいしい!
「本当にこのチョコどこで買ったの?」
「秘密。」
「ぐきー!!!!」
このチョコ、マジでおいしいから私も買いにいきたいなー!
「ところでジジはなんだったの?」
「♦の6。」
うーん、ラッキーだったな。私にしては珍しい。
「・・・・・王子が呼んでいますよ♠」
あ、ミラのこと忘れてた。ごめん。
「え、なんだろ?」
なんかあったっけ?
「まぁ、いっか。・・・・・スグリさん、ちょっと行ってくるね。」
「ああ。」
* * * *
「・・・・・ずいぶん仲良くなったようで♠」
私の部屋・・・もといハナミズキの部屋に続く廊下をゆったりと二人で歩いていると、ミラが突然そんなことを言い出した。
「まあね。スグリさん、いい人だから。」
「へぇ♠」
「優しいし、面白いんだよ!」
時々ヤンキーみたいで怖いけど。
「今度ミラも一緒に遊ぼ!」
「・・・・・・・・いえ、結構です♠」
「・・・・・そっか。」
最近、一緒に遊べてないなぁ・・・。
「スグリさんと一緒に勝負するとね、まぁまぁ互角の勝負ができるんだ。」
それでも圧倒的不運で負けたりするけど・・・。
「スグリさんも運が悪いからかな?」
「さぁ♠」
お互い運が悪いからまぁまぁ公平な戦いになってると思うんだよね!
「・・・・スグリさんってね、友達できたことないんだって。」
「ふぅん♠」
「だから、私が友達第一号なんだって!なんか、うれしいよね。そういうの。」
「そうですか♠」
スグリさんと私はミラがつなげてくれたようなもの・・・・でもないか。でも、ミラがあのときあの約束を取り消してくれなければ、この縁はなくなってたはずのものだから。せっかくミラがつなげてくれたんだから、大切にしたいなぁ・・・・。
「こんな私に友達が二人かぁ・・・・。いつか、スグリさ・・・ぐげぇっ!!み、ミラ!痛い!痛いって!」
ミラは私の腕をぎりりと掴むと、近くの部屋まで引きずって行き、私の体をベッドに放り投げた。
って、ほ、埃が・・・!!!!ここ、お客様用の部屋じゃん!ずっと掃除されてない!!
「ミラ・・・・?だいぶここ汚いよ?」
その言葉を聞くと、ミラは不自然な笑みを浮かべて私の首元に手を添えた。
「ミラ・・・・?」
添えられていたはずの手に力がこもり、ぎりぎりと私の首を絞めつけていく。
「あんた、死ねばどうです?お母さまともあえて幸せですよ、きっと。」
いやいやいや、まだ死にたくないって!
「・・・・ああ、ほんと。本当に・・・・信じた僕が馬鹿でした。」
・・・・・なんのことだろ?
「・・・・・オウジサマとむすばれてめでたしめでたし、僕もそういう話が大っ嫌いなんです。」
いや、私が嫌いなのは白雪姫のお話だけだよ!そういう系統の話のなかで!!
「だから、そうなるまえに死んじゃいましょ?」
首をしめつける力が一段と強くなった。
「優しいオトモダチに祝われながら素敵なオウジサマと結婚、そんな幸せを前にして悪魔に殺されるオヒメサマ・・・・どうです?素敵なバッドエンド!あなたの嫌いなオヒメサマの物語とは正反対!」
少しずつ、意識が・・・・
「・・・・・・・ちょっとは抵抗してみせたらどうです?」
ふっと力が緩んで、首に食い込んでいたミラの手が離れた。
「本当に馬鹿ですね。」
「いや、ミラのことだから本気じゃないんだろうなぁーって思って。なにかについての警告?みたいなことかなー・・・・っと。」
ミラの考えていることはよくわからないからね。
「・・・・そんなもんですよ。」
「・・・・・・・そういえば、ハナミズキに呼ばれてたんじゃなかったっけ?」
「残念ながら、それは嘘♥」
えー!!!
「・・・・・・ねぇ。警告って、どんな?」
「あなたのすべてに対して。」
こわっ!




