**最終章(第八章)** 「帰る場所と、うさ耳の選択」
都市の空は晴れ渡り、静かな風が吹いていた。かつてティーカップだった大地には、新芽が芽吹き、人々は仮面を捨てて笑い合っていた。
その中心に、アヤは立っていた。
目の前に浮かぶホログラムが、最後の選択を示している。
《ログアウトしますか?》▶ はい▶ いいえ
アヤは静かに画面を見つめていた。
「帰る場所……どこだったっけ」
秋葉原のコンカフェ、家に帰ってコンビニ弁当を食べて、SNSで疲れたふりをする夜。──あの世界も、ウソじゃない。でも、ここで過ごした時間は、“演技でも仮面でもない自分”だった。
「迷ってるのか?」後ろから声がした。
振り向けば、猫耳の騎士・ラグナがいた。甲冑ではなく、少しラフな服装。──彼も変わりはじめていた。
「お前が帰るなら、止めはしない。……でも、ここに残るなら」ラグナは不器用に微笑んだ。「“接客”のコツ、もう少し教えてほしい。俺にも、誰かを笑顔にできるかもしれないからな」
「……それ、ずるい」
アヤの目に、涙がにじんだ。
「じゃあ、こうしよう」
アヤはもう一度、手を差し出す。
「“帰る場所”は、ひとつじゃなくていい。ここも、あっちも、どっちも私の世界にする」
ホログラムが揺れ、光となって消える。
《新ルール確定》《ユーザー:アヤ・ログイン権限“永続接続型”へ昇格》
──つまり、アヤは“どちらにも帰れる”ようになったのだ。
**エピローグ**
「うさみみ*カフェ──2号店、異世界支店」
後日──
都市システムゼロの片隅に、新たな建物がオープンした。
その名も、《うさみみ*カフェ:ファントラム支店》。
・接客嬢:アヤ(店長)・看板騎士:ラグナ(“強面だけど優しい”と主婦層に人気)・紅茶係:ダージリン(精霊モード/味は神)
「いらっしゃいませ〜♡ ご注文は、“あなたの素顔”ですか?」
今日も、誰かがこの扉を開ける。
そして、アヤは笑顔で迎えるのだ。演技じゃなく、本当の“ありがとう”を胸に──。
**完**
「うさみみ*カフェ」シリーズ 完結──あなたが最後まで読んでくれたことが、この物語の**“ほんとうのエンディング”**です。
またいつか、違う世界で、違う物語でも。お会いできたら嬉しいです。
ご注文、ありがとうございました。またのご来店を、お待ちしております
── fin.




