**第二章** 「猫耳の騎士と紅茶の精霊」
アヤは、キノコの森で目を覚ました。空はサクラ色、風は甘く、遠くで鐘の音が鳴っている。
「夢……じゃないよね?」
メイド服の裾をつまんでみても感触はリアル。足元の地面はもふもふしていて、まるでマシュマロのようだった。
「おい、そこの耳長娘!」
背後から声がして振り向くと、そこには銀色の甲冑をまとった猫耳の青年が立っていた。彼は、剣を持ち、尾をゆらゆらさせながら、アヤを睨んでいる。
「お前、どこのギルドの者だ? その格好……どこかの王国の特殊衣装か?」
「え、ええっと、私は……ただのメイドで……」
「メイド? 魔法職か? いや、回復専門か? まさか歌で敵を惑わす“魅惑術師”か?」
──なに言ってんの、この人。
アヤの困惑をよそに、猫耳の騎士は腕を組んで唸った。
「まあいい。名を名乗れ。俺は“ラグナ”。黒月騎士団の副団長だ。」
「アヤ……秋葉原の“うさみみ*カフェ”で働いてます……。」
「“あきばはら”? 聞いたこともない国名だな。……まあいい。とにかくお前、ここは“ファントラム界”。帰る方法がないなら、生き延びるしかないぞ。」
そう言ってラグナが手を差し伸べたとき、空からティーカップが降ってきた。
「おやおや、また迷子が落ちてきたようですねぇ。」
ティーカップがしゃべった。
「初めまして、私は“ダージリン”。紅茶の精霊です。この世界の“ひずみ”が広がり、外の世界から“異邦の者”が呼び寄せられることが増えていましてね。」
アヤは頭が追いつかなかった。けれど──ラグナとダージリンの話を総合すると、どうやら“この世界を歪ませている原因”を正せば、元の世界に戻れる可能性があるという。
「君の服装、実に珍しい魔法装束ですね。うさ耳が力を高めている」
「いやこれ、ただのコンカフェの制服なんだけど……」
「コン……カフェ? コン(魂)とカフェ(癒し)の融合施設!?」
「いや、違……まあ、そういう感じです」
かくして、アヤは猫耳騎士と紅茶の精霊とともに、“世界をバグらせた黒い影”を追い、旅に出ることとなった。




