侵略
僕たち5人は幼稚園児の時から仲が良い。
中学生になってからも同じ野球部に所属して一緒に汗を流す仲。
その5人で学校からの帰り道、近くの山に落ちて来た火の玉を見つけようと寄り道した。
山の麓に自転車を置き僕たちは山を登って行く。
5人の少年が山から下りてきてそれぞれ自転車に跨がる。
「オイ、イドウドウグハソレゾレモチヌシガチガウ、マチガエルナ」
「スマン」
1人の少年が別な少年を注意した。
「コノ、ハナシカタモオカシイ、ココデレンシュウシテカラ、イコウ」
「ソウダナ」
「セイテハコトヲシソンジルトイウコトバガアル。
マエノホシデノシッパイヲクリカエサナイヨウニ、シナケレバ」
「まえノホシはヒドかったカラナ」
「チョットたづなヲユルメたら、ともグイをはじめたカラな」
「アワテテだっしゅつシテきたが、われわれのシュゾクはここにイルモノだけになってシマッタ」
「そのマエモヒどカッタぞ」
「ああ、カガクがススンデいるセカイはコリゴリだ」
「仲間がみつかったとたん、たいおう薬をそくざに製造したからな」
「この星はそこまでかがくが進歩していないから、大丈夫だとはおもうがな」
「油だんするな!」
「そうだ、われわれが寄生したこの宿主たちはまだようたいだからな」
「せいたいに寄生できるまで油断は禁物だ」
「寄生する宿主が沢山いれば、我々の数も増える」
「最初はこの宿主たちが暮らしている村の住民全部に寄生して、コントロールしよう」
「そう、それから少しずつ少しずつ仲間を増やして行こう」
「そうだな、我々はたった1体でも生き残れれば数を増やせる」
「気長に仲間を増やそう」
少年たちは暫く話を続けた後、それぞれの自転車に跨りそれぞれの家に帰って行く。
少年たちの家族に、分裂して増やした仲間を寄生させる為に。




