姫神様の決意
マッキンの思わぬ発言で、ようやく、笑ったレイアだったが、それが収まると、それからは、思い詰めたような悲痛な顔に表情に変わり、マッキンの間に嫌な沈黙が流れていた。
マッキンは部屋と主人を交互に見たが、生活感のないほど片付いた部屋には話題のかけらも無く、無論、もし、何かあったとしても話題に出来るほどの間柄ではまだ、ない。
それでも、マッキンは沈黙に耐えかねて自ら口を開いた。
「で、この後、どうなさいますか。姫神様。」
「どうするって。それと、その姫神様っていうのはダメよ。第一、恥ずかしいし、他の勇者にわかったら、大変じゃない。」
「しかし、姫神の力があれば、このような状況も打破できるのではないでしょうか。」
「そうね。私、あなたの主人だし、お父様の作った『げーむ』だもの。立場上、他の勇者を救わなくてはならない義務があるわよね。きっと。帝国の端に『めんてなんすよう』の『こんそーる』がある『かんりしゃくいき』があるって聞いた事がある。そこに行ければ、私の世界とは話せるはず。」
マッキンはレイアが最高神の姫神様だと知ってから、主人が意味の分からない単語を発しても、考える事自体をやめていた。レイアが、帝国にいきたいということだけで、騎士であるマッキンには十分な情報だった。
レイアがどこからか地図を出してベットに広げた。
帝国はこの世界において、今いる王国と対となる大国で、魔界を挟んでちょうど反対側にある。
マッキンの覚えている歴史によれば、かつて、大陸には多くの国があったが、大陸中央に突然現れた魔界によって、国々は西の王国、東の帝国に連合したという。例えば、王国が防衛の為に魔界との境にかつての有力国主で武功のあるものに与えた4つの辺境卿領は、その名残だと言われている。無論、今となっては多くのことが、魔界との戦火に、あるいは膨大な時に埋もれ、伝説や噂の類となっている。
とにかく、魔界を縦断することは、魔王を倒すという勇者である主人には、ちょっとした「長旅」かもしれないが、この世界の一騎士であるマッキンにとっては途方も無い冒険に間違いなかった。
「帝国領にいくには魔界を突っ切らなくてはなりませんね。」
マッキンは極めて当たり前の事を口にして、自らの士気を高めた。
「そうね。でも、端を通ればいいし、魔王を倒すよりは楽だと思うわ。とりあえず、買い物に出て、次の街まで行ってみましょう。」
レイアはすっかり元気を取り戻して、ケープを被った。




