義務教育が終わるまでに恋心を享受せよ。
高校生からは大人側、そんな感じ。
中3の少年×高校生の『お姉さん』
大人を享受せよ。
「温泉入りましょう、お姉さん」
「ヤダ」
即答される。
いつも通りの公園。僕は私服で、お姉さんは制服。中3の僕と高校生のお姉さんは毎日公園で待ち合わせをする。
それは、休日でも。
今日は日曜日なんだけどなぁ…。何で学校がないはずの曜日でも制服なんだろう。
まあ、いいか。
それよりも。
「温泉入りましょうよ、ねえ」
「嫌なものは嫌なんだよ」
「何で」
「何でって。
じゃあ、逆に聞くけどさ」
「はい」
「何で、君は温泉に入りたいの?」
「寒いから」
僕も即答。
ぽかん、とするお姉さん。
「寒いから温泉に入りたい、今は冬なんですよ? 気持ちよくて温かい、最高じゃないですか」
当然でしょう? と。
「自分の裸が見たいから、とか」
「いや、混浴はありませんよ、このご時世」
「う、うん。そうなの、かなあ?」
「裸見られたいんですか?」
「ま、まさかっ! 困るよ!」
なぜに必死。
そして、僕は頭を下げる。
「温泉に入りましょうっ、お願いしますっ。
大人の温泉も享受させて下さいっ」
「だからヤダ」
即答再来。
―そして。
「やっぱ温泉は最高だぜっ!」
と、僕は大きな声で言う。
周りにはお兄さんやお爺さん。大声出したけど叱られないかな、と見回す。なんか周りから暖かい視線。
僕が、義務教育を受けている子供だから、だろう。
やっぱり混浴ではなかった。
まあ、いいんだけど。今の僕にはそういう欲情はないから。
高校生、つまり大人側のお姉さんと一緒に温泉。
大人の温泉…。
風呂上がりに牛乳! マッサージ機!
まだまだあるんだろうなあ! お姉さんに教えてもらおう! 大人のお姉さんに!
『自分は君が入った後に入るから』
『なぜに?』
『は、恥ずかしいから! 向こうに君がいるって思うと! 大人だから!』
『流石大人だぜ!』
てなことがあったけど。
「あーっ。
むしろ熱い! だがそれもいい!」
「あがったかい?」
自分、いや、オレは少年に聞く。
「はい。あがりました」
笑顔でうなずかれる。
そうか、とオレはうなずく。
「じゃ、オ、自分も入ろう」
「いや、そっち男湯」
「大人だからいいの」
「流石大人!」
アホでよかった。
「はあ。
確かに気持ちいいけど、さ」
呟く。
そして、両手でお湯をすくってみたり。
「また、嘘吐いちゃった。
オレ、体も心も男なのに」
下は生えていて、筋肉もそれなりにある。ヒゲだって、それなりに生える。
肌はスベスベで、細い方で、顔も、よく同級生とか先輩とか、周りから『女の子みたいで可愛い』て言われるけど。
女装しても、ばれないし。
でも、オレは男。体も、心も。
『お姉さん、僕、修学旅行で知りました』
『知ったって、何を?』
『恋愛として好きな人がいない僕は子供だってことを。僕は子供の中の子供だってことを』
『はあ』
『僕に大人を享受して下さい、お姉さん!』
から、はじまった、大人の関係。
確かに、オレは高校生、高1だ。
けど、オレに、恋心を教えることはできない。同性に恋心なんて。
大人の享受はできたとしても、恋心は…。
「どうしたらいいのかな、姉さん」
呟く。
姉さんなら、どうしたんだろう。
…。
「大人の温泉でも、考えるか」
「いい湯だったよ、本当に」
「いや、だから何で男湯!?
別に、そういうことなら、それでもいいですけど」
「大人だから」
「大人すげえ!」
本当にアホでよかった。
「大人の温泉。
あがったら、牛乳!」
「はい! やっぱりそうなんですねっ」
本当、この楽しい日常が、ずっと続かないかなあ。
ありがとうございました!




