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OJISA-IZM  作者: 抹香
15/15

レッスンスタート!

 一宮神社の縁日は7月21日だ。

あと3ヶ月で、新商品のミニ小判きんつばとそのプロモーションを行うオジサマダンスユニットOJISA-ISMを発表しなくてはならない。

未だ壬生様やマー君は受け身な様子で、スケジュール確認の連絡しても、


「本当にやるんですか?」


 懐疑的な空気を醸し出してくる。やるに決まってるじゃん! 唯一リードボーカルをやってもらう姫路社長が前向きなので助かっている。


「私がメインボーカルである以上、恥ずかしいモノは出せません」


 曲作りから振り付けやレッスン場の確保、衣装作りなどなど、昔のツテを頼って、もろもろ手配してくれている。素人の私にとっては心強くてありがたい。やらなければならないことは山積みだ。元になる曲の作詞は私が担当する。


ミニ小判きんつばの歌


ミニこばんきんつば

つぶあんにチョコにこしあん

くりあんにいちごあんに抹茶

いろんな種類をお試しあれ

僕らがお相手しましょう

侮るなかれ

江戸時代から受け継がれしその製法

甘すぎるわけではなく

ビターすぎない

ちょうど美味しいその味

ミニこばんきんつば

つぶあんにチョコにこしあん

くりあんにいちごあんに抹茶

いろんな種類をお試しあれ


 字数やイントネーションなど作詞するために守らなければならないルールがあるそうだが、とりあえずミニ小判きんつばの宣伝のための曲なので、思いっきり商品名を押しだしてみた。色んな種類があることだって伝えないといけない。その為の6人組なのだ。姫路さんみずからのアレンジで曲はレトロなモータウンサウンドに仕上がった。そしていよいよレッスンが始まるわけだが、振付師の先生はボックスやバスストップやサイドステップといった昔のディスコのステップを取り入れて振付している。私のダンスユニットのイメージとは違うが、これならオジサン達はついて来れるというのだ。案の定、ご学友コンビの壬生様やマー君は


「楽勝〜!」


 軽やかに踊っている。さすがサタデイナイトフィーバー世代、遊びなれたボンボンの面目躍如めんぼくやくじょといったところか? やはり私の目に狂いはなかった。二人がツートップだ。沢村さんは、二人にはやや劣るがちゃんとついて来れている。意外だったのはトクさんで、艶かしい、いぶし銀的な風味のダンスを踊る。


「わ! 渋い!」


 思わず唸ると、トクさんにはブルースの血が感じられると姫路さんがつぶやく。どんな青春を送って来たのだろう。菓子職人の前は何をやっていたんだろう? にわかに気になりはじめたが、全て順調に進んでいるわけではない。問題はウメさんだ。


「いつも贔屓にしてくれるお客様やよその会社の人たちが頑張っている。我々栄芳堂スタッフもやるぞ!」


 と威勢こそ良いが、寄る年波で足元がふらつきレッスンについてこれない。歌も振付けも覚えられない上に遅れてしまう。見学に来ていた娘の幸子は、


「これはダメだね」


 と他人事のように言い放つ。


「そんなこと言わないで助けてよ、幸子」

「私だって出来るなら助けたい。でも、ウメさんはそれなりにお歳だし、どうしても無理があるんじゃないかな」

 といった矢先に、

「あ! じゃあ、無理に御本人がステージに出なくても良いんじゃない?」

 矢継ぎ早に案を出す。

「どういう事?」

「映像に出てもらおうよ」

「は? はあ?」

 映像って?

「SNSで見たんだ。アメリカのアイドルユニットだけど、メンバーの1人がインドの方でアメリカまで来られないから、映像でワイプ出演していたよ」

「でも、それは物理的に居ないから成立するけど、ウメさんは会場にいるのよ」

「会場に居ても踊れないのなら、映像でも良いんじゃない?」

「そうかな〜。でも、それってどうやるの?」 

「スクリーンに投射するの。ゲームのキャラがそうやって歌って踊ってた」

 前にネットで見たゲームアイドルの話をする。

「難しくない?」

「それは大丈夫だよ。私に考えがあるから」


 幸子は自信があり気なんだけど、大丈夫かしら? 

とはいえ反抗期だった娘が積極的に手伝ってくれるのは嬉しい。幸子に任せてみようかなっと思った。

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