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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第5章 冒険者活動と日常編(8歳)
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第105話 初めての外壁の外


 「行ってきまーす」


 「行ってらっしゃい、フラン。エリザベス様とアイリーン様のことをしっかりお守りするのよ」


 「うん! 任せて! それにお父さんとミィさんが一緒だもん。心配ないよ!」


 「ああ、俺がついてるからな。なんの心配もいらないぞ」


 「うふふ、ケイン、頼んだわよ。それとカッコいいところ見せたいからってあんまりフランを甘やかしちゃダメよ?」


 「う、な、なんのことかな? 俺は講師として仕事を全うするだけだし?」


 「そういうことにしておいてあげるわ。行ってらっしゃい」


 「ああ、行ってくる」


 二人はいつものように口づけをする。

 何年たってもラブラブだ。いまだに私が目の前にいても、よく砂糖を吐くような雰囲気になる。

 夫婦仲がいいのは素晴らしいことだ。



 今日は薬草採取に行く日だ。


 場所は外壁の外だけど、近場で比較的安全なところ。お父さんはあくまで講師としての同伴だ。


 私とお父さんは冒険者ギルドに向かう。

 そこでみんなと待ち合わせし、薬草採取の依頼を受けたら外壁の外にある森に向かう予定となっている。


 荷物はバックパックに入れてる。中身は前日に確認済み。

 荷物に問題ないことをお父さん、お母さんの二人にも確認してもらってる。

 準備バッチリだ。



 冒険者ギルドに到着してしばらくすると1の鐘(6時頃)が鳴った。

 私はアイリの足音が聞こえたので振り返り挨拶をする。


 「アイリ、おはよう! 今日もいい天気、冒険日和だね!」


 「おはよう、フラン。いい天気ね。そして今日も気づかれたか」


 「んふふん、バレバレだよ?」


 「やっぱり猫獣人だけあって耳がいいわね」


 「まあねぇ」


 アイリは時々私を驚かそうと後ろから近づくことがある。

 以前驚かされ、文字通りびっくりして飛び上がったことがあったんだけど、それが面白かったらしく時々仕掛けられる。


 まあよっぽどぼんやりしてたり何かに夢中になってなければ、身近な人の足音は分かるから大丈夫。

 んふふん、甘いんだからね。

 ちなみに意識すれば音で物の大きさや位置が意外と分かったりするんだよ。立体的に。私ってば人間ソナーみたいな?



 アイリと挨拶や雑談をしてると、エリーが毒舌美少年執事スチュアートさんを引き連れてやってきた。


 「おはよう! いい天気だね!」


 「おはよう、晴れて良かったわね」


 「お二人とも、おはようございます。ええ、素晴らしい天気てすわ」



 エリーもアイリも今日は普段のきれいなカジュアルドレスとは違う服装だ。


 エリーは青いブラウスの上に白い胸当てと革のコルセット、ふわっとしたスカートにハイソックスの絶対領域、それにアームカバーとブーツ。

 金髪ツインドリルにマッチしており、すごくカッコいい。

 サークレットに籠手やグリーブまで付けてたら完全に姫騎士スタイルだ。


 アイリは薄ピンクのブラウスに革の胸当てとコルセット、キュロットにブーツ。アームカバーも付けてる。

 ピンクのゆるふわ髪の毛と相まって、とても可愛らしい。


 一方私は普段とあんまり変わらない。

 っていうか、いつも通り街中での冒険者活動するときに着る汚れてもいいワンピースにエプロン、そこに胸まで覆う革のコルセットを付けてる。

 二人の装備と比べたら防御面でちょっと貧相だけど、私は獣人で頑丈だし回復魔法もあるから大丈夫かな?


 我が家は裕福とはいえ、私はそんなに服なんて持ってない。下着はそれなりにあるけど、服は用途ごとに何着かあるだけだ。それでも世間よりかはずっといい方だと思う。

 なぜなら、街を観光していろんな服のお店を見たんだけど、下着を除くと新品の服は既製品でもすごく高いんだよね。

 話を聞いてみたけど、普通は中古品を買うか、親が仕立てるか、リメイクするのがメインらしい。

 考えて見たら、確かに私の服も例にもれず、お母さんが服を仕立ててくれてる。

 私用に仕立ててくれる服はフリルが着いてて可愛いので二人の横を歩いててもそんなに見劣りしない。お母さんの裁縫レベルとセンスがヤバい。


 ちなみにエリーのお屋敷で何着か服をもらったけど、値段は怖くて聞いてない。

 公爵様はお礼はいらないとおっしゃっていただいてる。

 でも何もしないのは心苦しいので、公爵様とご夫人には度々お礼として固まった筋肉をほぐしたり疲労に効く回復魔法をかけてる。お礼になってるのか微妙……まあ喜んでるし、やらないよりかはいいよね。



 エリーもアイリもお父さんに挨拶を終えると、ミィさんがやってきた。

 ミィさんはいつもの冒険者ギルド職員の制服だった。ミィさんの私服というか冒険用服が気になってたんだけどなあ。残念。


 ミィさんはちょっと遅れてきたけど、時間を知るには王都中に鳴り響く鐘の音が頼りなので、みんな時間に超アバウト。特に朝イチの1の鐘(6時頃)集合となるとはなおのこと。

 なのでこれくらいなら公爵令嬢であるエリーより遅く来ても全く問題にはならなかったりする。


 私たちは早速サラさんの列に並び、受付を済ませた。


 「ずるいわ、ミィ。私もフランちゃんと外壁の外にデートに行きたかったわ……」


 「……デートじゃない。仕事……」


 サラさんは私と行きたかったようで、むすーっと膨れてる。

 次のお昼ごはんの時はたっぷりお土産話をしよう。



 私たちは外壁の門のところまでやってきた。

 今までは何となく怖いイメージがあって近づかなかった場所だ。

 でも、今日、その門を通る。


 「はい、おじさん!」


 私たちは門番のおじさんに冒険者ギルドカードを提示する。

 門番のおじさんはエリーのカードを見てぎょっとしたけど、お父さんを見て納得のようだ。


 「いよいよ外壁の外だね。どうなってるのかなっ」


 「アタシも初めてなのよね。あぁ、なんだかわくわくしてきたわ。エリーは出たことある?」


 「(わたくし)はお父様に連れられて何度か出たことはありますわ。でも、馬車に乗ったままだったので、自分の足で出るのはこれが初めてですわ。だから二人とおそろいですわ」


 私たちは思い思いのことを言い合いながら門をくぐっていった。


 「わあぁー、外だー!」


 門の先にはまっすぐ伸びていく道以外は辺り一面が草原。

 草花が風になびく。

 優しい自然の音が流れる。

 1の鐘(6時頃)が鳴った後と早朝の空気は少しひんやりしている。


 私は深呼吸して草花の香りを楽しむ。

 街の中ではこんなにはっきりした匂いはない。

 西を見ると少し遠くには森が見える。目的地だ。

 それ以外はずっと向こうまで見渡せる。


 前世でこんな風景を見ようと思ったら、それこそ「そういう場所」に行かなければ絶対に見ることのできなかった風景だ。


 「あはははっ! 外だ! 草原だー!」


 踏みしめる草が柔らかい!

 ほんのりと草の青い匂いがする!

 エリーの敷地の手入れされたお庭とは違う!


 私は気づくと衝動のままに草原を駆け回っていた。



 ぐるぐる3回位行ったり来たりしたあと、はっとなって皆のところに戻った。


 「お帰りなさいませ、フラン。街の外はどうかしら?」


 「すごいね! 町中とは全然違うね! あと、ごめんね。ちょっと待たせちゃって」


 「いいのよ。アタシは満たされたから全く問題ないわ」


 「……同意……」


 「マリアに見せてあげたい光景だったぞ」


 皆は優しい顔をして私のことを見る。

 中身が大人だけど子どもっぽいことをして気恥ずかしい。

 だけど、こんな素敵な風景じゃ仕方ないよね!

 今の私は子どもだし!


 「時間はまだまだたっぷりあるから大丈夫ですわ。さ、では行きますわよ」


 「うん!」


 私たちは西に見える森に向かっていった。






次回更新は4/28(土) 17:00の予定です。

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