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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第5章 冒険者活動と日常編(8歳)
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第103話 裏技のヒミツ


 王子様たちが帰り、ようやく一息付けた。


 「ふぅ、大変だったね」


 「確かに大変だったけど、アンタには色々と聞きたいことがあるんだけど」


 「よろしくて?」


 「「うふふふふっ」」




 私たちはいつものお茶会のテーブルに座り直した。


 「まずはさっきの計算について吐きなさい。アンタが天才だってのは分かるけど、まさか暗算でやったわけじゃないんでしょ?」


 「そうですわ。コツがあるのなら(わたくし)たちに教えてほしいですわ」


 二人に迫られた私はちょっとたじたじ。

 別に勿体ぶることもないし素直に口を開く。


 「えーと、隠すようなものでもないから話すのはいいけど、今すぐ二人ができるかどうかは別だよ?」


 「構いやしないわ。天才の発想を聞きたいのよ」


 「何度も言うけど、私は天才じゃないよ? 普通だよ、普通」


 中身が平凡な私が天才だなんておこがましい。

 そりゃエリーとアイリの二人に言われるのは嬉しいけど、なあなあ(・・・・)でも頷いてたりすれば、そのうち自分が天才と勘違いして痛々しい存在になるのが目に見えてる。

 だから私はいつものように否定しておく。


 「や、アンタが普通だったら世界がヤバいわよ……。まあいいわ。続けて」


 「えっとね、簡単に言うとね、魔力操作を利用してるんだよ」


 「魔法ではなくて魔力操作ですの?」


 エリーの疑問はもっともだよね。


 「うん。魔力操作。体の中で作った魔力を魔力操作で数字の形にするんだよ。でね、その数字を紙と同じように並べて計算するの。計算するときは目を瞑ってやった方がやりやすいよ」


 「うわぁ、やっぱアンタすごいわ。魔力操作をそんな風に利用するなんて発想、普通出ないと思うんだけど……」


 「魔力を作った後はいかに効率よく魔法や魔術を使えるよう魔力を運用するか、というのがセオリーですものね」


 「ついでに言えば、文字の大きさを小さくすれば魔力の必要量は少なくなるよ。魔力操作は難しくなるけど。あと、必要なのは魔力操作だけだし、消費する魔力量は大したことないから省エネだよ」


 魔力は放っておくと魔素に還元されちゃうから形として残らない。

 でも魔力を多めに作って供給すれば結構長い間維持できるので地味に応用はきくし魔力として残る。

 もともとお使いのメモとして何とかなんないかって考えた裏技なんだよね。

 一時的な使い方しかできないけど、紙とペンがなくてもできるから結構便利だ。


 「はー、相変わらずフランのチートっぷりがすごいわ。それにしてもどうしよエリー。アタシには真似できる気がしないわ」


 「ですわね。魔力を数字の形にする魔力操作のスキルレベルの高さだけではなく、しっかりと数字の形だと認識できる魔力感知のレベルの高さも必要ですもの」


 「慣れれば案外なんとかなるよ?」


 「……アイリ、フランがこう言ってるし、日課の魔法訓練にて魔力で数字を作るということもやってみますわよ」


 「そうね。魔法なんて夢だと思って諦めてたけど、努力を続けてたら使えるようになったもの。やるだけやってみますかね。無駄にはならないでしょうし」


 「私ができたんだもん。頑張れば二人ならきっとできるよ!」


 「だといいけど。ところでこれってフランのやらかし案件よね、エリー」


 「え!?」


 「そうですわね。マリアンナ先生に報告が必要ですわ」


 「むぁー!?」


 別に悪いことやった訳じゃないけど、なんか責められてる気がするのは何で!?



 「あと、フランの殿下に対する態度の件について。最後の方は普通の人を相手にしてるように話しててひやひやしたわよ」


 「(わたくし)も驚きましたわ。でも、殿下が許すっておっしゃってるからいいのではなくて?」


 「まあそうなんだけどさ。ってかアンタえらい余裕よね……」


 「んー……、王子様は二人のことを悪く言うから最初はすっごい頭に来たよ。けど、獣人の私にもレディファーストって先手を譲ってくれたし、勝負は正々堂々だったし、不意打ちまがいなことして勝っても勝負の結果は渋々でも素直に認めてくれたから、根は悪い人じゃないかなって思ったんだ。それに口は悪いけど酷いことをするようには見えなかったし」


 父上に言いつけてやるー!的なこともなかったし、そういうことをするタイプでもなさそうだしね。


 「そしたらね、彼は単に自分はすごいんだ、偉いんだーって自慢したいんじゃないかなーって思うんだ。それに剣術勝負は奇襲だったけれどそれも実力のうちだし、学力勝負と合わせて私たちの完全勝利でしょ? まだまだ子どもだねえ、仕方ないねえ、だったらもうなんか普通でいっかなって、って」


 「うっわ、フランの中じゃもう殿下が完全に子ども扱い……」


 「実のところ(わたくし)も殿下はまだまだ子どもなお方だと思いますわ」


 「そりゃまあアタシもそう思ったけど……」


 どうやら二人も王子様に対する評価は同じらしい。

 少女マンガ的なパターンとしては、偉そうな態度で嫌なやつ! とか最初は思うけど、嫌なことを言いつつ手助けしてくれたり、時々見せる優しさにドキッとして、そのうち目で追いかけるようになったりするんだろうね。超絶イケメン美少年なので火力は超高いし。


 でも私は目の保養になるなあとは思っても、不思議と彼がそんなに魅力的には見えない。

 お子様な態度だからなか?

 なんでだろ?

 まあどのみち前世の近所の子どもみたいに可愛がったりはしても、年齢的に守備範囲外だから別にいいけど。


 「あーあ、それにしてもマッシュ様との勝負なんてやりたくないなあ。そんなどうでもいいことよりも、みんなと冒険者活動するか、ギルドでのんびり本を読んでたりアルバイトしてたいなあ」


 「ごめんなさい、フラン。先のことですけど、勝手に勝負を受けてしまって」


 エリーはちょっとしゅんとしてしまってる。


 「ううん、エリーが断らなかったってことは、マッシュ様は絶対諦めない人なんでしょ?」


 「ええ、そうですわ」


 「なら仕方ないよ。気にしないでね」


 私のためにエリーが気にすることは別にないと思う。

 そこにアイリはエリーでは聞きづらそうなことを聞いてきた。


 「一応聞いとくけど、なんで勝負したくないのよ?」


 「え、だって剣術が好きということも無いし、そもそも剣術なんて使えないし、木剣が当たったら絶対痛いだろうし、勝負受けても私にメリット何もないし。何より面倒くさいよ」


 「ですよねー」


 「そういうはっきり言うところがフランらしくて好きですわ」


 私の答えにアイリは「うわぁ……」みたいなちょっと遠い目をしてるけど、エリーはくすりと微笑んでくれた。

 良かった。

 しゅんとした様子は左右の髪の毛もといドリルにも現れてたし、そういうエリーは見たくないしね。


 そんなこんなで休息日のはずが王子様の相手をするという大変な1日を終えた。






次回更新は4/22(日) 17:00の予定です。

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