不動産賃貸において、親切は裏切られることが多いのが現実
法人で賃貸物件を保有していて、いいことはもちろんありますが、悪いこともおきます。
いいこと。
これは説明するまでもなく、インカムゲインがあることで会社のキャッシュフローが安定します。当然、返済や固都税の支払いをした後に赤字じゃお話になりませんが、その状態で良しとする損をしたい人はいないでしょう。
そしてもちろん、売却した時はキャピタルゲインでヒャッホー! できます。
悪いことは当然、管理トラブル系が多いです。
うるさい。
ゴミ出しルールを守らない。
この辺りは、ありふれた出来事です。
珍しいパターンのほうが、めんどうくさいです。そして、その中でも今回とり上げるのは、「じゃ、今回だけいいよ」と親切をしたら裏切られるパターンです。
「……今回だけなんとかなりませんか?」
と、言われることは少なくありません。
これまで、じゃ今回はいいよと応じたことがありましたが、今後は受けないです。
なぜか。
最終的に、所有者にすべてがふりかかってきます。そして、管理会社が間にはさまれてめんどうくさい状況になります。
ということで、今回だけいいよと親切にしたのに裏切られたパターンその一は、ユーチューバー。
そのユーチューバーの詳細は伏せます。
事前に、管理会社から「申込が入りました」と連絡があり、仲介経由で管理会社に届いた書類が、オーナーである当社に届きます。その書類が担当部署から相談として、私のところに来ました。
「ぽん太さん、〇〇という法人契約で、入居はそこの代表の〇〇さんです。保証会社は一応、OKですよ。法人契約ですけど、受けていいですよね?」
法人で契約して社宅として代表が入居、というのはよくあることなのですが、経営者はトぶことがあるので、当社では二重チェックします。
「どんな会社?」
「動画制作? ……ユーチューブですね」
「ユーチューバー? うるさくされたら困るからダメです」
「有名らしいので、そこは大丈夫じゃないですかね?」
「あかん。他の人に迷惑かかったらいやだから」
建物内で、大声で撮影などされたり、お仲間が訪ねてきたりを動画撮影したりで共用部や場所が映ると、他の入居者に迷惑だからあかんということで、お断りをすることになります。
すると、管理会社から連絡がありました。
「迷惑をかけないという誓約書を書いてもいいと、仲介経由で連絡がありました」
「とても気に入ったみたいで、なんとかお願いしますと頼まれまして」
「今回だけということで、どうでしょうか?」
管理会社の担当がそう言うので、私も「この人も、間にはさまれて大変なんやな。いつもお世話になっとるし、誓約書だしてくれるなら今回はええか」と思いまして、ハンコを押すよと伝えました。
しばらく後、その人が退去する際に、室内のクロスは勝手に張り替えられて、床材もどういうわけか変更されていて、管理会社が原状回復費用の請求をと連絡したら、こう言われたのです。
「いいですけど、交渉は撮影して動画にしますから」
「専門家を同席させますから」
「すべての記録を公開しますから」
「張り替えたらいけないという説明を受けていません、こちらは」
もちろん、仲介会社は「説明しましたよ」というだけで、後は知らんわという態度ですね。ちなみに、大手です。ま、当然、仲介だけするのが彼らの仕事なので、それは当然のことですが、重説やら契約書やらの説明をどこまでしたのかなど、当時の担当は覚えているわけもなく。
結局、管理会社の担当が矢面に立ち、最終的に、「ダメなことはダメ」という主張を通したのですが、このことから、当社保有物件で賃貸募集を出す際は、インフルエンサー全般NGですね。
めんどくさい。
屁理屈の相手はしたくないんだよ。
いちゃもんつけるなら、緊急で動画まわすぞ?
その二。
私はビーグル犬ですので、基本的にペット可物件大歓迎ですし、自分が担当する物件はペット可というか、ペットと暮らす物件を企画することが圧倒的に多いです。ですが、基本的には『犬猫どちらか一匹まで』という条件です。
その物件も、そうでした。
立地がいいけど古くて、空き室もリフォームせずに放置したせいで、まったく利回りが出ていないという三階建ての賃貸物件を購入できたので、空き室や共有部を直して、ペット可にして賃貸でまわそうと企画したんですね。
間取りも2DKを1LDKにしたり、3DKを2LDKにしたりと、けっこう投資しましたが、それでも満室時の80%くらいで回れば満足いく利回りになると思ったのです。
その物件を募集開始した際に、管理をお願いしていた管理会社の担当から、その連絡があったのです。
「ぽん太さん、ワンコを二頭、なんとか! 小型犬じゃないですけど、今回だけお願いします」
管理会社の担当からお願いされて、私も犬好きなので、「じゃ、今回だけハンコ押しますよ」と答えた契約がありました。
後日、おそろしく後悔することになります。
なんと、保護活動をしていた人だったらしく、この「ワンコ二頭」どころではなく、なんだかとっても増えていくんですね。
なんなら、ワンコと一緒に人が住んでます、という状態にされます。
「だって、かわいそうでしょ!」
「見捨てろっていうんですか?」
「ひどい! エックスで広めます! どうなっても知りませんから!」
逆ギレとは、まさにこのこと。
ていうか、賃貸で保護活動をすなよ。
ということで、重大な契約違反ということで解約通知を出したのでした。
でも、向こうは当社と管理会社を「ひどい会社だ!」と言います。
ふざけんな! エックスで広めるぞ!
あ、エックスしてなかった。
その三。
モペットを、ご存知ですか?
電動付自転車に似ていますが、違います。
ペダルを漕がなくても、スロットルを回せば走るタイプでして、原付に分類されます。これはメーカーも、警察も言っていることなので、正しいです。
ところが、その所有者は「自転車です」と言い張ります。
管理会社が定期清掃でマンションに入った時、駐輪場にモペットが停まっていたので、原付は有料であること、ここに停めてはいけないことを書いた貼紙をしたそうです。
すると、管理会社に所有者から、連絡が入りました。
「これは自転車だ。ふざけるな」
管理会社は、「いや、それは原付だから」「ていうか、ナンバーつけないと捕まるよ?」「ヘルメットしてる?」と教えてあげたそうです。
すると、返事がありました。
「すみません、知らずに買いました」
「買い替えるまで、待ってください」
「お願いします」
管理会社の担当から、「ぽん太さん、悪気はなかったみたいで、今回だけ待ってあげてもいいですか?」と言われたので、「じゃ、今回だけよ。でも、次回の更新までにしてね」と答えました。
お金がかかることだから、仕方ねぇよと私も思いました。
しかし、同じモペットの、別の型を購入していたのです……。
管理会社の人が定期清掃の時、そのモペットを見ました。
あれ? またモペットが停められている。
その時は、別の人が知らずに買ったパターン再来だと思ったようですが、貼紙をしても直らず、全室への案内文をしても、音沙汰無し。
管理会社は、いったい誰だ? 敷地内の監視カメラの記録で調べたところ、同じ人だったそうです。
べつに、千円くらいのことでうるさく言ってあげるなよ! と、これを読んで思った方へ。
ルール破って得する人を許すと、真似する人が出るの!
ルールを守ってくれている人たちを、優先しますし、大事にします。
ちゃんと千円を払ってバイクや原付を停めている人がいるんです。
管理会社も、仕方なく、代理人の弁護士から証明付き郵便で是正通知と千円×発覚から本日までの月数の請求をしました。
これで無視されたなら、調停、それから契約解除通知らしいです。
こういう一部の不誠実な人たちのおかげで、「じゃ今回だけ」という親切はしちゃいかんということを、決めるしかないんですよね。




