1CLASS 《受け継がれぬ印》
運命・・・それは、時に残酷である。
家族・・・本来は、味方であるもの。
「キョウヤ、おじぃ様が呼んでいるぞ。」
「・・・」
洋風の長い赤絨毯をゆっくりと歩く。
彼は、神崎キョウヤ。
少し、大きめの家に住む高校生。
彼は今、戦場へと借り出されようとしている。
本来、味方であるはずの《家族》によって。
しかし、彼は知っていた。
自分が家族に忌み嫌われている事を。
昔から彼は、人と違っていた。
彼は、大きな扉を開いた。
「失礼します。」
「キョウヤ・・・分かっているのか?」
「・・・えぇ、私は印を受け継ぎません。」
「そんなことが許されると思っているのか?
神崎家は代々、この《公爵》の印を受け継いできたのだぞ!」
「・・・僕は受け継ぎ―――――――」
「悪いが、他に適役がおらんのだ。
力ずくでも、受け継いでもらう。
この、忌々しい力を!」
そう言うと、老人の体が青色に光った。
そして、拳を握り天を刺す。
「・・・クソじじぃが・・・」
彼も、体が光った。
「何!?
何故お前が、心光しているのだ!?
心光は、印を持つもののみ行えるのだぞ!
まさかお前、印をすでに・・・!?」
確かに光っていた。
しかし、目の前の老人とは違う光だ。
赤黒く禍々しい。
まるで・・・濃厚な血の様な・・・。
「俺は物心ついた時から、あんた達を《家族》だと思ったことはない。
俺に族級はない・・・。
いらないんだよぉ!」
そう叫んだ瞬間、彼の光は強くなり部屋一帯を覆った。
光が消えると、まるで《“某猫型未来系機械獣”の“某4次元的お腹のポーチ”》の中のように広い空間になっていた。
これは、彼らの今から戦う戦場。
これは、彼らの脳内を共有化させ意識の中で戦う能力。
これも、印がないと行けない空間だ。
しかし、この戦闘空間は現実の時間とは、時間の進みが違う。
こっちで、1時間戦おうとも現実では1分しか経っていない。
要するに、丸1日戦っても現実では24分しか経っていないことになる。
「覚悟してくれよ・・・。
“他人の”クソジジィ!」
「若造が・・・。
泣きじゃくっても知らんぞ。」
そんな何でもありな空間は、本当に“何でもあり”だった。