第一章 どきっ!!悪魔と契約!!
「ひ、ヒィー!!!!」
最初に言っておく。私は運がないです。
「お、お願い!!!!お願い!!!許して!!!助けて!!!!」
今現在も悪魔(?)に囲まれている。全員なんかヤバそうだ。マジ怖い。皆なんか体がトランプだ。
すると、急に周りの悪魔が跪いた。
「あぁん♥それでは殺してくれといっているようなものではないですか♥」
驚いていると、一人の悪魔がこちらにぷかぷかと浮きながら近寄ってきた。その悪魔はピエロみたいな恰好をした男だ。仮面とかもつけているので不審者のようにしか見えない。鼻はつけていないのでまだいいかもだけど・・・・。
「いやいやいや!違うって!!違うから!!ね?」
この悪魔は一応、顔見知り・・・だ。けど、仲良しな感じではない。
「たまたま歩いてたらワープ系の魔道具が仕掛けられた落とし穴にひっかかっただけだからさ!!ね!?」
・・・・・
「ね!!!?」
「・・・・・ぐふっ
ん!?ついに毒でもしかけられたかこの男!!!
「ヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!!!!」
笑ってただけか!!!ほんと髪を毟ってやりたい!!!
「まぁ、お馬鹿だこと♥きっとそれだったら死んでも誰も困りませんよねぇ♥」
「ヒィー!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!なにも毟りませんから!!!!!」
「はぁ?毟る?」
「嘘ですごめんなさい!!地面にめりこむから!!!」
「じゃ、どうぞ♥」
「無理ですごめんなさい!!!」
「じゃ、殺して埋めてあげま
「ひぃえええええええええ!!!!スノウざぁああああんんんん!!!!!!!!」
「・・・・・・・スノウ?」
最近臣下になってくれた優しいけど少しヤバめなお兄さんだぞ!!どうだ!!お前なんて撃退だ!!!
「って、なんでなんできてくれないのぉおおおおおおお!!!!!!!」
まえ瞬間移動みせてくれたじゃああああああああん!!!!!あんのシラガ野郎!!!!!!
「・・・・どうしたのですか。タウチさん。」
「スノウさん!!!!」
よかった!!!来てくれてった!!!シラガ野郎とかいってごめん!今度ヘアカラー贈るね!!
「・・・そちらは?」
「あ、うん・・・・。このピエロが・・・・例のアレだよ。」
「ああ。月に二回賭け事で戦争をする・・・とかの?」
さっき、仲良しな感じではない知り合いだっていったけど・・・なんというか、一応戦争(?)しているのだ。
えっと、これが始まったのは・・・・・
* * * *
時はいまから三年前。モクレンは突如悪魔の軍勢からの侵攻を受けた。その軍勢の首魁の名は通称・・・
「えっと・・・・ショッカーさん、いざ、勝負!!!!」
この度、愚王こと私・・・・タウチザクラ・モクレンも戦争に駆り出され、悪魔の首魁と一騎打ちとあいなりました。最悪です。悪魔の野郎が「我らの王は貴様らの王との一騎打ちをお望みだ。そちらが負けても我らの王がそちらの王になるだけで王以外を殺したりはしない」とか言ってきたからです。これに応じなければとりあえず、このままこの国はすぐに滅びて終了になるだけだからこうなりました。臣下たちには私なんかこのまま死ねばいいのに、っていう眼で背中を押されました。なんでだろうな・・・・。私、どうしてこんな嫌われるんだろ・・・。馬鹿だからかな・・・。
「イーッ♦・・・・なーんて♥この度のモクレン国王は愚王だときいておりましたが・・・間違いはなさそうですねぇ♦」
「えっ、あっ、いや、ごめんなさい!!!!殺さないで!!!」
「馬鹿ですねぇ♥殺すに決まって、
「ていやぁあああああああああ!!!!!」
よっしゃ!不意打ちじゃあああああああああ!!!!
「ぐおおおおおおおおおっ!!!!」
なぜ落とし穴がぁああああああ!!!しかも二メートルぐらいあるぅうううううう!!!
ポトッ
「うわっ。」
・・・・鳩の、フンだ・・・・。
「うわーん・・・・。」
なんだろう・・・。ここまでは慣れてるな・・・。このあとなにがくるかな・・・。
ゴゴゴッ・・・・・
ああ、なんか低い音が・・・・・
「・・・・・・・♦」
親方!!空から悪魔がふってきました!!
「ぐほおおおお!!!!」
下敷きにされたぁ!!!上に立たれてるよ!!しかも、なぜか地盤沈下をおこしたせいで穴がさらに深く&広く!!っていうか、もう空が見えない!!
「あぁん♥ふたりっきりですねぇ♥ぞくぞくし・ちゃ・う♥」
・・・・空が見えないのって・・・深くなりすぎただけじゃなさそうだな・・・。うん、なんか・・・岩みたいなので出口ふさがれてる・・・。
「・・・・どうしよう。」
普段だったら近くの臣下が助けてくれるor手とか足をつっかえ棒みたいな感じにして無理やり這い上がるんだけど・・・・。穴が広すぎるしなぁ・・・。出れないなぁ・・・。しかも悪魔と一緒だよ・・・。めっちゃ踏みつけられてるよ・・・・。
「貴女、能力はなんですか♥」
「属性音の最凶生存です・・・・。」
「この、イ・ケ・ズ♥能力名じゃなくて、能力の内容を教えてくださいよ♥」
「謎の効果音によって超若干生存する可能性があがります・・・。ただし、異常なまでの不運が到来します・・・。もともと私は運がないのでこれを使うと色んな意味で即死します・・・・。」
「まぁ、使えない♥」
「ごめんなさい・・・・・・。」
仕方ないだろォ・・・・。私だってこんな能力じゃなくてもっといい能力が欲しかった・・・・。
「あの・・・・いい加減どいていただけないですか・・・・。」
「結構です♥」
なにが結構なんだこのヤロウ!それはこういうときにお前が使うことばじゃないんだ!・・・・と、思いながらも怖くて言えずに踏まれ続ける小心者な私・・・・。
「・・・・ちなみに、ショッカーさんはどんな能力を・・・・?」
「ヒ・ミ・ツ♥」
・・・・・・なんか、イラっときた。
「まぁ、能力なんかこの中では使えなさそうですがねぇ♥」
「え?なんで?」
「上にのってるの、魔力封じの原石かなんかが混じってるようですよ♥」
「・・・・・・はは。」
つまり、もうすでに一回能力を使おうとしてたのね・・・・・。
「・・・・どうするんですか?」
「さぁ?僕にはさっぱり♦」
・・・・どうでもいいけど早くどいてよ・・・。またはヒール脱いでよ・・・。痛いよ・・・。
「どうにかして砕けないんですか?」
「ざァんねん♦僕、非力なんですよ♥」
ま、ひょろいもんな。
「ふふっ・・・。」
しまった。喜びが口元に・・・。ゲッ、すんごい顔で睨みつけられてる・・・。
「で、でも・・・このまま死ぬのを待つのも・・・・。あの、どいてもらえませんか?」
「結構で
いわせるものか!!!!
「私に案があるんです!!!」
「・・・・・・・♣」
いかにも渋々・・・といった感じでどいてくれた。よっしゃ!これで自由の身じゃ!!
「あの、肩車を・・・・してもらえませんか?」
「はぁ♣」
「いやいやいや!!趣味とかじゃないですから!!いや、ね!!?ただ、肩車してもらったらきっと上にも届くかなーって!!?」
「届きはするでしょうが・・・・♣」
「で、です!私、これでも少しは力強いんですよ!!頑張って岩!砕きますから!!」
たぶんね!!
「ま、やってみる価値はあるでしょう♥」
「でしょ!!!?だから、ほら!!ほら!!!」
はーっはっははは!!つぎは私に踏まれろー!
「靴は脱いで♦」
「・・・・はい。」
・・・・チッ。
「・・・・・・どうぞ♥」
一応屈んでくれたのでよじ上る。屈んでも背高いなぁ・・・。いいな・・・。
「じゃあ、はい!立ち上がって!」
「・・・・・♠」
ああ!なんだかとってもいい気分だ!!!
「おおー!!届いた届いた!!」
砕けるかな・・・・?
「チェスト―!!!!!」
拳をぶつけてみる、が、砕けない。
「チェスト―!!!!!」
どっか脆いとこもあるかもしれないからね。色々なところとりあえずなぐっておこ。
「チェストー!!!!チェスト―!!!!チェストー!!!!チェスト―!!!!」
結構手痛いな・・・・。ま、いっか。
「・・・・大丈夫ですか♥」
「はい。なんとか。」
お、ここ脆い。たぶん土だな。
「チェストー!!!!」
もう一発殴ったら少し隙間があいた。周りも柔らかいから・・・・・
「チェスト―!!!!
バラバラバラっ
「しゃああああああああああ!!!!」
私一人通れるぐらいの穴があいたーーーーー!!!!!口に土がぁあああああ!!!
「っしょっと。」
少しビビりながらも肩の上で立ち上がったら、顔の部分まででたのでなんとか地面に這い上がる。
「はぁー・・・・。」
っと、忘れるところだった。
「大丈夫ですかー!!!!ショッカーさん、手、掴んでくださーい!!」
穴に手を伸ばすと、冷たい感覚が伝わってきたので引っ張り上げる。
・・・・・ん?随分軽いな・・・・?
「・・・・・・ショッ・・・・ぎええええええええ!!!!!!!ミーミーズー!!!!!ムーカーデー!!!フーナー!!!!ナメクジー!!・・・・あ、ダンゴムシ。可愛いな。」
じゃないじゃない!!触れたら危険な奴いるよ!!
慌てて手を振ると、色々吹っ飛んでいった。あ、ダンゴムシ・・・・。
「・・・・えっと、どうぞ。」
もう一度同じ手を差し出した。
「・・・・もう一つの手で♠」
・・・・ちっ。
またヤバいやつらだったら嫌なので、今度はちゃんとのぞき込みながら手を差し出すとショッカーさんがちゃんと手を掴んだ。
「じゃ、行きますよ!・・・・・とりゃああああああ!!!!!」
うーん、身長の割に大分軽い・・・。
「・・・・っと♦」
ショッカーさんは私みたいに地面と濃厚接着することなく、靴で地面を踏みしめた。・・・・いいなー、私もああして生還したかった・・・。
「わーい!!!二人で生存できましたよ!!バンザーイ!!!」
ヒューヒュー!!!犠牲者ナシだ!!これで賢王って呼ばれるね!!ショッカーさんに抱き着きながらはねていると、ショッカーさんに蔑んだ目で見られていることに気がついた。
「・・・な、なんですか・・・?」
「馬鹿ですね、貴女。」
「え?」
私、たった今賢王になったんだけど?
「自分で自分を殺しにかかってどうするのですか。」
「え?なんで?」
「僕、貴女の敵ですよ。」
「・・・あ・・・ああああああああああああああ!!!!!!!」
そうじゃん!!忘れてたよ!!!すっかりいい仲間だと!!!
「そのまま放っておけば、とりあえず今日のところは生きられたでしょうに。自分の寿命を縮めてどうするのですか。」
「私のこと・・・殺すの・・・・?」
「ええ。いつかは。」
「ごめんなさい!!殺さないで!!なんでもするから!!!王はやめてもいいし、譲るから!!勿論国政はちゃんとやって強くていい国にしてよね!!?」
「・・・・だから、いつかだと言っているでしょう。今日のところは殺しません。」
マジで!!!?やったー!!!!!
「え、国も奪わない?」
「ええ。」
っしゃあああああああああ!!!!
「・・・・ただし!」
・・・・え?
「月に二回、僕と賭け事をしましょう♥その賭けで勝った方が一回分駒を進めることができる♥」
ポンッという音と煙とともに出てきたのはチェス盤で、通常のものよりもかなりマスが多く見える。
「そうですねぇ♥駒は僕はキングとポーンだけで、貴女はクイーンとポーンだけにしましょう♥で、僕はキングを貴女に取られたら負け♥貴女はクイーンを僕に取られたら負け♥です♥」
ポンッと私の手の中に白いクイーンの駒が出現した。
「最終的にそのゲームで勝った方が負けた方に一つ命令を聞かせられるということにいたしましょう♥たとえば、貴女が勝てば私にこの国に二度と手を出すな、と命令すればよいでしょう♥もちろんゲームの間はこの国に一切手は出しません♥」
・・・・ふむふむ。
「でも、貴女みたいな愚王だと、すぐ他国に侵略されてしまうでしょう♥だから、そのゲームの間はこの国を僕が守ってさしあげます♥」
へー、ありがたいなー。
「このゲームを受け入れない、というのであればこのまま正攻法でこの国をおとしましょう♥さぁて、人が何人死にますかねぇ♥」
なんか・・・yesかハイか聞かれてる気分だよ・・・。
「・・・うん。受けるよ。」
「・・・ほう♥それでは、契約・・・いたしましょう♥」
間抜けな音と煙とともに今度でてきたものは美しい真っ赤な林檎だった。
「どうぞ♥」
「食べるの?」
頷いているので、たぶんそういうことなんだろう。
「じゃ、いっただきまーす!!!」
わー!美味しそう!!
「・・・・・・・これはすぐ死にますね。」
「え?」
「いえいえ♥どうぞ、御賞味あれ♥」
ぱくっ
豪快にかじりつくと、うっとりするような香りとともに甘すぎるほど甘い味が口の中に広がった。
「おいしー!!全部たべ・・・・
全部食べていい?と聞く前に回収された。その回収されたリンゴはショッカーさんが一口でパクリと平らげた。
「僕の名はミラビリス・ネペンテス。属性は『土』で能力は『道化師』。色々できますが、主なものは運の上昇と・・・・まぁ、名前からご想像ください。通称ジェスター、ジョーカーなどと呼ばれますがどうとでもお呼びください♥」
じゃあ、ショッカーでいっか。
「じゃあショッカーさん。これからよろしく!!私はタウチザクラ・モクレンです!!長いから、タウチでいいよ!」
「ええ♥タウチさん♥」
* * * *
「うんうん・・・・。たいして懐かしくないなぁ・・・。」
そんないい思い出でもないしね!
「・・・・その方は?」
「あー、一週間前に私の臣下?になってくれたスノウさん。優しくてつよーいんだよ!!」
「・・・・・・なるほどなるほど♦前々王への寵愛の名残ということですか♥」
なにいってんだろ?このショッカー。
「じゃあ、僕も臣下にいれて頂きましょうかね♥」
「ふーん。」
なんかいってるけどどうでもいいや。スノウさんがいれば無敵だし。はーっはっはははは!!!
べちゃっ
「ったぁー・・・・・。」
なぜか生卵が上からおちてきた・・・・・。
* * * *
「ミラと申します♪以後よろしくお願いいたします♪」
私は後日、私付きのお世話係として紹介された仮面の青年を見て発狂した。