夢の中
…目が覚めてる、なんでだろう。
ぼやっとそんな事を考えて、また眠りにつこうかと身を捩った。
…『何か』がいる。
今目を開いてはいけないと直感し、息を潜めて『何か』を窺おうとした。
しかし、何も感じない。気のせいだったのかと納得し、また夢の世界へとゆっくり落ちていった。
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変だ。ここは何かおかしい。
なんとなく此処は夢の中だと確信しつつ、周りを見渡した。
何かがおかしい。何かが…
しかし、いくら見渡してみても何が原因なのかは全く分からなかった。
このまま此処にいても何も変わらないだろうと判断し、足元の道に従って『おかしな世界』を進むことにした。
気持ち悪い色をした空を見上げる。
其処には2つの太陽らしきものが浮いている。
しかしまた、この太陽も気持ち悪い色をしている。
私の目がおかしくなったのではないかと目をこすってみたが、何も変わるはずはなかった。
石ころひとつない道を歩く。
ひたすらに続く道に気が遠くなる。
心なしか足が重くなったようにすら思える。
ふと何かが背後にあるように感じ、振り向いた。
…家?
今まで歩いていたところにそれはあった。
いや、家というか城といったほうがいいのかもしれないと思ったほどだ。
なんだかよくわからないのでとりあえず無視して前を向いて進むことにした。
遠ざかっていると信じて振り返ったが、そんなはずはなかった。
いや、そんな気はしてたけどいざ距離が変わってないと落ち込む。
足が重かったのもそのせいかと勝手に納得し、諦めてその城に入ることにした。
城の入り口までの数段の段差を登り、私の倍はあるであろうドアについている取っ手を思いっきり引いた。
開かない。
押すタイプのドアかと思い、今度は思いっきり押した。
開かない。
開かないならついてくるなよと心の中で悪態をついた。
ここのドアでないなら他にもあるのかもしれないと思い、ぐるっと一周してみたがそんなものはなかった。
チャレンジはした。
だから、もうこの城のことは忘れることにした。
じゃあね。
城に向かって呟いた。
前を向くとそこにはなんだかわからないけど気持ち悪い色をした丸い物体に丸い目がギョロッとついた変な生き物らしき物体が落ちていた。
ここの世界は気持ち悪い色ばかりだ。
城は綺麗な真っ白なのに。
城の存在も触れたくなかったし、このモンスターの存在にも触れたくなかった。
どうすべきか決めかねていたらモンスターがギャッとかなんとか呻き声を上げた。
気持ち悪いな。
思わず口から出てしまった。
モンスターは宙に浮いてこっちを見ていた。
落ちていたのはなんらかのダメージを受けていたからなんだろう。
それが何のダメージかとか、どうして受けたのかとは知りたいと思えなかったが。
モンスターはこちらをじっと見るばかりで何も言わない。
こちらとしては何か言って欲しいのだが。
そんな願いは通じるはずもなくギョロッとした目をぐるっと動かし、少し私のほうに近づいてきた。
私は驚いて少しばかり後ろに下がった。
うわっ!
落ちた。
道から外れると落ちるのかと冷静な私がいた。
しかし、そんなに深くはなく、自力で上がれる高さだったのであがろうと試みた。
いやっ。
無理。
なんか、変な気持ち悪い色のドロっとしたものが足元にある。
焦って這い上がった。
足についていないか見たが、何もついていなかった。
私が落ちた穴を振り返ってみても何もなかった。
おかしい。
私は確かに穴に落ちて、変な気持ち悪い色のドロっとしたものが足に触れたのを感じたはずだ。
そこで私はようやく気がついた。
ここは夢の中の世界なんだと言うことに。
改めて周りを見渡してみた。
そうすると周りの景色は何もかも変わっていた。
いや、何もかもと言うのは違ったか。
空や山、道などの色は変わっていなかった。
ただずっと道の周りに家が、それも美しい色をした家が立ち並んでいた。
なにこれ。
どうなってるの。
そして、ふと気になって私の後ろを振り返った。
そこには今まで通りお城も変な生き物もいた。
もちろん変な生き物は気持ち悪い色のままだったし、お城はキレイな色のままだった。
なんでこんなに違うの。
なぜかわからなくてじっと見る。
取り敢えず、誰かいるかもしれないという期待を抱いて家を訪ねることにした。
心のどこかで家の中には誰もいないというのをわかっていたが、それでも淡い期待を捨てることができなかった。
一番手前の小さな可愛らしい家のドアをノックしてそっと開けた。
後ろの城が開かなかったから開かなかったらどうしようと思っていたが、それは杞憂に終わった。
…。
なにこれ。
ひどい。
家の外は可愛らしいのに。
どうして。
想像を絶する景色が目の前にあった。
家の中は一面気持ち悪い色をしていた。
人がいるとかいないとか以前の問題だった。
…。
ゆっくりドアを閉める。
まだまだ家はたくさんある。
中まで綺麗な家があるなんて思えなかったけど、この夢が終わるにはこの先の家も開けなければならないと思った。
だから、次の家またその次の家とドアを開けていった。
もちろん家の中は気持ち悪い色一色だった。
4軒目の家の一際豪華なドアを閉めた時、何か落ちた。
綺麗な色をしたそれを拾い上げると、そこには母親の名前が書かれている。
何故。
もう一度ドアを開け、家の中に入った。
気持ち悪い色をした机の上には私と母が幼い頃に撮った写真が気持ち悪い色になって置いてあった。
確かにここは母の家のようだ。
そこでもしかして今までの家も私の知り合いのものかもしれないと思い戻ってることにした。
1軒目は親友。
2軒目はクラスメート。
3軒目は隣人。
そして、この後もみんなの家を見た。
そうすることで、この悪い夢が早く終わるとどこかで感じていたからだ。
何軒目かわからなくなった時、恋人の名を見つけた。
開けるのが少し怖くなったが思い切って開けた。
…。
うそ。
涙が溢れてきた。
彼だけは本当に美しい家を持っていたのだ。
嘘でしょう。
何故彼なの。
フラフラと彼の家に入り外を見たときにすべてがストンと胸の中に落ちてきた。
私にとって大切なものが綺麗な色をしている。
空や私の周りの生き物はどうでもいいということだ。
そして、この家は私の中でのその人の価値を表している。
家の外観はその人本来の姿ではなく、名前や肩書きの重要性で決まっている。
そして内装は私が大切に思っていなかったからみんなの気持ち悪い色だった。
私が城に入れなかったのも私の心だからだ。
もう一つ、何よりも大切なことはこの気持ち悪い色の正体だ。
これは乾き始めの血の色だ。
そして思い出した。
私は彼を殺した。
自分の家に戻って私の服についた乾いた血の色だ。
初めから気づいていたはずだ。
気づかないはずがない。
自分の目からとめどなく溢れる涙をぬぐいながら、この夢が覚めないでくれと願った。
しかし、願いは叶うはずがない。
それは身にしみて知っているはずだ。
目が醒めるのが怖くて体を小さくして自分で自分の体を抱いた。
今ならあの城のドアは開くと心が訴えていたが、どうせあの城の中は乾き始めた血の色だ。
わざわざそんな色は見たくない。
…泣き疲れて眠気が襲ってきた。
ここで眠れば、夢から覚めてしまうのだろう。
しかし、眠気にそう簡単に勝てるはずもなく、ゆっくりと眠りに落ちた。
お読みいただきありがとうございました。
誤字、脱字、矛盾点、質問等ありましたらよろしくお願いします。
あと、一応主人公のイメージです。
読者様のイメージを壊す可能性もあるので嫌な方は読まなくて結構です。
主人公
★カナって名前。
★20歳ぐらい。
★いつもは可愛い女の子。
★時代は現代です。初めは中世のつもりで描こうとしてたけどなんか。書きづらかった。
★ちなみにカナの好きな飲み物はぶどうジュース。
そして、あんまり設定がなかったことに今気づきました。←ダメ作者




