不動産は、誰かが所有している……
実は我が社は、廃墟を所有しています。
なぜ?
断れない人から、頼まれたからですね……。
断れない人とは……いつもお金を用立てしてくださる金融機関様でございます!
こちらの方々には、いつも大変お世話になっておりますぅ! はい! はい! かしこまりました! はい! はい! 承知しましたー! という気持ちのいい返事を心掛けています。
某県某郡にあるその廃墟を、当社が購入したのは、バルクの中に入っていたからです。
「ぽん太さんよ、取引先が困っちょるんじゃあ。この不動産バルク、買うてくれんね?」
「はいぃ! もちろんでございますです。前向きに検討に検討を重ねることを検討いたしますです!」
「ほんじゃぁ、関連の不動産から連絡さすけぇ、よろしゅう頼むわ」
ということで、関西の繁華街の土地建物や、都内の土地建物複数物件とあわせて、その土地建物がまぎれこまされていたわけです。ちなみに、個別物件ごとの希望価格では、その廃墟は1,000万円でしたが、私どもは10円の査定をしております。ただ、他の物件が買えるなら、廃墟単体で9,999,990円を損してもええわいと、バルクで購入しました。
では、なぜ嫌な話になるのか。
廃墟に、知らん奴らが勝手に入ってきて【きもだめし】をしてくれておるわけです。事前に連絡をいれてきて【きもだめしの撮影をしたいのですが】とか言ってくる人は100人に1人くらいで、あとは勝手に入り、勝手に出て行きます。
出入口のゲートや鎖を壊して……出入りしよるのです……その度に、直しておるんですわ!
さらに、知らん奴らが勝手に【ゴミ】を捨てていきよるわけです。大型のものではなく、柵の外から敷地内にぽんぽんと投げよるわけです。
捨てていきよるわけです!
捨てる場所に困るからって、ダッチワイフを捨てていくな! 怖いんだよ! 管理部門から定期掃除や見回り業務の委託を受けた業者さんが、死体があるってびっくりしたらしいんだよ! やめてくれよ!
……笑い話じゃないんす。
困っているんです。
当社管理地なので、定期的に清掃やらあれやらこれやらをします。敷地の除草もしとるわけです。出入口に鎖をしているのですが、ま、入ろうという意思があれば入ってしまえるのが廃墟の残念なところ。
購入した頃は、建物を解体して、更地にして太陽光パネルでもおけばいいかな? と検討していた時期もあったのですが、解体に6,000万円ほどかかるし、太陽光は壊れたらめんどくさいし廃棄もだるいということで、だったらどうしようかと考えていたのですが、忙しくて忘れて放置していたのですね。
ある時、管理部門の責任者から言われます。
「ぽん太さん、あの建物、どうしますか? 解体します?」
「……検討中(うそです、忘れていたのです)」
「夏は除草でお金かかるし、肝試しの奴らが怪我したらと思うと心配だし、不法投棄でゴミ処理するの大変なんですよ、お金、かかり続けています」
「ごめん……解体の見積りをお願いします」
「いつものところにお願いしてみます」
「なる安で……あるいは、いっそのことサバイバルゲームの会場にしちゃう?」
「改修の見積りもとります」
解体するか、サバイバルゲームの会場になるか、来年きめます(先送りです)。
しかし、解体は前回の見積りで6,000万円!
更地にするだけなのに、6,000万円! その時から一年以上経過しているので、解体費もあがってきてるからなぁ。
そもそも更地にしたら、広大なドッグランにして、遊ぶしかないんじゃないか⁉
幸いなのは、固都税が地方なのでクソ安いことです。
嫌な話です。
迷惑をうけているこちらが、勝手に入る人が怪我をしたら! とか心配しないといけないんですから……ゲートや柵や鎖を壊されるし……ゴミ、捨てられるし……
皆さん、廃墟に勝手に入るのはやめましょう。そこは誰かの所有物です。
誰も所有していない山奥の病院跡地に……とか、嘘ですから。誰かが必ず所有しています。所有者本人もわかっていないケース(共有、相続未登記)はあるでしょうが、誰かが所有をしています。
肝試し目的で廃墟に入り、うっかり幽霊を見て驚いて死んじゃった時、所有者に迷惑がかかりますから!
廃墟に、入ってはいけません!
そこは、禁足地なのです。




