エピローグ
晴れ渡る空を眺め、私は私の身に起きた、シキとの不思議な日々を思い返す。
結局あれは何だったのだろうかと考える事もあったが、それを無暗に結論づける事は、なんだか愚かしい事に思えた。
現実であれ、夢であれ、空想であれ、幻であれ、シキはシキなのだ。そして、私の中にシキは間違いなく存在している。それでいいのだ。
相も変わらず私は色を塗り続けている。
色を塗る事でそこに個が生まれると私はどこかで思っていた。けど、それだけではないのだ。
色はあくまで、装飾にすぎない。それに塗りつぶされるのは違う。
個を引き立てる装飾の一つとして色は存在しているが、それは主であるわけではない。
イスにどんな色を塗ろうと、イスはイスだ。
生きていく中で、私達はいろんな色を持つ存在と関わり合う。
その色を自分に塗りつけてみるのもいい。混ぜてみてもいいだろう。
でも、自分自身の持つ色は大切にしなければいけない。
それを失う事は、自分を失う事に等しい。
――あ。
空を見上げていた私の視線が止まる。
そこには大きな大きな虹が架かっていた。
――元気にやってるか?
見えない一羽の鳥に思いを馳せ、私は今日も色を塗る
それが、私に出来る事なのだから。




