第十章 どきっ!!ダンスって大変!
「・・・踊っていただけますか(「もちろん」って言えー!!)」
あー!!傍から見たら超絶紳士だけど、口パクで伝えてきてることが紳士じゃない!!
「・・・・・(頼むから早くしろ!!!一生のお願いだ!!)」
な、なんだかかわいそうになってきた・・・・。
「え、ええ。も、も、も、もちろんですわー!!!ハナミズキ王子!!」
シーン
「それでは。」
ハナミズキの声とともにオーケストラの音楽が始まった。
優雅なワルツのリズムにあわせ、必死でステップを踏む。あー!!ヤバイ!ハナミズキの足踏みそう!!
「・・・・・・あっ。」
誰かの小さな声が聞こえた。
・・・ん?なんか、いやな予感が・・・・。
「(ば、バナナの皮がー!!!!)」
われらの進行方向にバナナの皮はっけん!!!これは!!滑る運命が見えるぞ!!!
「(ハナミズキー!!!)」
だ、ダメだ!!ハナミズキは私のフォローに夢中だ!そりゃそうだ!!めっちゃ下手だし!!マジごめん!!
「シャー・・・・」
なんとなく不穏な音がする・・・。これは・・・・
「(蛇だー!!)」
しかも白い!!レアっぽい!!
・・・・ん?バナナの皮を回収してる!?え、どこ行くの?あれ?お客さんの方へ・・・・。だ、大丈夫かな・・・?あれ・・・。
じーぃっと見つめていると、その蛇は誰にも気づかれずにお客さんたちの中に消えていった。えー・・・ほっとくしか・・・ないか・・・?
「(タウチ!)」
「(え!?なに!?)」
「(ちゃんとダンスに集中しろ!俺が過労死するぞ!!)」
「(あ、ごめん。)」
そうだった!ミズキは素晴らしすぎる運動神経で必死で私のフォローをしていたのだった!!
「(あー!)」
「(なんだ!?)」
ど、どうしよう!!?
「(あんなところに謎の円盤型飛行物体がぁあああ!!!!)」
「(なんだよあれ!!?)」
「(私が聞きたいよ!!)」
「(・・・・・おい、)」
「(なにっ!?)」
「(あれ、こっちに近づいてきてないか!!!?)」
「(ぎええええええっ!!!)」
どうするの!!?よけられないよ!!!それにどうして誰も気づかないの!!?
「(・・・そろそろ曲が終わる。)」
「(うん。)」
「(あれはきっと終わる瞬間に俺たちになにかするつもりだ。)」
「(どうしてわかるの!?)」
あれつくったのもしかしてハナミズキ!!?・・・・いや、さすがにそれはないか。
「(考えてみろ!!お前の不運だぞ!!?最高に最悪なタイミングでこのダンスを崩壊させようとするにきまってる!!)」
「(確かに!!)」
私の不運だったら最高に最悪のタイミングでこの舞台をぶっ壊すに違いないや!!
「(いい感じに終わりそうな瞬間が最高に最悪なタイミングだろ!!?だから、その瞬間になにかするはずだ!!)」
「(うん!!)」
「(だから、終わる直前に俺はお前を投げる!!)」
「(うん!!・・・・・え!!!?)」
なにいってるのこいつ!!?
「(お前はなんとしてでもあの円盤型のなにかを蹴り飛ばせ!!遠くへふっとばすんだ!)」
「(無理だよ!!)」
「(そのあとは必ず俺が受け止める!!だから安心していい!!)」
「(どこに安心する要素があるの!!?)」
ハナミズキに私の体重を受け止められるとでも思ってんの!!?しかも落ちてくる私だよ!!?・・・・あ、なんだか悲しくなってきた。
「(このダンス、大失敗に終わってもいいのか!?)」
「(いや、私がハナミズキに吹っ飛ばされるのも傍からみたらいろんな意味で事故ってるよ!!)」
ハナミズキ、パニックのあまり思考がおかしくなってない!!?
「(大丈夫。客にはパフォーマンスにしか見えないって!!)」
「(嘘つけ!!)」
「(むかし母さんが俺のこと間違ってふっとばした時もパフォーマンスだと思ってもらえたし!!)」
「(それはそれで問題だよ!!)」
ミズキさまなにしてるの!!?それにミズキの人たちの感性どうかしちゃってるよ!!
「(曲はもう終わるからな!!?いけよ!?」)
「(いやああああああ!!!)」
円盤型飛行物体もすぐそこだ!!こないかもって若干期待してたのに!!
「(ミズキがいくのはダメ!!?)」
「(俺のこと吹っ飛ばせないだろ!!?)」
うわーん!!!!!
「(それじゃいくぞ!3・2・1!)」
ぎゃあああああああああああああ!!とぉーばぁーさぁーれぇーるぅー!!!!!
まーわーぁーって!!!かぁーらぁーのぉー!!!!
「(とおりゃあああああああああああ!!!!)」
「(かっとばせー!!!!)」
っしゃああああああああ!!!けったどぉおおおおおおお!!!!
「(よくやったぁあああああああああ!!!!!!)」
おーちーるぅー!!!!!死ぬぅうううううううう!!!!
「(っと!!)」
ぐげぇ!!!!無事、せい、かん・・・・・。我、人生初のお姫さまだっこをされている、なり・・・。
「(死ぬかと・・・思ったぁ・・・・。)」
バシャっ
「「(・・・・・・ん?)」」
ぱしゃっ ぱしゃっ ぱしゃぱしゃぱしゃ・・・・
「(・・・・・・・・・。)」
雨、じゃないよなぁ・・・・。建物のなかだし、金色だし・・・・。
白を基調としたミズキの豪華な衣装と黒を基調とした私のちょっとダサめトランプドレスにぽつぽつと金色の斑点がついていく。幸い、ミズキさまが「ハナミズキとタウチ踊るぜぃ!」みたいなことをいったとき
に他の人たちはみんな超絶壁際によっていたので私とミズキ以外に被害はない。
「「「「「「・・・・・おおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」」」」」
お客さんたちは拍手喝采、超大興奮である。
上をみると、あの円盤型の謎の飛行物体は吹っ飛ばされずに空中にとどまりながら謎の金色の液体を振りまいている。
「「・・・・・・・。」」
ハナミズキとお互い顔を見合わせてポカーンとする。
「ひひひ・・・・
しばらくして、怪しげな笑い声とともにかすかな振動が伝わってきた。
「ふははははははははっ!!!!!」
・・・・・・・
「なはははははっ!!!!あははははっ!!!
「ひひひひっ!!!!」
ダメだ。笑っちゃう。怖かったのに、笑っちゃう。
「全然ふっとばしてないじゃんかよー!!」
「ふっとんだと思ったんだよー!?ぶっ壊しただけだったけど!!」
「・・・ま、終わりよければすべてよし!!だ!」
「吹っ飛ばされたことの恨みは忘れないからね!」
「おうおう。いつか仕返しに俺か母さんを吹っ飛ばせ。」
「なんでミズキさま!!?」
それをまた倍返しにされる未来しか浮かばないよ!!
「おい、二人とも!!」
あ、ミズキさま!!
「ご苦労様だったぜ!!いやぁ!見事なパフォーマンスだったな!あんなの、いつ仕込んだんだ?」
「あはははは・・・・。」
「ま、二人とも金色まみれだし、シャワーでも浴びてこいよ。あ、ちゃんと洋服も変えるんだぞ。一時間後にはこの舞踏会も終わっちまうから、それまでに帰って来いよ。」
ははは・・・・本日二度目のお風呂場か・・・・。
「ありがとう母さん。お言葉に甘えるぜ。」
「ん、いってこい。」
ミズキさまに見送られて、私とハナミズキはホールを出た。
「・・・・怖い思いさせてごめんな。こんなことで俺とタウチの婚約にケチつけられたくなかったんだ。」
「最終的に楽しかったし、別にいいよ。ま、許さないけど。」
「どっちだよ・・・・。」
ハナミズキはあきれたように笑いながら、私の頭をくしゃりとかきまぜた。
「・・・・ん、ここまでか。じゃ、またあとでな。」
私の頬に口づけすると、ハナミズキは私の部屋と正反対の方向へと去っていった。




