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精霊使い  作者: 黎奈
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第六十四話 古の遺跡 レドムの里 

一名、私とシンジの後ろから来る人が。


背中にその視線が突き刺さって気が抜けない。


・・大丈夫・・かな?・・敵視されてる気もするし・・・


私は少し警戒を強めた。


「・・大丈夫とかなんとかいったの、オマエだろ。」


シンジが私の心の内をいとも簡単に見抜いた。


「!・・なっ、なんでそう思ったの??」


私は見開いてシンジを見る。


「すぐ顔に出る」


驚く私にシンジは一言はっきり言い放つ。


「そっ、そんなに私すぐに表情でるかなぁ?」


・・す、するどいっ・・!!


私は動揺を抑えながらも言う。


「でる」


シンジはきっぱり頷いた。


・・そっーーそこまでっっーー!!


「そこまできっぱり言わなくてもいいじゃんっ」


私はムキになって言い返す。


「事実を言ったまで、だ」


シンジは平然と言い返すがどことなく笑っている。


「じっーー!!?」


その平然とした物言いに私は言葉を失いかけ、反論しようとすると


「着いた」


と、言われ、シンジも私も立ち止まる。


「ッ~~。ーーここが・・レドムの里・・」


私はさっきまでの気持ちを静めて呟いた。


私は里全体を見渡した。


そこは大きな遺跡を中心としたきれいな石の町が広がっていた。


家は大理石で作られ、町の周りは林で囲まれている。


遺跡は何千年も前からあるようには思えないつくりになっている。


「・・行くぞ。」


シンジはそう言って歩き出した。


シンジの目的はおそらく遺跡なのだろう。


その遺跡には昔からとある伝承が伝えられているのだから。


「うん」


私は頷いて歩き出す。


そのまま私たちは遺跡の中へと入っていった。


遺跡に入ると共に後ろにいたハンターはいつの間にか姿を消していた。


遺跡の中は暗く、地面は大理石で靴からも伝わるひんやりとした感覚があった。


シンジは


「点火」


と、呟き、その手に炎を宿らせた。


それをコントロールし頭上に掲げる。


「シンジはこの遺跡の謎を解くためにここへ来たの?」


私はシンジの動作を終えると共に聞いた。


コンコンコン


足音が地面に響く。


「それもある。」


シンジはそう言った。


「目的は一つじゃないんだね?」


「あぁ」


私の問いにシンジは頷く。


「魔の古代文字・・読めるか?」


「えっ」


シンジの問いに思わず驚く。


魔の古代文字というのは魔方陣に刻まれる文字のことだ。


昔によく使われ、今はもう使われなくなった文字、それを魔の古代文字という。


「う、うん。おばあちゃんが教えてくれたから」


私は頷いた。


「・・。魔の古代文字がこの遺跡にはところどころに記されている。

だが、文字はそれだけではない。

俺たちが知らない文字までもが記され、意味があるかのように刻まれている。

まるで精霊の属記号のように、な。」


シンジは淡々と述べ、立ち止まり、炎を壁へと近づける。


「文字は人を選ぶ。

俺は読めるが意味までは深く知ることができない。

文字は呪文と同じ。

呪は真実の意味を理解しなければ扱えない。」


「・・・」


「信じられないか?」


黙る私にシンジは聞く。


・・だって、ねぇ?

・・自分ができてシンジができない、なんて・・そんなありえないこと・・


「・・・」


「・・なら、試してやる」


シンジはそう言ってポケットから黄金の鎖を取り出した。


・・開封の道具だ・・(それ)


「--レローネ。レローネ。レドムレローネ。

我、扉を開封する者。

我の問いかけに答えよ。」


シンジは唱えた。


シンジは“レローネ、レローネ、レドムレローネ”という古代文字をそのまま唱えた。


それで魔法は開封されるはずだった。だが・・


シーン


と、あたりは静まり返り何も起こらない。


「ほら、な」


シンジはそう言ってため息をする。


「俺は魔法に向いていない。

だから俺は魔法を学ばなかった。

俺がここへ来た目的は遺跡の文字の解読のためだ。

七色の宝玉を手にした今、全てがそろったからな。」


シンジはそう言って私に鎖を渡した。


「やってみろ。

神官がお前に教えたのなら、何かあるはずだ」


「・・うん」


私は頷いた。


神官・・それは神の声を聞ける存在。


おそらくシンジはおばあちゃんのことを言っているんだろう。


おばあちゃんは民の長であり神官者なのだから。


私は七色の宝玉を取り出しシンジから受け取った鎖を用いて古代文字を見た。


すると・・


“--------------------------------”


視界全体がフィルムに覆われたようにさまざまな知識と動作が一瞬にしてまわり、

脳に文字の意味と道具の扱い方が刻まれた。


体もそれに従うかのようにステップを踏み始めた。


トン・・トン・・・スー・・トン・・トン・・・スー・・


ステップはかろやかに流れる。


「レローネ、レローネ、レドムレローネ。

我は扉を開封する者、

精と魔をつなぐ扉・・世界を隔てる扉、

七色の架け橋、鎖の契り、扉よ、今、解き放たれしとき、封印を解かれーー」


私は言った。


いや、扉が私にそうさせた。


するとっ


“ウ”ォン”


私には扉が開かれたように感じた。


その中へ吸い込まれるようにして私は目を閉じた。











シンジは鎖をルミルに手渡した。


シンジはほんの少しルミルに淡い希望を抱いていた。


神官には神の声が聞けるだけでなく、相手の情報全てを読み取ることができる。

思考も心境も能力も才能も余すとこなく全てを、そして未来を見通すことができる。


「レローネ、レローネ、レドムレローネ。-----」


ルミルは宝玉も用いてステップを踏み、唱え始めた。


すると、


ホワーン””スシャー


壁に刻まれた文字が見たこともない魔法陣となって光を放出した。


その光が消えると同時にルミルの体ががくんと傾いた。


「オイッ!!」


シンジは叫び、慌ててルミルの体を支えた。


「!?」


ルミルは気を失っていた。


そして、ルミルからは誰もが秘めている自分の魂すらも感じられなかった。


「しっかりしろっ」


無駄だと分かっているがつい叫んでしまう。


シャラン。・・・・・コトン。


ルミルの手から鎖と宝玉が落ちた。


俺はそれを拾い上げ、リュックに戻す。


鎖は自分のポケットにしまい、

ルミルのリュックと自分のリュックを背に担いでルミルを抱き上げた。


ーーこいつの魂・・意識は・・おそらく・・・扉のその先・・だろうな・・


シンジはそう思った。




シンジはその後、遺跡を出て里を歩いていた。


やはり、人を抱える姿は目立つのか、白い衣を纏った者が舞い降りてきた。


顔はフードを深くかぶっているから分からない。


「そなたの腕の中にいる者に魂を感じられない。

そなた等は何者か?」


白い衣を纏った者は言う。


シンジは、


「俺はシンジ。

目的があって遺跡を訪れた。」


とだけ、言った。


「そうか。そちらの者は?」


白い衣を纏った者は聞く。


「こいつはルミル。

旅の連れだ。

遺跡の扉の文字を読み上げて気絶した。」


事実だけをシンジは述べる。


「・・。

我はフローラ。

この遺跡を守る守護者に値し、僧侶の職に就いている。」


フローラと名乗った者はフードを下ろした。


「・・・」


シンジは何も言わずフローラを見る。


「そなたは驚かぬのだな。

我が女だということに。」


「・・・。」


フローラの言葉にシンジは無言で返す。


そう、まさにフローラは女・・女性そのものだった。


声や口調こそ男だが、容姿や髪がそれを補うかのように清楚であった。


シンジにはそれに似た姉がいるし、別に気にも留めないけれど。


フローラの髪は銀色で長さは腰まである。

そして耳には十字架のイヤリング。


「よかったらそなた等泊まっていかぬか?

魂が離れている人間は不安定だ。

我の住む聖域はそれを脅かす存在はない。

存分に休めるぞ。

我にしても何の理由があって遺跡の扉を開こうとした者を野放しにできないからな」


フローラは柔らかい口調で言う。


だが、言葉そのものは脅迫に近い。


我らの域にいなければ、脅かすぞ ---とでも言いたいのだろう。


「牽制か?それとも脅迫か?」


シンジは聞く。


僧侶は神官と同じくして人の才能などを見通せる力を持つ。


だから     お前には一人で行っても無駄だ 


という意味を含ませているのだとシンジは思っていた。


「ふふふ。

少しは警戒を解いたらどうだ?

それに我らはそなたが思ってるようなことはしないだろう。

我らは神に仕える者だからな。

神を裏切るようなことは絶対にしないと誓っている。

・・では案内しよう。

我らの聖域へ。」


フローラはそう言って歩き出した。


ーー・・俺に 拒否権はない ・・か。


シンジは心の奥底で呟きフローラの後に続いた。





一ヶ月ぶりに書きました。

すいませんが、また事情でやれなくなると思います。

そのところはご承知いただけると助かります。

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