2CLASS 《絶縁のための初陣》
なんと説明したらよいのだろう・・・。
これは・・・《オーラ》というか《気》というか・・・。
そんな、蒸気のようなものが二人を纏っている。
互いに色は違っても、同じ禍々しさを持っている。
双方、黙ったままで睨み合っている。
先に、口を開いたのは老人のほうだった。
「いつからだ・・・その印、我が一族のものとはカタチが異なるな。
というより、見たこともない。
それを、どこでどうやって手に入れた!?。」
「じじぃ・・・お前に話しても何の意味もない。
何故なら、ここで寿命が尽きているからな。」
「何を言っておる・・・。
まだ、若いモンに劣りはせんわ!」
「だから、クソじじぃなんだ。((そういう寿命じゃない))」
老人は、オリンピック選手並の速度でキョウヤに迫る。
老人の手にはいつの間にか日本刀がある。
老人は、日本刀で切りかかった。
その瞬間、キョウヤが老人の視界から“日本刀”とともにいなくなった。
老人は、2,3秒経ってから気付いた。
キョウヤは、老人の背後から日本刀で老人の胸を貫いていた。
刀を迷いなく引き抜き、刀についた血を振り払った。
「さっき言った、《寿命》・・・あれは俺の目で見えていた“事実”だ。」
老人が膝をつき返事をする。
「どういう意味だ。」
「最後だから教えてやるが、俺の階級能力は、『時を操る力』。
そして、『未来を見据える力』だ。」
そう言って、キョウヤは左目を覆うように左手をかざした。
すると、キョウヤの左目から赤黒い炎が見えた。
「そんな能力聞いたことないぞ。」
「そうだろうな。」
《クラスアビリティ》とは、階級によって与えられた力のことだ。
そして、イマジンフィールドで命を落とすと印を失い、印や階級などに関する記憶や知識も失ってしまう。
「まぁ、いい。
ワシも最後の相手がお前でよかったわぃ。」
「・・・!?。」
「お前、自分は家族に嫌われておると思っているだろう。
しかし、あれは愛情の裏返しなのだぞ。
一人でも生きていける。
珍しい力を持ったお前が、一人で立てる男になるよう。
お前の、父と母が涙をこらえ決めたことだ。」
「・・・わかっていたよ・・・。
でも、その愛に応えるためには,こうするしかなかった。
これが最後だ・・・クソじじぃ。
・・・愛してくれて、ありがとう。」
キョウヤの右目から涙かこぼれていた。
「最後に聞かせてくれ。
キョウヤ・・・お前の族級は・・・?」
「族級はない・・・。」
「・・・烏・・・なのか?。」
「信じない奴はそう呼ぶかもしれない。」
「どういう意味だ?。」
「俺は、世界に一人しか上っていない階級に属している。
・・・時来王だ。」
「・・・立派なもんだ。」
そう笑うと、老人は足の先から徐々に塵になっていった。
キョウヤは、風を召喚した。
すると、塵は遥か彼方に散っていった。
そして、見送ったキョウヤは涙をふいた。