第三十章23 【アンサー・クリエイト/贄喰威(にくい)4】23/5名目の下手人【レベル5】(【男?/私】)02
【下手人】/【グェシュニ】が手にしている、【禁断奇跡設計図/フォービドゥン・ミラクル・レシピ)】はレベル5の【ファイル】だ。
これは、10体の【新動塊】/【虚塊】を同時使役出来る力を持っている。
【グェシュニ】は、
『少し話をしても良いかな?』
と言った。
【10番】は、
『・・・』
と無反応だ。
だが、待っていると言う事は話をしても良いと判断した【グェシュニ】は、話を続ける。
『私はね・・・
【物語】が大好きなんだ。
特に正義の味方と悪が対立する【物語】は私の心を震わせる。
だが、正義の味方には創造性を見いだせない。
何時だって、悪が【物語】を作ると思っている。
だってそうだろう。
正義の味方はそのままではただの存在だ。
悪が悪事を行ってそれを正すために正義の味方の出番がある。
つまり、本当の主役は正義の味方ではない。
悪だ。
物語は悪の創作で、彩られている。
敵が居て、初めて正義が輝く。
つまり、正義は悪無くしてあり得ない。
悪こそ真の花だ。
正義はただの張りぼてに過ぎない。
正義に中味はない。
正義に立ちふさがる壁として多くの魅力を提供する悪こそが全てだ。
そうは、思わないか?』
と言った。
【10番】は、
『そんなふざけた言葉に同意するとでも思っているの?
平和を乱しておいて何を世迷い言を言っているのかしら?
正義は張りぼて?
何を言っているの?
頭おかしいんじゃない?』
と言った。
『正義とは曖昧なもの。
立場の違いで正義にも悪にもなる。
そんな曖昧なものが正しいとでも?』
『絶対的な正義というものがある。
他者を侵害する行為。
これは絶対の悪だ』
『悪を倒す事も侵害では無いのか?』
『悪事を働いた者は罰を受ける。
それが正義だ』
『正義には何故、悪を罰する権利があるのだ?
悪が直接、正義に何かした訳でもないのに』
『弱き者の代わりに罰する者が必要なのだ。
私達はその代行だ』
『何故、君達が?』
『力があるからだ』
『では力こそ正義。
そう言う事で良いのか』
『違う。
力だけでは駄目だ。
それを律する心も大事だ。
心技体、そろっての正義だ』
『なるほど・・・
それが君の理屈か・・・』
と言う口論になった。




