ロボッとあるミライ
これは今よりも、もっと遠い未来のおはなし。
技術の発達により、人はあらゆる仕事をロボットに任せることができるようになった。
仕事は全てロボット任せ。人は労働力という対価を払うこと無く日々の糧を稼ぐことができる社会。
仕事という拘束から解放され、人々は手にれた時間を自分たちのために使うようになり、誰もが豊かで充実した生活を手に入れている。
誰もが働かないため、誰もが平等で、誰もが過不足なく、誰もが公平なお金を手にする。
ある種の理想の社会。
自由な時間を手に入れ思い思いのことをする。そこには社会地位や経済格差、未来の不安といったものはなく、人々の心には余裕がある。
大昔にどこぞのSF作家が忌避したような、ロボットにとって代わられてしまうような未来が訪れることなどはなく、ロボット主体の世界は平穏で平和な世界だった。
……一部を除いては。
ここは、華やかな都市中心部から離れた郊外にある小さな工場。故障ないし不具合のあらわれたロボット達が、ロボットの手で回収され、ロボットたちの手によって運ばれてくる。
「――で、俺はいつ休むことができるんだ?」
工場の中から聞こえてくるロボットのものでない不満の声が途切れることはない。
ロボットの語源はチェコ語で強制労働を意味する「robota」からの造語だそうな。