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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第7章 隣町への旅行編(10歳)
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第124話 王子様に追いかけ回された


 部屋はお母さんに一つ、私とアイリはエリーの要望で三人一緒だ。

 私たちはそれぞれ私物を部屋に置いてきた。

 と言ってもすぐに使うもの以外はアイテムボックスの本に収めてるし、それ以外の荷物の大半はお屋敷の使用人の人が運び入れてるので、私たちが持ち歩くものはあってないようなものだけど。


 ちなみにお母さんにもアイテムボックスの魔法を教えてある。

 魔法を見せた時はしばらく固まるくらい衝撃的だったみたいだけど、すごく大喜びしてたので私も嬉しかった。

 そんなわけで、今回の旅行ではお母さんもアイテムボックスの魔法で色々と荷物を持ってきてるようだ。


 例えばマイ枕とか。


 お母さんがこっそり持ってきてるのを私は知ってる。っていうか気持ちは分かる。だって私も持ってきてるし。


 お父さんにもアイテムボックスの魔法を教えようとしたんだけど、どうにもイメージがつかないらしくお父さんは諦めてた。

 魔法を使うときのイメージが苦手なんだって。

 お父さんは普人の中でも結構魔素保有量は多いらしいんだけど、イメージが苦手だから消費魔力が多くなり、たいてい魔法が発動しないか発動しても一回で魔素がすっからかんになるんだって。

 お父さんも大抵スペックがおかしいレベルだと思ったけど、意外な弱点を知って驚いた。


 あと、アイテムボックスと箱の名前がついてるけど、実際は本の形になったのは気にしたら負けだ。お父さんとお母さんにつっこまれたけど、語感がいいからいいの。うん。




 その日は部屋でくつろいでたり、雑談したり、夕ごはんにお呼ばれたりと、私は勝負が面倒くさくて王子様を放っておいた。

 そしたら王子様は文句を言ってきた。


 「後で相手をすると言ったではないか!」


 「んふふん、「後で」が「今日」とは言ってないよ?」


 「なっ……! 銀の、卑怯だぞ! 勝負しろ!」


 と、肩をつかまれそうになったので、するりと華麗に回避。


 「おい……」


 王子様は半目になりながらまた掴もうとしてくるので私も回避。


 「いや、だって、ね?」


 掴もうとするので、ついつい反応しちゃうわけですよ。


 スッ


 サッ


 ススッ


 ササッ


 「……」


 「……」


 んふふんとちょっと勝ち誇った顔をすると、ついに追いかけ回された。




 「では先に行ってますわ。なるべく早くなさってね」


 「ほどほどになさいよね」


 「フランシェスカ様、お待ちしておりますね」


 「うん、王子様を撒いたらすぐ行くね」


 お風呂に入る頃になったのでエリーとアイリ、それにスーさんを先に向かわせた。



 少しして私は部屋を出ると早々に王子様に見つかった。なんで分かったし。

 幸いにもマイケル様とマッシュ様はいない。

 仕方ないので廊下の角を曲がると同時に思いっきりジャンプして音を立てずに梁の上に飛び乗る。お屋敷だけあって天井が高く梁は普通にあるけど、猫獣人の身体能力ならこれくらいは大丈夫だ。

 っていうか、梁の上まで綺麗だし。すごい。


 「む、どこに消えた? 近くにいるはずなんだが……」


 王子様はきょろきょろしながら先に進んでいく。

 私は笑いをこらえて元の廊下を戻りつつお風呂場に向かった。



 「見つけたぞ!」


 これならもう大丈夫かなと油断してたらなぜか途中で見つかった。


 「むぁー! なんでここだって分かったの!?」


 「ふん、俺様にかかれば銀のがどこにいようとも見つけるのはたやすい!」


 お前はストーカーか!

 っていうか、着替えを持ってるの見えないの!?


 とりあえず脱衣場まで行けばこっちのものだと、脱衣所に逃げ込み私は勝利を確信した。

 んふふん、完璧な作戦だね!


 と、思ったところまでは良かったけど、なんと王子様は脱衣所まで乗り込んできたできてしまった。


 「むぁー! な、なに入ってきてるの!」


 「ええい! さっさと諦めて勝負を……」


 急に王子様がピタッと止まり、急に顔を真っ赤にした。

 私は王子様の視線の先を見ると、脱衣場でちょうど服を脱ぎ終わった下着姿のお母さんがいた。


 「殿下? このようなところまでいらして、いったいどうしたのですか?」


 あ、これ、怒ってる。

 冷静に返してるけど、珍しく超怒ってる。


 最初、王子様は顔を真っ赤にしてたけど、威圧付き(?)のお説教が始まるとみるみる顔色を青くしていった。


 「殿方が女風呂の脱衣所まで入ってくるなんてはしたないですよ。それにお屋敷の中を走り回るとは何事ですか? フラン、あなたもあなたよ? そもそも――――」


 いい気味だと思ってたら、すぐに私も超怒られた。



 5~10分ほどだと思うけど、こってり絞られた私たちはいったん脱衣所から廊下に出た。


 「銀の、お前の母君は怒ると……恐ろしいのだな……」


 「うん、よく知ってる。勝負は明日やるから」


 「ああ、分かった……」


 「じゃあね」


 私は若干カタカタ震える王子様が去ったのを見届けた後、お母さんに続いてお風呂場に行くとエリーとアイリ、それにメイドのスーさんは既に湯船に入っていた。


 よく考えたら何気に脱衣所に入るのが早かったり遅かったりしたら危なかった。

 早かったらエリーたちが、遅かったらお母さんが見られてたんじゃ……。

 未婚の貴族令嬢は異性に裸を晒しちゃいけないって話だ。

 遅かったらってほうは、男の友達(?)に親のすっぽんぽん姿を見られるのは私が嫌すぎるからだ。お母さんは「平民だし自分の裸を見られるのは構わない」って言ってるけど、嫌なものは嫌だ。


 「お疲れフラン。アタシ、絶対マリアンナ先生を怒らせないようにするわ」


 「うん、そのほうがいいよ」


 アイリはお母さんが怒ってるときの声を聞き、ついでに威圧(?)も多少感じていたのか、自分が怒られたわけじゃないのに口端をひくつかせていた。





次回更新は7/6(金) 17:00の予定です。

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