第十一章 どきっ!!ラブ・ストーリーは突然に!?
「・・・・うーん。」
うーん・・・・困ったぞ。
「泥棒かな・・・・?」
そう、私のドレスが消え去っていたのだ。
でも・・・・私の服を盗むもの好きなんているのかなぁ・・・?
「困った・・・・。」
この部屋に置いてあった部屋着(ミズキについてすぐ入ったお風呂から出たときにベッドの上においてあったから、多分パセリさんが気を使ってくれたんだと思う)のまま舞踏会に戻るわけにもいかないしなぁ・・・・。
「お・こ・ま・りですか♥」
冷たい手が肩にふれ、生温い息が首元にかかる。
こ、これは・・・・
「ぎゃああああああああああっ!!!!!」
幽霊だぁっ!!!!にげ・・・られない!!!思いのほか力が強いぞこの幽霊!!
「・・・・・ヒヒヒヒッ!・・・お馬鹿ですねぇ♥」
「・・・・なぁんだ。ミラか。」
「僕でごめんなさぁい♥」
「やめてよ!!こういうの!!心臓止まるから!!!」
今も一瞬止まりかけたもん!!
「で!なんのよう!?舞踏会をエンジョイしてたんじゃないの?」
ちらっと見たときは楽しそーによくわからないマジックみたいなのを披露してたけど。
「あぁん♥つれないなぁ♥」
自分で自分を抱きしめてもじもじする姿は変態と形容するしかないほどヤバイ感じだ。
「あわあわしてるかもなぁ、と思って来て差し上げたのに♥」
「え、なんで?」
「あのドレス、使用者が脱いじゃうと消えちゃうんですよぉ♥だから、なくしちゃったぁ!もしかして泥棒!?・・・みたいな風にタウチさんがあわあわしてるかもと思って♥」
「そういうことか!!」
だからあのドレス消えたのか!!
「お願い!!ミラ!!また洋服だして!!ついでにさっきみたいにセットもお願い!!」
さっきのあれ、服だけじゃなくてこの短い髪もおしゃれな感じにしてくれたんだよねぇ。便利だよなぁ。
「はぁい♥」
うむうむ、やっぱりミラはいいやつかもしれないと思いながら例の布に覆われる。
「ぱんぱらりーん♥」
布がなくなって、視界が明るくなったと思ったら布団の上にいた。しかも・・・なんだかセクシーな香水の香りが・・・・・ん?なんか抱きしめられて・・・
「み、み、ミラっ!!?」
こ、この細すぎて華奢レベルじゃないガリガリ具合で冷たすぎるこの腕は絶対にミラだ!!ついに発狂したか!!!?いや、もともと狂ってるから通常運転!!!?
「もう、眠ってしまいましょうよ♥タウチさんだってあの滅茶苦茶なダンスのせいで疲れたでしょ♥」
ふわー・・・たしかに眠い・・・って、これはミラがもう寝たいから主君である私を巻き込んで寝て自分が寝ることを正当化しようとしてるんだな!!?
「ぜーんぜん疲れてないよ!!だから離して!!」
「いいでしょう♥ね♥あんなオウジサマのことも、あーんな滅茶苦茶なダンスのことも忘れて僕と寝ましょうよ♥」
うーん、話を聞いてない&案外頑固だぞ・・・・。あ、そうだ!
「ミズキさまに舞踏会に戻ってくるように言われてるんだよね。」
「そんなのどうでもいいではないですか♠」
「ダメだよ!怖いんだよ!!ミズキさま!!」
「僕が明日適当に言い訳しますので♠」
手ごわいぞ!こいつ!
「それにあの金色の液体、なにか危ないやつだったかも♠寝ないと明日大変なことになったり♠」
ええー!!!!?
「そ、そんなことわからないよ!!」
「もしもの可能性ですよ♠」
「そんなのに脅えてたらなんにもできないって!!」
私は病気も怖いけど、行かなかったら確実に怒られる明日が怖い!!・・・・ん?なんかカッコいいこと言ったような気も・・・しないな。
「それに!!私ハナミズキともまたあとで、って約束しちゃったんだ。」
「・・・・へぇ~♠」
どうだ!!参ったか!!!
「・・・・・僕とあのオウジサマ、どっちが大切なんですかぁ♠」
えっ、いや、それめっちゃ答えにくいやつだよ。別にどっちが大切とかないよ。というかどうしちゃったの突然!!
「ど、どっちも大切だよ!」
「ふぅん♠」
選べっていう方が変だよ!!
「では、結婚するとしたら♠」
「は?」
どうしちゃったんだろうミラ。部屋に帰ってきてから大分頭がわいちゃってるよ。
「いや、そりゃあ・・・・ハナミズキだけど・・・・。だって、婚約者だし・・・。」
「・・・・・そうですか♠」
そういうとミラはつまらなそうに私から体を離し、ぱちんと指を鳴らした。すると、部屋着が先ほどのドレス(ただし綺麗になっている)になり、ぼさぼさだった髪も整って紫色のバラが咲いた。
「どうぞプリンセス♠道化のことなぞ忘れてオウジサマのところへお行きなさい♠」
そういってミラは再び指をぱちんと鳴らした。すると、おかしな浮遊感が・・・
「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!」
おーちーるぅー!!!!!
「・・・・タウチ!?お前瞬間移動したのか!!?すげぇな!!・・・・あ、魔道具か。なるほどな!!でも、あれたけぇだろ?なんで・・・・」
ぎょぎょぎょ!!!?なぜ私はミズキさまの目の前に!!?
「ああ・・・なるほどな。早く会いたかったんだな。」
王座に深く腰掛けたミズキさまがこちらになにやら私に意味深な視線を向けたあと、そういってにやりと笑った。
「ハナミズキだったらバルコニーにいるぜ?いってやったらどうだ?」
「え?は、はい。」
私はなにがなんだかわからないまま、適当に返事をして、その後、誰かに手をとられて踊った。
「大丈夫ですか?タウチさん。」
「はい・・・。なんというか・・・カレーっておいしくて、素敵ですよね・・・。」
「クククッ・・・大丈夫ではなさそうですね。」
「・・・・・スノウさん!!!?」
スノウさんの変な笑い方で意識(?)を取り戻した。
「ククッ・・・なにかあったのですか?」
「あ、いや、気が付いたらここにいたんだ。なんか、ジェットコースターみたいな感じがして・・・。」
ヒェー!!今思い出しても怖い!!
「なるほど・・・あの悪魔ですか。」
「え、さっきのってミラの仕業なの?」
いや、指鳴らした瞬間におきたからそうかなぁ?とも思ったんだけど。
「ええ。悪魔か神にしかできない芸当ですからね。」
「へぇ・・・。」
私とスノウさまはいつのまにか踊るのをやめて、ホールの隅にいた。
「・・・・あの悪魔となにかあったのですか。」
スノウさんの瞳孔が蛇のように細長くなってゆく。
「え、いや、えっと・・・・・。」
あれってどう説明すればいいんだろ。
「ははは・・・・。」
仕方ない。
「あ、ハナミズキと約束があるので!!」
サラバ!!!ごめんなさい!!スノウさん!!大好きです!!いつか・・・説明できないかもしれないけど、したいと多分思ってます!!
* * * *
「・・・・・ん、タウチか。」
ぜぇはぁぜぇ・・・はぁ・・・はぁ・・・。
「・・・・・・・ウィッス。」
ヤバイ。どうしよう。息が切れすぎてこれしか言えない。
「なんだよーそれ。ロマンチックのかけらもないぞ。」
「ひゃはは・・・・。」
スノウさんって結構足早いんだね・・・。歩いてるように見えたのに、お客さんの中に紛れ込まなきゃ危うく捕まるところだった。・・・あとで怒られるかなぁ。
「・・・・星が、綺麗だな。」
まぁそうだけど・・・どうしたの?突然。
「・・・・月もきれいだけどね。」
「え、お前。それ・・・・。」
ハナミズキの瞳に喜びとも驚きともつかない不思議な色が広がっていく。
・・・・は?なに?どうしたの?
「・・・本気にしていいのか?」
「え、いや、ふつうに・・・いいけど・・・。」
月が綺麗なのに本気もなにもないでしょ・・・・。
「そうか!お前にそういう感情があると思ってなかったからうれしいぜ。俺もそろそろ式を挙げようかと・・・・どうする?ドレスか?白無垢か?」
ぐひょひょ!!!?なんだなんだ!!?いったいなんの話だ!!?
「いや、それより・・・俺もお前のことが・・・
ハナミズキの唇が近づいて・・・
「あ~ら、御免あそばせ♠」
ぐひょ!!なんか!!やわらかい感触が唇に!!
「なんだ貴様!!?」
「通りすがりの道化です♠こんにゃく投げをしていたら、うっかりお嬢さんの顔面にあたってしまいました♠」
こんにゃく投げ!!?なんじゃそりゃ!!?
「はぁ・・・・?」
「あら、大変♠お嬢様が気絶してらっしゃる♠」
いや、してないけど!!こんにゃく顔面にくっついたまんまだからわからないでsy
パチンッ
「ぎゃああああああああああああ!!!!!」
なんか、浮いてる!!!おちてる!!!
ぼふんっ
なんだ!!?このぽふぽふしたものは!!?
「今度こそは本当におやすみなさい♥」
ぐへー・・・なんかすんごいねむ・・・ぐぅ・・ぐぅ・・・ぐー・・・




