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精霊使い  作者: 黎奈
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第二話 旅の目的

ルミルは、はぁーと息を吐いた。

その理由は私の前を歩くシンジのせいだった。

私が頑張って精魔をウィーミアと一緒に倒したのに、その喜びを分かち合う時間さえくれない。

その上、冷たい言葉を淡々と言う。

図星だから反論はできない。でも、少しぐらい共感してくれたっていいじゃない。

そう心の中で反論している。言葉に出せば、絶対、私が押し黙るようなことしか言わない。

無口で冷静で冷たい人。そう思えて仕方がない。

だって数々の仕打ちがそうだといわせるもの。

旅を始めたその日から、精魔に襲われた。私は何もできなかった。というか、恐怖で身がすくんじゃった。そのとき、シンジが、

「・・俺が精霊使いの戦い方を教えてやる・・」

そういったのだった。その日から、もう、毎日毎日休まず特訓を受けてきた。

おかげで、何とか初級の中の弱い部類の精魔には対抗できるようになった。

それは、シンジのおかげとしかいいようがないけど、でもでも、少しは努力したことほめてほしい。

はっきり言って、一言多いのだ、シンジの言葉は。

シンジが、年に一度開かれる大会に出場しようと頑張っているのは以前聞いた。

私はシンジにとって足手まといなんだ。

それが悔しくて文句を言わず、苦しいことにも疲れたと弱音を吐かず頑張って努力した。

今は少しだるい程度に収まっているので、シンジには何も言わないでいる。

 私も今年は大会に出ずともいつか出てみたいと思っている。

それに、それだけが精霊使いとしての目標ではない。もう一つあることも聞いた。

それは、それぞれの生息地に住む精霊との交友の場を広げることだ。

その生息場所に出向くだけでも歓迎されるらしい。

それと、精霊使いにとってメリットもそこにはあった。


精霊の依頼を聞き成功させることができたのなら、契約することができることもありうると。

私は、自分のパートナーのウィーミアしかまだ精霊を見たことがない。

シンジが精霊を出したところも見たことがない。

私はシンジの精霊をまだ見たことがなかった。

さっきの戦いもシンジは見てるだけだった。そのとき、むやみに能力を使うなと説教されたが・・。

 まだ、いろいろ反省点の多い私である。


「ねぇ、どこの向かっているの?」

私は聞いた。

 精霊使いとしての目的は聞かされたが、具体的な目的を聞いたわけではない。

「この森を抜けたら、緑属性の精霊が住む場所に着く。」

今、私とシンジは森を切り開いているような舗装された道を歩いていた。

でもそのおかげで森がつながっているのも分かったし、森をぬけたところも遠かったけど少し見ることができた。

最低限のことしか言わないシンジに対し、

「ふ~ん。緑属性の精霊かぁ~あってみたいなぁ~。ねぇ~ウィーミア?」

「はい、会いたいですよ。お会いしたことがないけれど、きっと木や葉を操るんだと思いますよ。」

「へぇ~、会いたいな~。」

私はのんきにウィーミアと会話をしていた。

そのとき、シンジから異様な雰囲気オーラが漂った。

「・・いい加減にしろよ。・・これで何回目だ?精神力を消耗するといっているだろ?」

シンジは怒鳴ることこそしないがシンジからあふれる異様なオーラはすさまじいものだった。

それが教えてくる。はむかうなと。いい加減分かれと。

「だって・・会話が・・・・いえ、その、ごめんなさい」

言いつくろうとしたが、シンジと目が合ったとき何もいえなかった。

だって、シンジってすぐ黙っちゃうんだもん。会話が続かないよぉ。

「ごめん。ウィーミア、帰ってくれる?」

「はい、そうします、シンジ・・様、今日なんか怖いし、厳しいですから・・。」

そういって戻っていった。

「俺・・そんなに怖いのか・・・いや、・・そんなにきびしくした・・う~ん・・だが・・」

ぶつぶつと小さく呟くシンジを見て、

十分怖いです。口調もオーラも・・。

と心の中で呟く。

でも・・今はそんなに厳しくない。私が怪我するたびに特訓はやめてくれた。・・でも・・だからといって、甘えることはできない。私はシンジの足手まといなんだ。もっと強くならなくちゃッ。

そう自分に言い聞かせていたとき、

「ん?」

私の頬に一滴真上から落ちてきた。雨のしずくだった。

「雨・・降るな・・これだと・・。」

シンジが呟いた。そしてそれからまもなく、ざーざーと、雨が降ってきた。

「あーぁ~~、雨、雨、あめ~」

私があわてると、

「森で雨宿りする・・走れ。」

シンジはいい終えるより早く走り出した。

私も続いて走る。

森の中で洞窟を見つけた。その中へ駆け込み、乾いている地面に座り込んだ。

濡れた自分の髪を拭く。シンジも自分の髪を拭いている。

シンジの髪は紫。雨で濡れたその髪はつやつや光っていた。

私は髪が長いから乾くのに時間がかかる。私の髪色は青。

「さ、さむい」

私がそういって身震いしたときだった、がさっと音を立てて何かが私の上から降ってきたのは。

「!?」

それをつかんだ私はすぐにシンジのものだと分かった。

「・・・着てろ・・風邪を引く。」

「え・・で、でも・・シンジが・・」

私がいい終えるより早く、

「俺は平気・・・まきを取りに行ってくる。・・ここから動くなよ・・。」

シンジは言った。

「いってくる。」

「うん。」

私は頷いた。それを確認して、シンジはまきを取りに行った。










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