序章2
「ここには白切草の花がいっぱい咲いてるわ」
ポルンは花に顔を近づけ、その甘い香りを堪能すると
静かに息を吐き、満足そうに顔を綻ばせる。
サルサの森は、モルモルンの木が生い茂り
その大きな葉は、地上に光を透すことを許さない。
そのサルサの森の中で、唯一光を透すのが、この白切草のある一帯であった。
「今日は天気がいいから、お花も喜んでるわ」
ポルンは目を閉じると、気持ち良さそうな顔で
白切草の真ん中で、大の字になって横になる。
(・・・・この幸福の時がいつまでも続けばいいな〜)
「ギシ!」
「ん・・?誰・・?」
「へへへ・・・」
「・・・・ラフィ」
意地悪そうに笑うラフィが、仲間4人を連れて、ポルンの穏やかな聖域に
足を踏み入れてきた。
「よ〜、お前、こんなとこいたのか」
「こいつか、ゾルの妹って奴は」
「そうだよ、俺を昨日殺そうとしたあのゾルの妹だ」
「ふふふ・・・」
「可愛い顔してるな」
ラフィとその仲間は、ポルンを観察しながらも、逃げられないように
取り囲む。
「悪いが、ポルン」
「俺は今日、お前の兄貴に危うく殺されそうになってね」
「俺はアイツを許すことができねぇ・・」
「アイツに悔しい思いをさせてやるんだ・・」
「イヒヒヒ」
ポルンはラフィ達の居様な雰囲気を感じ取ると、スッと立ち上がり
持っていた杖を構える。
「あんたたち!何考えてるのか分からないけど」
「私に何かしたら、兄様が黙ってないわよ」
「その名前出しても無駄だよ」
「今あいつはこの場所にいないんだからな」
ラフィ達は殺気立つと、徐々にポルンとの間合いをつめる。
「兄様がいなくても、舐めないでよ」
「私はこの村の英雄ラカンの娘よ」
「ふん!それがどうした!」
ラフィは一言声を発すると、ポルンに剣を振り上げて襲い掛かる。
一瞬遅れて、仲間達も一斉に剣で四方から切りかかった。
「ボルシールド!」
魔法を詠唱すると、ポルンを包み込むように光の障壁が突然現れた。
「くっ・・これは・・」
「近づけねぇ・・・・」
「生意気な奴だ・・・」
ラフィ達は光の障壁に阻まれ、ポルンに近づけない。
障壁に剣で何度も切りつけるが、はじき返された。
「くそ〜、このままじゃ、埒があかねぇ・・」
「お前等!四方に散って攻撃魔法を当てるぞ!」
「おう!」
仲間達はラフィのその言葉を聞くと、ポルンから7Mほど離れ
両手をポルンの居る方へかざした。
「同時にいくぞ!」
「おう!」
「ファイアボール!」
炎の球がラフィ達の手の平から、突然現れたかと思うと
ポルンめがけて、四方から高速で飛んでいく。
「ズドーーーーン!!!」
物凄い轟音と共に、ポルンの居る辺りに炎の柱が立ったかと思うと
白切草の花と土煙が一帯を覆い尽くす。
「やったか・?」
「いや・・・・」
「駄目だ」
「全然効いてないよ・・」
「なんて奴だ・・・」
ポルンの周りの障壁は、四方からのファイアボールを受けたにも関わらず
その凄まじい威力を、ポルンへ透すことを許さない。
「こうなったら・・撃ち続けるんだ・・」
「OK!」
「ファイアボール、ファイアボール!」
ラフィがそう言うと、仲間達もそれに相槌を打ち
ファイアボールを連呼する。その言葉と共に炎の球が
断続的にポルンへ飛んでいく。
「キャアア・・」
ポルンはその爆撃とも言える無数の炎の球の襲来に
思わず声を上げた。
ポルンを包む光の障壁は、それでも尚崩れる事は無かったが
だんだん、その光がファイアボールが当たるごとに薄くなっていく。
(・・・・このままでは・・・)
(後何分も保てないわ・・・)
(どうしよ・・・・・)
ポルンが目を閉じ諦めかけたその時、空から誰かが叫ぶ声が
こだまする。
「ポルン〜〜〜〜〜〜!!!!」
「兄様!」
ポルンのその声に、ラフィ達はファイボールの詠唱を止め
ポルンの視線の先にいるゾルを一斉に体をよじって見た。
「ゾルだ・・・」
「おい・・あいつがゾルか・・」
「良く来たな、ソル・・」
「もう少し来るのが遅ければ、妹の悲惨な躯をみれたのにな」
「ヒヒヒヒ」
ラフィは何か、薄汚い者をみるかのような目つきでゾルを見ると
刺々しい口調でそうゾルに言い放った。それに同調するかのように
仲間達が悪ぶれた顔でせせら笑う。
「貴様ら〜・・・・」
「よっぽど、命が欲しくないようだな。」
「許さんぞ・・」
「皆殺しだ・・」
「




