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クリエイト!(その3)  作者: 大塚
新しい始まり
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ラジオの二人

「お助け部は人助けの部活です。」

 放送室のマイクに向かって猫実さんが話す。

「えっ、人助けって部活になるの?」

 番さんがそれを受けて、反応する。

 跳ね上がる声とは、別に正面の猫実さんをみる目は、楽しげで冷静である。

「なるんです。」

「どうやってよ。」

「それを今から、お話しします。」

「わあ、楽しみ。」

 軽妙というより、取り止めのない会話が巧の目の前で繰り広げられている。

「というわけで、今日のテーマは……、じゃらじゃらじゃら……ばん。」

「「お助け部って何?」」

 番さんが口で効果音をいい、猫実さんと声を揃えてタイトルコール。巧は息のあった二人をながめながら、やっぱり女子同士通じるものがあるのだなあ、と不思議に思う。いつのまにか巧の出る幕はなくなっていた。ラジオなので話さなければ存在しないことになってしまう。しかし、目の前の二人の会話を見ているだけで気が抜ける。何も言わなくていいような気分になる。

 

「毎日部室でお待ちしています。」

「お、おお……毎日?」

 番さんが声だけで、猫実さんの意気込みにおどける。

「はい、毎日です。」

「大変じゃない?」

「いえ、もう慣れました。」

「ええ……待ってる間何してるの?」

「うーんと、本を読んだり、ぬいぐるみを作ったり。」

「ぬいぐるみ? 見せて見せて?」

「あ、ちょっと待ってくださいね。」

 猫実さんはマイクから口を離して、スカートのポケットを探す。

「あ、これです。お助けピョン吉です。」

「わー、かわいい。何これ。」

 番さんは、ぬいぐるみを見て嬌声を上げる。しっかり、マイクに向かって声を入れて笑う。

「お助け部のマスコットキャラクターのお助けピョン吉です。」

「へえー、あ、お助けって書いてある鉢巻を巻いているんだ。」

「はい、そうです。ピョン吉はいつもやる気に満ち溢れていますので。」

「なるほど、さすがマスコットキャラクター」

 結局巧より、ぴょん吉の方が存在感を発揮していたが、無事一回目のお助けラジオは終了した。猫実さんは楽しかったらしく、放課後も次回の計画を語って聞かせてくれた。

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