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プロローグ
空を見上げる。
広がる空、漂う雲。照りつける太陽。
地面を見下ろす。
無骨なアスファルト。引かれた車線。
視線を前に。
立ち並ぶ建造物。植えられた木々。
その全てに色は存在している。
そこにいる事を示す為に、存在意義を主張するように色を纏う。
彩る様々な色達が、この世界を鮮やかにする。
私はいつだって思い出す。
この世界に色がある限り。
あの不思議な想い出を。
パタパタと、翼達が空を横切る。
――元気にやってるか?
心の中で私は呼びかける。
今もどこかで飛び続けているであろう、一羽の鳥に向かって。