いざ、鬼ヶ島
鬼ヶ島の前に来ました。
それからも旅を続けて、とうとう鬼ヶ島を目の前にする浜辺にたどり着いた。
ここからは、どうしても船がいる。
でも、周囲を探しても船など一艘も見当たらなかった。
「ヒトミさん、どこかに船がないですか?」
空を飛ぶヒトミさんに聞いてみた。
頭の中で話が通じるのは便利だけど、ちょっと物足りない。
「無いわね。ついでに言うと、鬼ヶ島にも無いわよ」
そう言えば、ヒトミさんさっきまでいなかったと思ったら、もうそんなところまで見てきてくれたんだ。
「ありがとう、ヒトミさん」
先についたヒトミさんは、困る僕のために偵察までしてくれた。
感謝した時には、ちゃんと伝える。
それはお爺さんとお婆さんから教えられたこと。
でも、どうしよう……。
途方に暮れる僕をよそに、波打ち際を見ていたサトルが空を見ながら話しかけてきた。
「この分だと、夜まで待てばよい。じきにわかる。それまで休憩しておこう」
それだけ言って、さっさと木陰で休み始めた。
サトルがそう言うなら確かだろう。
ポチと一緒にサトルの隣で横になる。
ヒトミさんも下りてきて、僕らはそこで休むことにした。
「桃太郎、おきて」
ヒトミさんの声で、目を覚ます。
あたりはすっかり夜だった。
ポチもサトルも起きているのだろう。
今はそばにはいなかった。
「桃太郎、あっちよ」
僕が探しているのが分かったのか、ヒトミさんが翼で指し示している。
今夜は月がないからわからないけど、目を凝らせば、星の明かりで二つの影が波打ち際だったところにあった。
「いくわよ」
ヒトミさんは起き上がった僕の肩にのっていた。
月のない夜は、飛ぶのには不便なのかもしれない。
僕はそのまま歩くことにした。
*
「うみがない?」
波の音が遠く聞こえる。
かつてそこは海であったことは間違いない。
でも、今は鬼ヶ島までの道ができている。
「さあ、行くぞ。桃太郎」
サトルが先頭を歩いていく。
ずいぶん積極的になったものだと思う。
ふと見ると、ポチの顔にもそう書いてあった。
「じゃあ行こう」
目的地は、もう目の前だ。
次はいよいよ鬼登場




