南のアンディ① タチグァイハ
――私は南エリアへとやってきた。ここには魔力を持つ誰かがいた筈。
「どなた魔力を持つ方はいらっしゃいませんか!?」
なんて言っても仕方がないので、もう私が一人でいくしかない。
悪しき気配を追いかけると、光で出来た階段がある。
登っていくと、そこにはきらびやかな灯り、豪華な食事があった。
それは桃源郷と呼ばれるに等しい場所だろう。
「……来たな」
幕が上がり、玉座に薄桃髪の男が居た。
「貴方が悪神バルヴィダール?」
「ああ、そうだ」
男は鼻で笑っている。
「私は貴方を倒す」
「一人でくるとは、余程の自信があると見える」
私は来たくて一人で来たわけではないし、まだまだ力は足りない。
「……」
私はそこに落ちていた剣を拾う。
バルヴィダールは余裕の表情で座ったままだ。
「はああああ!!」
奴に向かって剣を投げつけた。
「そうくるか……」
バルヴィダールは呟くが、何もしない。
「なっ……」
――剣は確かに奴に向かっていたのに、透明な壁に弾かれた。
「きゃあああああ」
それが砕けて爆発が起きると、私は階段から投げ出された。
「……!」
地面に叩きつけられる前に、誰かが私を抱えた。
「貴方は?」
「アンディだ。さっき浜辺でぶつかっただろう」