第八十三話 私の想いと彼の想い
シンジのいる部屋に私は戻った。
「・・何を話した?」
シンジが早速聞いてきた。
私に何か言う暇も与えず。
「・・シンジこそ、ルカと何話したの?」
「・・お前のこと」
シンジは一瞬ためらいを見せたが即答した。
「私の・・こと?」
私はやや戸惑い聞き返した。
シンジにも・・ルカは話したの!?
力のことーーー。
「そうだ」
シンジは頷いた。
「私も・・自分の力について言われた。」
私はさっきのシンジの問いに答えた。
「こんなに大きすぎる力はーーー
私には制御できないといわれて・・自分も納得できた・・。
私の力は他の民よりも大きくて暴走が当たり前だと言われて・・
私の周りにいる人たちを傷つけるっていうことだって・・
分かってたんだけど・・でもーーしょうがないっよねっーー
言われてッ・・当っ然っ・・だよっね・・っ
私は・・甘く・・見てたんだよねーーッ」
ほとんど私は独り言のように言って私はその場に座り込んで俯き
手で顔を覆いつくす。
涙がスーと頬を伝う。
ほんとは分かってたーー、
自分の力のことも・・その大きさも・・っ
でも、その力で守りたかったーーっ
大切に思うものを・・この力で・・守りたかった・・
でもっーーでもーーっ
あんな風に言われたら・・もうこんな気持ちになれないーーっ
「ーーー」
シンジがなにか小さく呟いた。
そしてシンジは私に近づく。
「泣くな・・」
シンジは私の傍でひざを突く。
そしてなぜか私の背中に腕を回した。
シンジはぐいっと私を抱き寄せた。
・・シンっ・・ジ・・??
シンジは私を優しく抱きしめてくれた。
「・・そんなことで泣くな。
・・泣かなくていい」
そう言ってシンジは私の手を顔から引き離し私の涙を拭う。
「・・どうっ・・して・・?」
私には・・私には分からなかった。
どうして抱きしめてくれたのか・・どうして涙を拭ってくれたのか・・
どうして・・そんなことを言ってくれるのか・・
シンジの言動すべてが分からない。
「・・・」
シンジは何も言わず私を見つめる。
「どう・・してっ?
私の力がっ・・大きすぎるのはホントのことだよーー?
だってーーっ、みたっでしょ・・?シンジ・・っも。
私の暴走・・っ。それっに・・シンジになにも言わなかったーーっ
わたっし・・っ、シン・・ジに・・っかくして・・ったっ
なのにっ・・なのにーーっ、どっうしてーーっ、どうしってーーっ
シンジっはーー、私ーーかくしっごと・・してたのにーーっ
どうしってーーーーっ」
そんなに優しくしてくれるの?
そう言いたかったのにいえなかった。
自分で言っているのに自分でその言葉に傷ついてた。
言えば言うほど涙がこみ上げ嗚咽でしっかり話せなかった。
心ではそんなことわかってたのに・・
言葉にしたら余計に苦しくなって心に突き刺さった。
シンジは私の言葉をさえぎって再び抱きしめた。
強くそれでいて優しく抱きしめてくれた。
「・・もういい。
もういいっ、何も話すなっ
話さなくていい」
シンジは言った。
「っ~~~」
言葉からはなにも得られないのに
なんでだろう?
ーー安心する。
シンジは私を理解・・してくれたようで・・
わかってくれたようで・・
「・・自分の力を否定するな。
その力で俺は助けられた。
だから否定する必要は無い」
シンジは優しく抱きしめながら言う。
「シンジ・・っ」
私も・・シンジの背に腕を回して抱きしめた。
私の力で・・シンジを助けたこと・・
いままであったような無かったような
そんな“曖昧”なことしかなかった気がする。
でも・・シンジは言い切った。なんでだろう?
シンジは嘘は・・いわないと思う。
・・はぐらされることやノーコメントのことはあったけど。
シンジに触れられて安心した。
力のことで私だけだと突きつけられ、
それが苦しくて辛くて・・
それらをルカには見せないよう努力していた。
でも・・たくさんーー言葉を心をーー外に出してしまった。
だからーー余計に私を支えるシンジにーー妙に安心感を覚えて・・
そのあとーーまたたくさん泣いて・・シンジを困らせた。
そして・・いつしかーー眠ってしまった。
・・シンジは・・シンジはどう思ったのかな?
どんな想いで私の言葉を聴いて、
どんな想いで抱きしめてくれて、涙を拭って・・
どんな想いで言葉を口にしたのかな?
私は・・分かるはずも無かった・・・。
目が覚めると・・視界はシンジで覆い尽くされていた。
どうやらそのままの状態で朝を迎えたらしく、
窓からは暖かな太陽の日差しが部屋に入り込んでいる。
「・・・」
シンジ・・
私は目を閉じているシンジをみて
そっとシンジの胸元に顔をうずめた。
安心するーー。
シンジの腕の中にいることに心地よさを私は感じていた。
「・・・。
起きたか?」
上からそんな声が降りかかった。
「シンジ・・。
うん・・起きたよ。」
私は顔を上げて微笑んだ。
「・・・大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫。」
私はにこやかに笑う。
ほんとにもう大丈夫。
昨日、全部外に出したから。
シンジがそれを受け止めてくれたから。
もう悩まない。
「そうか・・」
シンジは呟く。
「・・・」
「・・・」
二人の間に沈黙が訪れる。
「もう、朝だよね・・?」
「あぁ」
「・・シンジは体のほうは平気なの?」
「あぁ」
「・・・私のほうも平気だけど・・それより、
昨日ご飯何も食べてないよね?」
「あぁ」
私の質問にすべて同じように頷くシンジ。
「・・・・朝食・・たべにいかない?」
「あぁ」
これにも平然と頷いた。
シンジは・・頷く意味と・・
私の・・気まずさを・・・わかって頷いているのだろうか?
それとも・・わざと・・?
そんな・・わけ・・ないよね?
「じゃあ、食べにいこっか」
「・・・」
私はそういったんだけどなにも言わない。
私は動こうともがいたが・・なぜか、それは受け入れてはくれなかった。
「シンジ・・?」
私は戸惑い気味に聞いてみる。
「・・・」
ひょいっとシンジは唐突に私を抱き上げ、立ち上がった。
「えっ!?」
私は目を見開く。
「・・立てるか?」
「っ~~、う、うん」
シンジは私を見下ろして聞き、私は恥ずかしながらも頷いた。
そしてシンジは私を降ろす。
「・・・」
「っ~~~”
い、いこっか」
私は明らかに動揺しながら部屋を出てシンジと共に朝食を食べに行った。
その後も私は動揺しまくっていたことを記しておく。
やっとかけたッ、
そして次回はシンジ視点でこの話をお送りします。
そして次回のそのまた次回は・・なんと最終話!!の予定です。
最終話といっても別の連載で続編を書きま~す。
って前にも同じようなことを言った気が・・。
では、次の機会に




