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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

クズな男が異世界転生、反省しても、もう遅い。

作者: 0024
掲載日:2020/12/26

 人は俺をクズ男と呼んだ。


 しかし俺には何が悪いか分からない。

 俺は半生を振り返る。


 小学生時代。


「おいお前、宿題写させろ」

「え、ええ……やだよ」


 気に入らねえ。

 ブン殴ってやった。


「ふん、最初からそうすれば良いんだよ」

「う、うう……」


 中学生時代。


「おいお前、金貸せよ」

「や、やだよ。どうして僕が」


 蹴り飛ばしてやった。


「ったく、聞き分けのねえ奴だ」

「うう、酷い……」


 高校生時代。


「お前、あの女とヤったんだって?」

「ま、まだだよ」


 横から掻っ攫ってやった。


「お前には勿体無い、良い女だったぜ」

「う、うう……」


 大学生時代。


「女にも金にも不自由しねえ。これも俺の生き方が正しかったからだな」


 社会人。


「ついに社長だぜ。クソどもを働かせて俺は楽できる」


 そんなこんなで30年間()()()()生きてきたってのに。


 俺はつい先日、()()()()()()


 馬鹿社員が俺をトラックで轢き殺しやがったのだ。


 んで、今は。


「地獄行きじゃな。当たり前じゃが」


 目の前に胡散臭え爺さんがいて、勝手な事をぬかしやがる。

 俺は反論した。


「ざけんな。なんで俺が地獄なんかに行かなきゃいけねえんだ? 生き返らせろ、クソじじい」


 するとジジイはとんでもねえ事を言ってきやがった。



「ほっほ、自覚がない辺りが致命的じゃの。お主の刑期は18782年、となっておる」



 いちまんはっせんななひゃくはちじゅうにねん?


「馬鹿か? 死んじまうじゃねえか、そんな年月」


 俺は真っ当な突っ込みを入れたつもりだった。

 が。


「お主こそ、底抜けに馬鹿じゃの。地獄すらも底抜けになる程にの」


 くっくっと笑い、ジジイは続ける。


「寿命の概念なぞ地獄にあるかい。お主が罪を雪ぐまで、18782年、責め苦を味わうんじゃよ」


 俺は呆れた。


「ふざけやがって……」


 俺はジジイを殴ろうとするが、手が動かない。


「反抗的な態度は刑期を延ばすだけじゃぞ」


 そして、気付けば俺は。


「ようこそ、地獄へ」


 地獄とやらに、落とされていた。


 ◆◆◆


「とりあえずは、君の犯した罪によってどれだけの人が苦しんだか、彼等の立場になって味わう所からです」


 地獄の裁判官だかなんだかがそんな事をぬかしてきやがる。

 俺は反論しようとするが、一切の反撃ができない。

 唯々諾々と連中に従う以外の行動を取ると、心臓を握り潰され殺される。

 そしてすぐに蘇生。

 これを永遠に繰り返されると気付いて、俺は諦めた。


「ちくしょうめ……」


 それから俺は、今まで俺が虐げてきた連中の立場にさせられ、俺の行ってきた罪とやらを自覚させられた。

 それが、そいつらの後の人生に残した傷の分まで理解できるよう、延々、何十年間も、だ。

 これを傷つけた人間の数だけ繰り返させられた。

 それだけで1000年は軽かった。


「まだ終わらねえのか……?」


 俺が何度目になるか分からない質問を地獄の獄卒に投げると、連中は決まってこう返す。


「その気持ちは君が傷つけた人がみんな抱いていたんだよ」


 1000年も経たないうちに俺の心は折れた。

 だが、残り17000年以上。

 俺の地獄の服役は終わらない。


「そろそろ趣向を変えようか。君の罪の現世での重さは十分自覚したろう。次は、異世界転生で、様々な三流小悪党を演じて、破滅する人生を味わいたまえ」


 これが5000年は続いた。

 クソみてえな人生の連続。

 まさに地獄。

 運命から逃れられない。

 全ての記憶は連続しているのに、逃れられない。


「まだ終わらねえのか……」


 残り12000年。

 俺は尋ねた。


「小悪党も飽きたかい? ではそろそろ、華々しい悪役を演じると良い」


 そうしてあてがわれたのも、魔王の手下だの、中ボスだの、所詮は下っ端だ。

 たまには熱い戦いもあったが、負けを宿命づけられたゴミみてえな人生だ。


 そいつが、1万年は続いた。


「……あと2000年か?」

「お疲れ様、ようやく人類の西暦に追いついたね」


 それからは、下らねえ現実の悪役を様々に味わった。

 歴史の敗北者。

 闇に葬られた正義。


 そうして、残り1年になった時だった。


「残り僅かだね。18781年間、()()()()よくやったよ」

「皮肉か?」


 最後の服役はなんだ、と俺は尋ねる。


 すると。



()()()の人生を生き直すが良いさ。残り1年をどこから開始するかは決めさせてあげよう。そこでマトモな生き様を見せれば、晴れて綺麗な身という訳だ」



 ならば、決まっている。



「赤ん坊に戻してくれ。最初ッから、やり直してえよ」



 そう言うだろうと思っていた。

 地獄の獄卒はそう笑うと、俺を母親の胎内へ送る。


 別れの言葉は一言だった。



「二度と、弱いものいじめをするんじゃないよ」



 お前らが言うのかね。

 俺は苦笑し、だが、肝に銘じ、心に決めた。


(終わり)

ども0024です。

なろうでは久しぶりですねえ。


今回は、主人公がクズでざまぁされる側で反省してももう遅い、という話……まあ、どっちかっていうと星新一とか世にも奇妙な物語系の話ですね。

悪い事したらキチンと報いがあるべきだという勧善懲悪的な、道徳を説くお話でもありますね。

エンタメ性はあんまりないかなあ。

ただまあキーワードと責め苦自体になろう的なエッセンスを交えてみましたって感じです。

良く出てくるゲスい三流小悪党はこうして生まれているというメタ的な妄想だったりも。


一応最後には報われてるのでハッピーエンドなんすかね、これは。


ではでは。

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