事故が起きた物件の現地調査をした話
5月にそのお部屋で事故があり、10月末に相続登記を終えたので、買取査定をしてほしいという依頼をうけて、先日、現地調査をしてきましたので、そのご報告をいたします。
現場は、一都三県エリアの某有名路線の某有名駅徒歩12分ほどの分譲マンションの一室でございます。お部屋は3階角部屋で南と西にバルコニーがある3LDK、面積は80平米ほど、築年数は20年ほどです。
まず、発見まで3週間が経過していたということでしたが、「かろうじて、本人確認ができる状態だった」と伺っておりました。
すばらしいですね! 確認とれなかったら、私が一話目に書いた件のような面倒にまきこまれますから……。
家屋調査士のAさんと現地に到着。
まず、借りていた鍵で玄関を開けるまえに、靴を安いものに履き替え、さらに靴を守るビニール袋のようなものを履きます。ドラマなどで鑑識の人たちがはいている例のやつです。
そして、頭部を守るビニールをかぶります。
もちろん、マスクは二重です。
鍵を開けて、玄関ドアを開けた瞬間に、わたしたちは固まります。
……この独特の臭い……特殊清掃いれておけよ! こんちくしょー!
しかし、何十万としますので、売れることが決まってからにしたいという売主サイドの気持ちもわかりん……。
くさい! この、目の奥にくる悪臭……飯を食わずに来てよかった!
「Aさん、お願いします!」
「ぽん太さん! 一緒に入って、中を見てくださいよ! ハンコ押すの、あんたでしょうが!」
「写真をあとで見ます!」
「だめ! 現場を見て!」
裏切ろうとした私でしたが、Aさんに背を押されて中に入ります。
「お邪魔いたします!」
と挨拶をして(誰もいないことは知っていますが、もしかしたら、まだ残ってらっしゃるかもしれないので)、合唱をして「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……(合計七回)」と、唱えます。
いざ! おお……見た目はキレイだ。
写真をパチリ、パチリ……大量の虫の死骸が転がっていることのほかは、クリーニング前のお部屋にしか見えないだろうな……画像だと、臭いがしないから。
キッチンを、アイランドに替えて……なんて頭の中でリノベ案を考えてキッチンとLDは終了。
バス、トイレ、納戸などを確認し、その部屋に。
沁みが、あります。
大量の……〇虫の死骸が……蛹になった状態のものが床をおおっているぅううううああああああああ!
そのお部屋に入る前、再び手をあわせて拝みます。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……(合計七回)」
うううううう……写真を……ぉおおおおおお!
限界!
私たちは急いで移動し、バルコニーに出ました。
「むはぁああああああ!」
「すーはーすーはー!」
「はぁはぁはぁはぁ」
「ふぅふぅふぅふぅ」
悪臭激臭異臭腐臭! あらゆる臭いの中でも、魔王級!
冒険もので、屍の中に云々とかそんなの無理だぜ! そこにたどりつく前に、臭いで引き返すわ! 勉強になった!
バルコニーで新鮮な空気を補給した私たちは、再びその空間へと入るのです。
危険地帯に入る〇山〇ンザレスのように、挑むのです。
いや、商売なので……お金のためです。
お金のため……。
お金儲けのために!
その日、二十分ほど現場におりました。
帰社しますと、エレベーターホールでBさんが私たちを待っていました。
到着時間を教えてと言っていたので、何時頃と伝えていたんですよ。
大変な作業を終えた私たちを、労ってくれるのかと思っていたのですが、彼女の手には「アジシオ」の瓶が持たれていました。そして、私たちに味塩をふりかけます。
「しお、これしかなかったんで」
……。
現在、査定の報告書とともに購入申込書を提出しとります。
購入後、何かあればまたここで報告させて頂きます。




