第一話
異能力者は小学校卒業とともに日本魔法研究学校に入学する。
日本中から異能力者が集まって来る中、一人、独特な雰囲気をまとう者がいた。
名前は楠刀羽。
周りの同年代の子供達がこれから学んでいく魔法を想像し期待に胸を膨らませる中、ただ一人、物憂げな目で周囲を見渡している。艶のある黒髪は長く、体格も随分と華奢だ。しかしその姿は今年入学の生徒とは思えないほどに校舎に似合っていて、上級生の係員が問題がないか探しているようにも見える。そんな、少しばかり浮いている少女だった。
......全く。何なのかしら、この騒々しさは。何故周囲はこんなにも盛り上がっているのか大いに疑問なのだけれど。
私は別に魔法を使いたくてこの学校にきているのではないのよね。国際的な法律で定められたから来たに過ぎないの。これ以上の問題事はごめんだなの。それでなくても、運悪く新入生代表のスピーチを行わねばならないのに。
そう、新入生代表に選ばれてしまったのは本当に運がなかったとしか言いようがない。普通の中学校や高校ならば、入学試験時に成績が一番だった者が代表となるだろう。その点、この学校は魔力を持っているだけで強制入学である。生まれたてのときの魔力反応の強さの違いなどはあっても、病院側がその強さまでも報告書に載せることはまずない。よって代表者は完全にランダムに決定される。聞くところによると校長のくじ引きで決まるのだとか。
「ハァ......」
クラスと出席番号を確認し、体育館(魔法の練習場などにも使われる)の中の自分席を探し当て、式が始まるのを待っていると、自然とため息がこぼれた。
「ん?どうかしたのか?」
ぱっと顔を上げると、隣の席の男子が話しかけてきたようだった。
「いいえ、なんでもないわ。気にしないで」
彼は私の顔を見て随分と驚いたようだけれど、私、何かしたかしら。
「......よかった。............あ、自己紹介まだだったな。俺は高木密。これからよろしくな」
「ヒソカさん、ですね。私は橘刀羽。トワと呼んでください。こちらこそ、よろしくおねがいします。」
式が始まり、ついに新入生代表の挨拶がまわってきた。はっきり言うと逃げたい。しかし、そんなこと誰も許してくれるはずも無く。壇上に上がり、失敗しないように気をつけながら原稿を読み上げる。
やっとスピーチが終わり、礼をして自分の席に戻るまで、私の足は震えそうなくらい緊張していた。
余談だが、このとき、ほとんどの男子(と特殊な趣味を持った一部の女子)はトワが美人過ぎて鼻血がやばかったらしい。
名前を漢字表記にすると誤解を生むような表現が出てくるかもしれないので、大体カタカナで書くことにしました。




