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義務教育が終わるまでに恋心を享受せよ。

作者: 柳ミル
掲載日:2026/02/01

高校生からは大人側、そんな感じ。


中3の少年×高校生の『お姉さん』


大人を享受せよ。

「温泉入りましょう、お姉さん」

「ヤダ」

即答される。


いつも通りの公園。僕は私服で、お姉さんは制服。中3の僕と高校生のお姉さんは毎日公園で待ち合わせをする。

それは、休日でも。

今日は日曜日なんだけどなぁ…。何で学校がないはずの曜日でも制服なんだろう。


まあ、いいか。


それよりも。


「温泉入りましょうよ、ねえ」

「嫌なものは嫌なんだよ」

「何で」

「何でって。

じゃあ、逆に聞くけどさ」

「はい」

「何で、君は温泉に入りたいの?」

「寒いから」

僕も即答。

ぽかん、とするお姉さん。

「寒いから温泉に入りたい、今は冬なんですよ? 気持ちよくて温かい、最高じゃないですか」

当然でしょう? と。


「自分の裸が見たいから、とか」

「いや、混浴はありませんよ、このご時世」

「う、うん。そうなの、かなあ?」


「裸見られたいんですか?」

「ま、まさかっ! 困るよ!」

なぜに必死。


そして、僕は頭を下げる。

「温泉に入りましょうっ、お願いしますっ。

大人の温泉も享受させて下さいっ」

「だからヤダ」

即答再来。




―そして。


「やっぱ温泉は最高だぜっ!」

と、僕は大きな声で言う。

周りにはお兄さんやお爺さん。大声出したけど叱られないかな、と見回す。なんか周りから暖かい視線。


僕が、義務教育を受けている子供だから、だろう。


やっぱり混浴ではなかった。

まあ、いいんだけど。今の僕にはそういう欲情はないから。


高校生、つまり大人側のお姉さんと一緒に温泉。


大人の温泉…。

風呂上がりに牛乳! マッサージ機!

まだまだあるんだろうなあ! お姉さんに教えてもらおう! 大人のお姉さんに!


『自分は君が入った後に入るから』

『なぜに?』

『は、恥ずかしいから! 向こうに君がいるって思うと! 大人だから!』

『流石大人だぜ!』

てなことがあったけど。


「あーっ。

むしろ熱い! だがそれもいい!」




「あがったかい?」

自分、いや、オレは少年に聞く。

「はい。あがりました」

笑顔でうなずかれる。

そうか、とオレはうなずく。


「じゃ、オ、自分も入ろう」

「いや、そっち男湯」

「大人だからいいの」

「流石大人!」

アホでよかった。




「はあ。

確かに気持ちいいけど、さ」

呟く。

そして、両手でお湯をすくってみたり。


「また、嘘吐いちゃった。

オレ、体も心も男なのに」

下は生えていて、筋肉もそれなりにある。ヒゲだって、それなりに生える。


肌はスベスベで、細い方で、顔も、よく同級生とか先輩とか、周りから『女の子みたいで可愛い』て言われるけど。


女装しても、ばれないし。


でも、オレは男。体も、心も。


『お姉さん、僕、修学旅行で知りました』

『知ったって、何を?』

『恋愛として好きな人がいない僕は子供だってことを。僕は子供の中の子供だってことを』

『はあ』

『僕に大人を享受して下さい、お姉さん!』

から、はじまった、大人の関係。


確かに、オレは高校生、高1だ。

けど、オレに、恋心を教えることはできない。同性に恋心なんて。

大人の享受はできたとしても、恋心は…。


「どうしたらいいのかな、姉さん」

呟く。


姉さんなら、どうしたんだろう。


…。


「大人の温泉でも、考えるか」




「いい湯だったよ、本当に」

「いや、だから何で男湯!?

別に、そういうことなら、それでもいいですけど」

「大人だから」

「大人すげえ!」

本当にアホでよかった。


「大人の温泉。

あがったら、牛乳!」

「はい! やっぱりそうなんですねっ」


本当、この楽しい日常が、ずっと続かないかなあ。

ありがとうございました!

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