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仲間との出会い

旅のお供に

旅は思ったより順調だった。

鬼ヶ島をめざし、歩いていく。

途中いくつかの村に立ち寄ったが、どこも僕の住んでいた村と同じようなものだった。


「やっぱり、年寄りしかいない……」

どの村にも、気力の無いような年寄りしかいなかった。


誰も仲間になってくれそうにない。

と言うか、この人たちもたぶん被害者だ。

そうなると、無理は言えない。


「とりあえず、進もう」

僕はひとり歩いていく。

鬼ヶ島を目指して、どんどん歩いて行った。



しばらくすると、向こうから犬がやってきた。


「やあ、君が桃太郎さんだね」

当たり前のように話してくる犬に驚いてしまった。

そんな僕の心を見抜いたように、また犬が話し始めた。


「普段はしないさ、念話と言うんだよ。今、君の頭の直接話しかけている。一応、秘密にしておいてくれると助かる」

なるほど、どおりで口が動いていないわけだ……。


「その、僕のことを桃太郎だとわかる、あなたは一体?」

とりあえず、僕のことを知って声をかけてきた。

しかも、『君が』と言ってきたあたり、何だか僕の知らないと事で有名になっているのかな?


「まあ、君のことは動物たちの中で噂になっているからね。鬼ヶ島に、人間の宝物を取り返しに行くんだろう?」

犬はじっと僕の目を見て話してくる。

そう言えば、まだ名前を聞いていなかった。


「そうだよ。あと、君の名前を教えてくれるとうれしいな」

しゃがみこんで、お願いをする。

人にものを頼むのに、見下ろしたままじゃ申し訳ない。


犬だけど……。


「ああ、礼儀正しいんだね、桃太郎さん。僕の名前はポチ。先に名乗らなかったことを詫びるよ。僕は、ここからそう遠くないところで、正直なお爺さんとお婆さんと暮らしている」

ポチは座りながら、話している。

まだ続きがありそうなので、僕も腰かけることにした。


「君に話しかけたのは、ほかでもない。僕も鬼ヶ島に行く。理由は君と同じさ。だから一緒に行こうと思ってね」

そう言ってさし出すポチの手を、僕はゆっくりとつかんでいた。


「うん。じゃあ、よろしく」

一人仲間が増えた。

理由は同じ、大切なものを取り返すため。

だから、僕らは仲間になれた。


「じゃあ、行こう! 鬼ヶ島へ」

改めて、二人で歩いていく。


「ああ、そうだ……。ポチ、一緒に来てくれるのなら、お礼がしたいんだけど……」

腰の袋に手を当てながら、歩いているポチに尋ねてみた。

何が入っているかわからないけど、食べ物には違いない。

袋をしばらく見ていたポチは、少し残念そうな感じだった。


「桃太郎さん。僕が君についていくのは、僕自身の為だよ。感謝はもらうけど、お礼はいらないよ。ありがたいけど、遠慮しておく。それに、それは大事にとっておいた方がいい」

前を見ながら話しかけてくるポチの言葉は、僕の心を突き刺していた。

ここでお礼をする気持ちは、ポチへの感謝にちがいない。

でも、仲間ならそれは気持ちだけでいい。


目的が同じで仲間になった。

そんなポチに感謝はしても、お礼を渡すというのは、ポチの心を台無しにする行為だろう。


「ごめんなさい……。僕が間違っていたよ。そして、仲間になってくれてありがとう」

間違ったなら、謝る。

感謝は、言葉で伝える。

お爺さんとお婆さんから教わった、基本的なことだ。


「いいさ、僕こそ申し訳ない。でも、僕らは仲間になった。なら、喜びも悲しみも分かち合う事が出来る」

立ち止まって、僕を見るポチの顔は、なんだかうれしそうだった。

そんな顔を見ると、僕もなんだかうれしくなった。


なるほど、そういうものか。

一緒にいるから感じられる。

お爺さんとお婆さんとも、そうやって過ごしてきたんだった。


それを一方的に奪った鬼。

改めて、許せなかった。


「よし、行こう」

再び僕らは歩き出す。

なんだか、前よりポチが近くに感じられた。


これ以降は修正次第投稿します。

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