睡眠時間
「そろそろ休憩」
夜桜先輩の低い声が、部室に響いた。
「こまめに休憩を取るんですね」
それが何か集中力を保つコツかと思い、いかにも勉強ができそうな彼女らに質問してみた。
「人間が集中できる時間は限られてるからね、私だって文章を書くときも休憩しながらだよ」
できる人は、なにかしら方法論を自分の中で持っているのかもしれない。どのくらいの成績を取っているかは野暮なので聞かないことにした。
「何か他に、勉強のコツとかありますか?」
「む、それは本気でアドバイスを欲している目だな。」
夜桜先輩が、すっと視線を合わせてる。まるで巧の心の中を透視するかのようだ。巧はその間、変なことを考えないようにする。本気で見破ろうとしていそうだから怖いのだ。
「きみは、どうせ真面目すぎて夜遅くまで勉強するタイプでしょ」
にこりと、夜桜先輩が笑う。
見透かされた巧は、必要もないのに赤面する。
「そういう人はそこそこいい成績とるけど、ストレスでボロボロになるのよね」
「夜更かしは良くないですよっ」
「、、、すみません」
猫実さんまで、加勢してきて、消え入りそうな声で謝るしかない。
「まずは、1日七時間は寝なさい」
きっぱりと、夜桜先輩が言い放つ。ちなみに昨日の巧の睡眠時間は三時間である。
「ちなみに昨日、巧さんは何時間寝たんですか」
なにも知らない純真な猫実さんが、好奇心のままに尋ねてくる。
「いや、言ったら殺される、、、。」
巧はおそるおそる、猫実さんから視線を移すと、呆れたようにため息をついている夜桜先輩がいた。